『街角童話(メルヘン)』
~ボンジュール・僕は名古屋のテレビ塔~ 詩季子
名古屋栄を描いてみました。よかったら
遊びにきてね。
○あらすじ
500~260万年前の私たち名古屋のシンボルテレビ塔のある栄は東海湖という湖の中にあった。生まれる前の名古屋のテレビ塔テッちゃんは美空( みく)とピーさん、ハーモさんと話を始める。いろいろな歴史が流れ名古屋空襲が始まる。その後テレビ塔が生まれる。バブル期にテレビ塔に寂しいゲストが現れお金をテレビ塔からバラまいた。テレビ塔のテッちゃんは吐息を漏らす。電波塔として張り切ったテッちゃんももう55歳になりその役割を果たし瀬戸のデジタルタワーに譲る。そしてこれからのテッちゃんは行方を危ぶまれる。でも名古屋栄にくるみんなに元気を与え続ける存在を失わないでみんなで維持しようと呼びかける。
○主なキャスト
テッちゃん テレビ塔
美空( みく) 女の子
ピエロ
ハーモさん ハーモ二カ奏者
SE(ハーモニカ演奏 ♪エノケン 『洒落男』 《おれは世界中で一番、モボだと言われた男~~~》)
美空( ミク)「おじちゃん、ハーモニカ上手ね」
ハーモさん「ありがとヨ、おじょうちゃん。
今日はいい天気だ。いい湖の風が吹いて
るなぁ」
SE(舟をこぐ音)
テッちゃん「やぁ、みんなぼくはここだよ。ここ。ぼくが誰だかみんな解るかい?」
美空「エッ? 誰なの。声は聞こえるけど姿が見えない」
ハーモさん「ああ~、そうだな。声が聞こえるぞ。でも姿は見えないな」
美空「ピエロさん、声は聞こえるけど誰か解る?」
ピエロ「・・・・・・」
美空「あ、ピエロさんも解らないって手を振ってうなずいているし、ドコドコって、
頭に手をかざして探しているよ」
テッちゃん「ここだよ、ここ」
美空「あ、『ういろう』で出来た舟が揺れてピエロさんのペロペロ飴が湖の底に落ちちゃった~、」
SE(ペロペロ飴の落ちる音)
SE(ピエロの落ちる音)
美空「あ~、ピエロさん、大丈夫? 湖の下に声の主はいた? あ、誰もいなかったって? そうよね。さあ、舟にあがってきて」
SE(ピエロが船に上がる音)
テッちゃん「ねえ、ねえ、君たちは『ういろう』の舟に乗っているの?」
美空「えへへ、ちょっと食べちゃおうかな? ん、おいしい、これは抹茶味? 湖に浮かぶ笹舟ね」
ハーモさん「これこれ、特別仕立ての『ういろう』の舟をかじるな。穴があくと沈むぞ。ハハッ」
SE(ハーモ二カ演奏・ういあー ういろうー、しろ くろ まっちゃ あがりにさくら なごや名物あおやぎ ういろう)
美空「あは、『ういろう』の唄! だよね」
ハーモさん「そうか?ハハッ」
テッちゃん「ぼくも『ういろう』の唄は知っているよ。ぼくはテッちゃん、まだ姿はない。でもいずれみんなのためにここ名古屋栄の街に姿を現すことにしているンだ」
美空「そうなんだ」
ハーモさん「ここ? 名古屋栄? いやここは東海湖という湖さ。今は古代さ。あそこに見える山は養老山脈さ」
テッちゃん「ええ? 今は古代で名古屋は東海湖。昔は湖だったの? びっくりだよ」
ハーモさん「今日はいい天気だ。ビールがうまい。ミエゾウが三重県あたりにおるかもしれんゾウ」
SE(ハーモニカ演奏・ゾウさん)
美空「ハハ、ピエロさんたら、マンモスの鼻が揺れるマネ? 似ているぅ」
ハーモさん「あ、あれはナンだ。空飛ぶ恐竜プテラノドンか」
美空「違うよ、違うよ。飛行機だ。ね、ピエロさん」
SE(B29の飛行機音)
美空「ピエロさん飛行機のマネをして手を広げたら又湖にポチャーンと、あ、危ない。
ふ~、大丈夫だった」
テッちゃん「いったいどうしたンだ? 何が起きているンだ。ああ~」
SE(爆撃の音)
美空「あ、湖がいつのまにか爆撃の地に変わった」
