いちご物語  ④  「居場所」 | みつ光男的 だれだれ日記

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家族と過ごす何気ない日常と好きな音楽、プロレス、自作小説について。
更には日々の癒しとなるアイドルについてなども長ったらしく綴ります。

9時過ぎになり、準備が整ったので「いちご」を連れて病院へ向かう。
今日は元々イオンにコタツを買いに行く予定で、
母親も一緒に行く事になっていたので同行する。

いちごを飼うのに必要なグッズ、例えば首輪やらリードやら、
ケージを長女がお年玉から出すと言ってくれ、長女の固い決意か感じられた(この時は)。
車の後部座席で毛布にくるまれて子供たちに抱っこされているいちご。

その姿は「まるで昔から私の居場所はここだったのよ」と言わんばかりだった。
みつ光男的 だれだれ日記-病院へ









(うちに来て数時間、病院へ向かう車内で)

走る事10数分、まずはT動物病院へ着いた。母親と子供たちが車に残り、
僕と嫁が院内へいちごを連れて入る。

「お名前は?」

「いちごです」

まだ「いちご」と呼ぶのは何だか恥ずかしい。
しばらくして診察室に呼ばれ色々診てもらう。
事情を話して、体に特に問題ないか確認してもらうが、
どうやら異常はないらしい。

年を確かめてもらったが歯の生え方から推定2~3歳との事。
ただし犬によって成長に個体差があるので、はっきりとは断定できないらしいが。
ただ体重が6㎏ほどしかなくて、
ひどく痩せているからその点だけは気をつけて規則的に正しく食事をあげるように言われた。

それは今の状態では致し方ののないことだ。
何日野良犬生活を続けていたかは知らないが、おそらく満足なものを口にしていないのだろう。
これからはドッグフードになるが、毎日の食事は保証されている。
ただ、いちごはそんな事を知ってか知らずか、すまし顔で落ち着いていた。

動物病院を後にして、次はホームセンターへ犬グッズを買いに行く事になったが、
嫁はトリミングもした方がいいと言って候補として近くのペットショップと
ペットコーナーのあるホームセンターに電話して聞いてみると
ペットショップの方が安くてサービスもよさそうなので、
どちらにするかは、
詳しい話を今から行くホームセンター―で聞いてから決めようという話になった。

ホームセンターに着いていちごをショッピングカートに乗せると飛び降りてしまい、
外を走り回るものだから駐車場でいちごと思わぬ鬼ごっこをする羽目にになってしまった。
追いかけるとしっぽを振りながら逃げるので、
おそらくいちごとしては逃げるつもりはなく、ただ遊んでいるつもりなのだろう。




それでも駐車場は車も多くて危ないので途中で追いかけるのをやめて
座って待っているとすぐに戻ってきた。
いちごとしてもようやく決まった安住の地を
みすみす逃がしてしまうようなつもりは毛頭ないらしい。

店内に入るとすぐに首輪とリードを購入して、
まるで昔からうちに居たかのように並んで歩き始めた。

これがいちごの望んでいた事かどうかは別として、
ようやくお互いが離れてしまう、と言う心配はないということだ。
更に鎖やケージ、ドッグフード 等を購入して、他にも必要なグッズを探す。

お客さんもいちごを見ている。

「あんな子が飼いたかったんよな」

一緒に連れて歩いている犬がいながら、いちごを見てそんな事を言っている老夫婦もいた。
うちに来て間もないと言うのに、早速大人気だ。
いちご自身、とっても美人(美犬)なので他のお客さんもいちごに注目している、
ような気がする。

一通り買い物が終わると、今日本来の目的地であるイオンへと向かう。
もしもいちごがいなければ、ここでみんな車から降りて買い物してあわよくばお昼ご飯でも、
なんて事になったのだろうが今日はいちごという「新たな家族」がいるため、
車から降りるのは嫁と母親だけ。

あのスーパー大好きな子供たちが車から降りないなんてよっぽどの事だ。
いちごの登場というのは、それほどまでに大きな出来事だったのだ。

ハンバーガーなどを買って家へ戻る。
今からはいちごが家族になってから過ごす初めての時間だ。

僕がケージを組み立てる間、いちごは長女の部屋に解き放たれていたが、
ケージが完成すると新たないちごの居場所がこの家の中にも確立した。