とある空間で四人の人物が会談を開いていた。



『光の君、貴方のご意見をお聞きしたい』

 炎のような赤い瞳と髪の青年が、テーブルをはさんで真向かいに座っている金髪に金色の瞳の青年に問いかける。

『私は、人族との争いは避けるべきと思います。緋焔(ひえん)の君』

『わたくしも、光の君と同意見です』

 水面のように光輝く青い髪と瞳の女性が言う。

『蒼の君、何をおっしゃる!貴女方、水族が一番被害を被ったではありませんか!』

 空色の髪と瞳の少年が腑に落ちないというように、女性、蒼の君に食って掛かる。

『風の君、お気持ちはわかりますが、人族と争うとなると、人族と婚姻し共に暮らしている同族とも争うこととなります。それだけは避けたいのです。光の君も同じ思いでは?』

 蒼の君は、哀しげに告げた。

『はい。蒼の君の意見に同意します。理不尽な同族同士での争いは避けるべきです』

『自分で好きで人族に組みしたのです。人族と争いになって、我々に弓引くのであれば、同族と言えど敵とみなし叩きのめすだけ』

『風の君、同族達はただ、人族を愛し、人族と生活を共にしているだけです。裏切りでもなんでもない』 

 光の君が諭すように言う。

『緋焔の君のご意見は?』

 蒼の君が問う。

『我々火族は、直接、人族からの攻撃は受けていない。よって、中立の立場を取らせて頂く。お三方の決定に従いましょう』



*****

  

 パチッとベルンハルトは目が覚めた。

 なんだ?今の夢は?

  光の君?蒼の君?風の君?緋焔の君???

 
「ん、私寝ていた?また、夢か」

 シンシアが、ふぁ~とあくびをして起きた。


「シア、どんな夢だった?」  

「えっと、四氏族の長みたいな人が四人集まっていて、人族と戦うか、それとも争いを避けるかどうかの話し合いをしている夢」 

「その長たちの呼び名って、光の君、蒼の君、風の君、緋焔の君って言っていなかったか?」

「え!どうしてハルトが夢の中のことを知ってるの??」

 シンシアは驚いてベルンハルトを見た。

「わからないけど、どうやら同じ夢を見ていたようだ。もしかしたら、これのせいか?」 

 ベルンハルトは、シンシアと握りあった手をシンシアに見せて言った。

「手を握ったまま二人で眠ってしまって、もしかしたら同調(シンクロ)したのかもしれない」 

 シンシアは呟いた。