ポテトチップス概論? ポテトチップスのベースについて比較する | 御殿場高原ブログ ~禁煙に失敗したら即閉鎖することを約束させられたブログ~

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今回の講義ではポテトチップスのベースとなるチップス部分だけを考え、各社のポテトチップスを比較します。

ポテトチップスの場合、味付け次第で変幻自在とはいえ、大切なのはベースの素材と製法。材料であるジャガイモとカットの仕方、揚げ方が3大要素でありましょう。

まずは王道のカルビーの標準的なポテトチップスのベースについて話をします。さすがはカルビーと言いましょうか、価格だけでなくベースも一枚上手という印象であります。カットも薄めで、揚げ方も程よいのです。カリッと揚がっていますが、ポテトの風味を破壊するほど高温でもないという絶妙な揚げ方です。しかも無意味な揚げむらもなく、適当なムラや荒さを残しながらも安定した調理ができています。チップスターをはじめとする練り系ポテトチップスに比べると揚げ方の適度なムラは、ナチュラル系ポテトチップスの魅力であります。この魅力を失わず、それでいて出しすぎないというところが技術なのでしょう。ジャガイモ自体も良い素材を使っています。そしてその良質のジャガイモの風味が高温で揚げすぎていないために、ジャガイモ本来の甘さとともに残っています。さすがですよね。

続いてカルビーに唯一対抗しうるブランド力をもつ湖池屋のベースを紹介しましょう。カルビーに比べると安価で購入できますので、ジャガイモそのものの差を指摘するのはコクでありましょう。私はカルビーの使用するジャガイモの方が格上のように思いますが、だからといって大きな差を感じるものではありません。意識して食べればやや風味を薄く感じるとは思いますが、後付けの味によって誤魔化せる範囲でしょうし、ジャガイモのもつ甘味や旨みが必ずしも後付けしようとする味にマッチするとは限りません。ですから湖池屋のジャガイモのような淡白なものの方が結果として後付けした味とのバランスが整うこともありえると思います。大きな差を感じるのはカットの違いです。湖池屋はコストダウンのためか、自然の風味を強く出したいためなのか、ジャガイモの皮を残しています。皮を切らず、表面を強めに洗って皮を落としているのでしょうか? チップスの側面には薄く皮が見られますし、チップスの表面には削られた皮の残骸がいくらか付着しています。これは好みの分かれるところかと思いますが、私は減点要素だと思っています。自然の野性的な風味が増すという魅力で加点するよりも、風味が汚れたことや、食感が悪くなることへの減点の方が大きいのです。カルビーよりも少し厚めにカットしていますので、余計に皮の存在が明確になっているかと思います。また揚げ方にも差があります。恐らくカルビーよりも5~10℃くらいは高い温度で揚げているのでしょう。硬めに揚がっていますので、チップス自体が逆に割れやすく、これにより厚切りだけど薄切りのようにパリッと割れるという効果が生まれているように思われます。温度が高いためかロースト感が強いことに対しての好みは分かれそうですが、総じてカルビーよりもスナック的といいますか適度な下品さを持ったベースの仕上げかたであります。コストを抑えて製造するのであれば、王道カルビーの安っぽいバージョンをつくるよりも、少し路線を変えた方が得策かもしれませんし、私もこの路線を評価したいと思います。

ポテトチップスはこの2大ブランドだけチェックすればよいようにも思いますが、一応その他のブランドも紹介しておきましょう。

まずはイオングループのトップバリューシリーズのポテトチップスです。非常に優しいポテトチップスです。油もあまり使わず、薄いカットのベースを低温でさらっと揚げたという印象です。他のブランドに比べるとジャガイモ本来の風味を出そうとしていることが伺われますが、一方でジャガイモ自体に特別良いものを使用していないと思われる点が惜しまれます。軽い風味のポテトチップスを食べたければトップバリューを選ぶと良いでしょう。この手の風味が今後のポテトチップス業界の主流になるなんてこともありえるのかなと思わせるやや都会的な感じもするベースであります。

続いて少しマニアックですが、意外と人気者のやまよし製菓です。こちらのポテトチップスは味付けに独創性があり、しかも説得力のある強引な強い味付けが魅力です。ですからベースの風味にあまり拘らずに作ることができているかもしれません。湖池屋同様に皮の完全除去は行っていませんし、揚げ方もやや雑です。揚げムラが強く、多少焦げたチップスも除去されていません。しかもカットが薄すぎたのか、チップス自体が大きく湾曲してしまい、個体によっては折れ曲がったかのような状態となっています。この辺の強引さが、強めの後付けの味と相まって、少し魅力的だったりもするんでしょうか? 意外なことに結構ファンが多いのがやまよし製菓のポテトチップスであります。生だと怖いから少し長い時間揚げてみましたという、家庭のポテトチップス的なロースト感ある風味と、個体差の大きなところが良くも悪くも特徴といえば特徴なんでしょうかね? やまよし製菓も低価格路線ですので、それほどジャガイモ自体に高価なものは使用していないと思われます。

最後にヤマザキナビスコです。ナビスコといえばチップスターであります。練り系のポテトチップスでは日本を代表する銘柄で、プリングルスに押され気味であることが心配です。チップスターをプリングルスと同じ価格で売ることは難しいでしょうから、何とかこの価格帯のまま高級なテイストを目指して欲しいと思います。そんなナビスコですが、実はナチュラル系のポテトチップスも出しているんです。意外と謙虚に発売されているので気付かない人も多いでしょう。ポテトチップスというまんまなネーミングで出しています。うすしおではなくしおあじという味つけのネーミングも謙虚で心奪われます。他にも100円ブランドのポテトチップスの製造を担当していたりします。しかしチップスターの製造で名をはせるナビスコでありますから、片手間感覚のジャンルでも内容はしっかりしています。薄くさっくり、優しく揚げたポテトチップスは、トップバリューよりも高級感があり、湖池屋よりも丁寧、カルビーよりもでしゃばらないという見事に中間的なバランスを貫いたベースであります。この辺が大企業のテクニックでしょうか。地味ではありますが、地味ゆえに他のブランドの製品からいいところを勉強してつくっても許されちゃったような「してやったり感」が漂って素敵です。

ベースに無理矢理得点をつけるとするならば、こんなところかな?
カルビー 90点
湖池屋 82点
トップバリュー 80点
やまよし製菓 78点
ヤマザキナビスコ 81点