ハーモさん「こりゃ、いかんわ。空襲だ。みんな逃げよまい」
美空「ハーモさん ハーモニカ落とした。
はい、コレ。ピエロさんもこの防空頭巾をかぶって逃げるわよ」
テッちゃん「何てことだ。名古屋空襲か。
ああ、名古屋が焼野原になっていく」
美空「ああ~、どこに逃げたらいいの」
ハーモさん「たくさんの飛行機が飛んできたぞ。なんてことだ。おい、見ろ。爆弾。名古屋城が燃えている」
美空「ピエロさん。いる? いるよね。あ、いた。いた。良かった。ハイこれ。落っことしたパフパフラッバよ」
SE(ピエロ・パフパフラッパを返事がわりに寂しそうにそっとパフと鳴らす)
美空「ああ~、死にたくないよ。この新聞を見て。東山動物園の動物たちがなんてこと。逃げ出さないように暴れないように殺されているらしい。悲しいよ」
ハーモさん「なんてことだ。そういえば1929年の世界恐慌、関東大震災」
美空「恐慌? 地震? 関東大震災? 何、それ?」
ハーモさん「昭和金融恐慌によって弱体化していた日本経済。アメリカ向けに頼っていた生糸の輸出が急激に落ち込み、危機的状況になる」
美空「エッ、経済危機?って、どういうこと?」
ハーモさん「株の暴落。都市部では多くの会社が倒産し就職できない者や失業者があふれた」
美空「と、倒産、働くところがないならどうやって食べていくの?」
ハーモさん「恐慌発生の当初は深刻なデフレが発生し、農作物は売れ行きが落ち価格が低下、1935年まで続いた冷害・凶作に」」
美空「エッ。何? 食べるものがないの?美空はおいしいものが好きなのに、」
ハーモさん「昭和三陸津波のために疲弊した農村では娘を売る身売りや欠食児童が急増して社会問題化した」
美空「昭和三陸、津、津波? どうするのよ」
ハーモさん「日本で生活できなくなり大陸満州へ渡る人々も増えたらしい。満州はアメリカも大切にしていたからな」
美空「満州のことでアメリカとうまく行かずに戦争に? 美空は戦争なんて大嫌い」
ハーモさん「そして欲しがりません。勝つまではダ」
SE(ハーモ二カ演奏 ♪『海ゆかば』)
美空「戦争なんて悲しい。やめてよ。どうして? なむあみだぶつ。ピエロさんも手を合わせてね。なむあみだぶつ」
SE(ピエロのパフパフラッパでなむあみだぶつ)
テッちゃん「みんながんばれ。爆弾なんて!やめろ。 生きるンだ。助かるンだ」
SE(終戦ラジオ放送・耐えがたきを耐え~)
ハーモさん「ああ、戦争が終わった。でも見ろ。焼野原だ。美空、ピエロ君命があって良かったなぁ~。やけに空が青い。きれいだな。終戦の日は暑い晴れた日だった。亡くなった人の分も生きなくちゃなぁ。俺たちは生きている」
美空「ね。戦争は終わったのね。合掌。ピエロさんもね。でもこれからどうするの?」
SE(ピエロのパフパフラッパが悲しく鳴る)
テッちゃん「ここ、ここ、見てよね。ここだよ。焼け野原の栄の真ん中で。ほら鉄塔工事が始まるよ。いよいよ僕がみんなのために働くンだ。みんな泣かないでぼくのところに遊びにおいでよ」
美空「あ、ほんとだ。工事が始まっていく。まだ土台でこれからどんどん高い鉄塔が出来ていくのね。いよいよ君が見え始めるのね」
ハーモさん「いや、みんなデパートの屋上から望遠鏡で見とるぞ」
美空「ピエロさんたら望遠鏡でのぞくマネしている。見えるの? 楽しみだね、いつ出来るの?」
テッちゃん「ヘヘヘ、ぼくの誕生日は昭和28年6月19日だよ。」
ハーモさん「。終戦から8年。あ~、そうか、銀色の名古屋のエッフェル塔になるのか? トレビア~ン」
SE(ハーモニカ演奏・♪パリ空の下)
美空「あ、まだ名古屋城は壊されたまま。
悲しい。あれ? ピエロさんがエッフェル
塔のものまねをしている。ハハ、おかしな
ピエロさん」