はざ掛け、はぜ掛け、天日干し | 島くらしの手帖 瀬戸内海・周防大島編
2018年10月11日(木)

はざ掛け、はぜ掛け、天日干し

テーマ:半農半ラジオ

 

稲刈り。

 

鎌で刈って、古い藁で縛ったり。

 

バインダーという一条刈りの小型の稲刈り機で刈ったり。

 

バインダー=バインド(bind)なので、その機械は麻ひもで束ねてくてる。

 

一反(約1000㎡)を刈るだけで5~6時間。

 

竹を立てて掛けるのにやはり5~6時間掛かる。

 

天日に干して、風に当てて、籾が乾燥するのに早ければ一週間、途中雨が降ったりで三週間を要することもある。

 

適度に乾燥したら、脱穀して、籾摺り、玄米になる。

 

もしも、コンバインを使うなら、一反当たり2~3時間で刈って、脱穀までできる。

 

乾燥機に入れて一日くらい、翌日には、玄米になる。

 

数日前、島を旅した東京の人が田んぼを訪ねてくれた。

 

「コンバインを使う稲刈りと三浦さんみたいな稲刈り、どっちが主流ですか?」と問われた。

 

圧倒的にコンバインだろうと思う。

 

「どうして、その非主流を選ぶのですか?」

 

3年前に一度コンバインを使ったこともあったのだけど、味気なかった。

 

竹に干すのは面倒だけど、”やってる感”がある。圧倒的な”やってる感”。

 

コンバインを使えば、自分ひとりで作業は終わる。

 

ひとりでやるには困難な作業を手伝ってくれる人が必要。

 

できれば家族みんなでやる仕事にしたい。

 

コンバイン、乾燥機を使わなければ、化石エネルギーの使用量が減る。

 

俺なりの環境保全。

 

そもそも、オオシマアコースティックという屋号を使いはじめる時、アコースティックに「手仕事」「手作業」の思いを込めた。

 

機械を全く使わないくらいのつもりでいたけれど、そこは”なるべく”の範囲になった。

 

はぜ掛けをするための竹を山から伐り出せば、荒廃竹林が少しはきれいになる。

 

竹を縛るヒモは、麻ひも、藁縄を使う。

 

途中で切れて田んぼに落ちても土に還る。

 

使い捨てのプラスチック製品をなるべく使わないのも、俺なりの環境保全。

 

オーガニック、有機なものがビニールにまみれるのはなにか矛盾を感じる。

 

自分が気づいていないだけで、自分も多くの矛盾を抱えているかも知れないけれど。

 

百姓をはじめるにあたって、こうしたい、こうありたいと思ったこと、その思いは大切にしていきたい。

 

都会の人の疑問に答えて、忘れかけてた思いを思い出した。

 

明日から残り三反、がんばる。

 

天日干しの米がうまい。という人もいるが、

 

機械で強制乾燥した米と天日干しの米、その差は正直分からない。

 

きっと、違いの分かる男(女)にしか分からない。

 

天日干しの米の方がおいしいことにしておけば良いのだけど、

 

嘘のつけない男である。不器用ですから。

 

天日干しは、目の保養にはなる。

 

かしらねぇ。