「シリーズ 三輪記子物語」第7回目です。弁護士の仕事と並行して、現在タレント業務を行っている三輪先生。番組内でのご自身の役割についてどう捉えているか、ニュースに解説を加える際、どのような価値観に軸足を置いているのかなど、伺いました。 

 

 *

 

 『週刊プレイボーイ』でのグラビア記事(前回参照)が発端となって芸能事務所(松竹芸能)に所属することになり、今は情報番組を中心にコメンテーターの仕事をしています。

 ひとつのニュースをどのように見るかは、個人の置かれた立場や状況によって変わります。例えば環境問題一つを取っても、生物学者であれば生態系、経済学者であれば環境破壊が与える経済的損失など、人の数だけ着目する観点はさまざまです。
 ある1つの問題について知るとき、情報はできるだけ多面的な角度からの解説があった方がいいでしょう。その上で、何が正しいのかは視聴者が判断をする。民主主義のプロセスから言っても、その方が理に適っている(じっくり考えることができる)と思います。


 番組での私の役割は、「法律家の視点を視聴者に提供すること」だと考えています。弁護士である三輪記子とプライベートの三輪記子は切り離せないので、両方の視点が混ざり合うこともありますが、いずれにせよ、「弁護士である三輪記子にはこんな風に世界が見えている」と知ってもらえたら嬉しいです。

 コメントの時に心がけているのは、「ファクト(事実)にもとづくこと」「(法律がある場合は)法律の趣旨に遡って考えること」「自分個人の視点で、反対の立場に立つ人も想定しつつ本心を語ること」などです。


 なかでも意識しているのは、少数派(社会的少数者)の視点です。
 「少数派」の定義はさまざまですが、大きくは、ある集団内の権力関係において数が少ないことから例外的な存在とされ、その集団(社会)内で劣勢的な立場に置かれた人々のことを指します。

 多数派であれ少数派であれ、人権が保障されることに違いはないはずなのに、時に少数派は多数派よりも人権侵害の危機にさらされる場合が多いです。そして、人権侵害が可視化されるのも困難が伴います。

 例えばLGBTの問題がそうです。性的少数者であることは、外観上明らかとは限りません。むしろ、自分自身が少数派であることを他人に知られたくないと思っている当事者もいるでしょう。

(ときには、私自身がコメントを加える問題の当事者である場合もあります。しかし、それも外見上常に明白とは限りません)

 

 自分自身、勉強は得意でしたが学校に通うことは不得意で続けられなかったし、集団になじむのも苦手で、マイノリティ意識を強く持っています。

 自分がコメントするニュースが少数派の人達に対してどんな意味を持っているのか、常に想像するように心がけています。しかし、どんなに想像してもまだ足りないくらいです。いつも、「自分が見えている世界は世界の全てではない」ことを忘れてはならないと、自分に言い聞かせています。

 グラビアに出た時は公私ともにフリーで、「自分一人ならどうなってもいい」「単発での問題提起ができればそれで構わない」という気持ちがどこかにあったと思います。

 でも、事務所に所属し、テレビ番組でレギュラーのコメンテーターをしていると、同じようにはいきません。自分の行動や発言に対して責任感が強くなりました。

 大学に通えなかったという話がまさにそうですけど、私、本来はすごく怠惰な人間なんです。自分一人で置いておかれてもだめになってしまう。弁護士もタレント活動も、人に必要としていただける仕事だからこそ頑張れていると思っています。

 そもそも、私がテレビで発言させてもらえるのは「弁護士」という仕事に就いているからこそ。弁護士業に携わる中で感じている社会の矛盾や、仕事を通じて出会う依頼者が抱える問題が、社会全体の問題とどのように結びついているかなども発信できたらと考えています。(続く)

 

 【取材・構成=松岡瑛理

 

 ▼バックナンバー

第一話:「女子に進学先がないことに理不尽さを感じていた」(中高時代)

 

第二話:「林監督の言葉がなければ『今頃アル中で死んでる』」(大学時代)

 

第三話:「机に座っても、文字が読めない」(司法試験受験生時代その①)

 

第四話:「目には見えないものを扱う法の面白さ」(司法試験受験生時代その②)

 

第五話:「人の心は、法律だけでは裁けない」(司法修習生時代)

 

第六話:「グラビアへのバッシングに『ただヘコんでいた』」(グラビア出演振り返り)

 

 ▼関連書籍

弁護士『セルフブランディング×メディア活用』のすすめ』」(第一法規)

→メディアで発信を行う際注意している点について、第1章で書きました。

 

*****
弁護士の三輪記子(ミワフサコ)です。
2010年12月の弁護士登録以降2017年秋までは京都で執務していましたが、

2017年秋に同期の塩見直子弁護士と『東京ファミリア法律事務所』を開設しました。
東京ファミリア法律事務所は女性弁護士2名の法律事務所です。
表参道駅A2出口から徒歩7分くらいの閑静な住宅街にあります。
離婚、不倫、遺産分割、契約書チェック等々
お困りのことがございましたらお問い合わせください。
秘密は厳守いたします。
ご予約いただきましたら早朝、深夜、土日祝日の法律相談も承ります。
お問い合わせはHPかお電話(平日9~18時)からお願いします。
なお、法律相談は30分ごとに5500円です。
案件ごとの料金につきましてはご相談時にご説明いたします。
メール:fmiwa@tokyo-familiar.com
電話 :03-5413-8310