「始まったよ、ホラホラ」
ママさんが、店の液晶テレビを見ながらテンション高く騒ぎ出した。
ゆうは、その中華店で食事をしていた。
ネットで人気になっている炒飯を食べに来ていた。
やや香ばしいパラパラ炒飯が美味しかった。
フジテレビの2時間ドラマで、刑事役の寺脇康文さんが食べている黒っぽい炒飯が映し出された。
テレビの炒飯は、ゆうの目の前の炒飯と同じものだった。
ドラマが動き出した。
刃物を持った男が店で暴れ出し、刑事が立ち上がり格闘になった。
まさにこの店が舞台となっていた。
お客さんたちもしばらくテレビにくぎづけとなった。
犯人は外に逃げてしまい、追いかける手脇さんがかっこよかった。
前の月に店を貸し切りにして、ドラマのロケが行われたそうだ。
オンエアの日に、偶然にゆうが出くわしたことになる。
番組の最後に「協力 xx」のように、店の名前が表示されるのだろうか。
食べ終わって会計しなくっちゃ。
ママさん以外の店員はいなかった。
舞台は切り替わっていたのに、夢中で見ていたママさんを、レジに呼ぶのが申し訳なかった。
ただ放送中に、新しいお客さんが入って来なかったのは、ママさんのご機嫌を損ねなかったのではないか。
ゆうが店の中をキョロキョロして寺脇さんのサイン色紙を探したが、見つからなかった。
店でなく、ママさんの自宅にサランラップを巻いて、大切に飾ってあるようだ。
ゆうは疑問に思った。
「外食店って、普段から新品の色紙を常備しているのかな?」
「お忍びで来た有名人もサインしてくれるのかな?」
この話は、8割フィクションだと思ってください。
ゆうは、架空の人物です。
前回の「ゆう・ネイ子の外食店めぐり」の記事はこちら(2022年10月7日)
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では、明日。