空腹なら、どんなものでもおいしい。
たくあんと、さつまいもだけ
それがほとんど主食であった。
野菜とそばを大鍋にぶっこみ
そのおいしさに十分幸せを感じた。
だれだったか、
「最高の料理人は空腹である」といった人がいた。
これは実感である。
美食に馴れた人は、もの自体のもつ
固有のおいしさを知らないのではないか。
母から聞いたことがあります。
朝は暗い時刻に働きに出、
夜は空に星がまたたいているのを
仰ぎながら帰った。
それから食事を準備した。
ほとんど、いもとたくあんが中心であった。
そばの煮込み鍋もあった。
空腹に耐えてきた身には
そのおいしかったことが忘れられない。
特大のいもを5個も
たいらげたときのことを思い出す。
物質的には今よりずっと貧しかったが、
心豊かで幸せだった幼いころが
無性に懐かしかったという話でした。