映画/『野郎どもと女たち』 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道

1955年
アメリカ
監督:ジョセフ・L・マンキヴィッツ
出演:フランク・シナトラ、マーロン・ブランド、ジーン・シモンズ、ヴィヴィアン・ブレイン

ニューヨークを舞台に、ふたりの賭博師の惚れた女を巡る騒動を描く。
デイモン・ラニヨン原作、ジョー・スワーリングとエイヴ・バロウズの舞台戯曲、マンキヴィッツの脚本。

MGMのマークが出ますが、これはサミュエル・ゴールドウィン製作で、MGM配給という作品。
したがっていわゆるMGMミュージカルとはちょっと毛色が違います。
シナトラはともかく、マーロン・ブランドがミュージカルに出るのは大変珍しく、未見の方はそれだけで一見の価値ありでしょう。

二組の恋物語に賭博の大勝負が絡む物語は意外と複雑で捻った面白さがあります。
シナトラは賭博師といっても仕切る方。
次の賭場を開帳するのに千ドル必要なのですが、その金がない。
シナトラは旧知のブランドに、救世軍のお堅い女性ジーン・シモンズをハバナへ夕食を誘うことに成功したら千ドル払うという賭けを持ちかけます。
かくして賭博師と救世軍というあり得ない組み合わせのラブストーリーが展開します。

実際この作品のマーロン・ブランドのスマートな伊達男ぶりは際立っていて、惚れ惚れします。
特にハバナでの群舞、それからジーン・シモンズが歌う名曲「If I Were a Bell」への流れは素晴らしいです。

一方シナトラには婚約して14年という恋人ヴィヴィアン・ブレインがいて、結婚を熱望するヴィヴィアンはシナトラに真人間になってもらいたいのですが、これがまた「わかっちゃいるけどやめられぬ」というわけで…。
シナトラの軽薄ぶりもまた抜群に面白くカッコイイです。
舞台でも同じ役を演じたヴィヴィアンがゴールドウィン・ガールスを従えて歌い踊る2つのナンバーは見所であります。

しかし何といってもすごいのは有名な下水道を賭場にした一景で、ここは大掛かりなセットとマイケル・キッドの斬新な振付に驚きます。
そこへブランドが現れて「Luck Me a Lady」というナンバーを歌い、あれよあれよという間に2組の結婚式へ。

正直、マンキヴィッツ監督のミュージカル処理はかなり無神経なのですが、それを補って余りある役者の芸達者ぶり。

うっとりする147分です。