35歳のTくんに好きな人ができたと伝えた。
Tくんの顔はすごく好きだった。
初めてのキスを思い出せば胸が痛くなる。どきどきしたから。

「そっか。mitsukaちゃん応援するよ。抱き足りなかったけど。」
どうしてそんなドキドキさせるんだろ。よくよく思い出せば、受け身のSだったくせに。

「抱き足りなかったなんて言わないでよ。キス、結構好きだったから」
「別れのキスでもしますか?なんてかっこつけすぎ?」

どきりとした。
「かっこつけといて」
そのくらいサラリとかっこつけられるとこっちもかっこつけたくなる。
それが、のちにいい思い出、くらいに収まるのかもしれない。


というわけで…
今からTくんの家の最寄駅へ向かっているんだけどめんどくさ〜
なんでこっちが向かわなきゃ行けないんだろう
とは言え、立ち去るのは私の方なのか。

去年、元彼を追い出したのは私。
しょーもない自動車学校の教官に恋して後に切ったのも私。
高校三年の時別れを切り出したのも私。

…。
もちろん振られたことだって沢山あるから立ち去られる側の気持ち、ね。
なんとも言えない苛立ち。わかるんだけど
でもやっぱ、今私が好きなのは年下くんなんだ。


例え年下くんが私の元から黙って消えようと、好きなんだわ。

今週中に、マッチングアプリでゲットしたラインIDを年下くんとマグくんの二つのみに絞ろう。

昨日(一昨日?)の朝ツイッターに書き込んだ引き寄せ術のおかげなんだろうか、

夜には年下君から連絡がきて、深夜からうちに来ることに。

急いでハーゲンダッツ2個買って帰って、片付けて掃除して風呂に入って、

軽く化粧なんかして

 

待った。

 

「渋滞してておそくなっちゃう。ごめんね」と途中連絡が入って

「もし帰られてしまったら」と焦ったがそんな心配いらなかった。

もう決めていたんだ。ずっと。自分が何の仕事をして、どうやってご飯食べているのかちゃんと言うんだって。

 

久々に会った彼は相変わらず細い目で可愛く笑う。

 

細いのにがっしりした肩の筋肉がどう見てもかっこいい。褒めたら見せてくれる割れかけの腹筋にいつも羨ましいと思う。

 

私は少しどもりがあって、緊張すると言葉につまる。その日は特にそうだった。言わなきゃ。言わなきゃ。そう思うと、普通の会話もしどろもどろだった。

 

「ねえ、あのね。」

「うん。なに?」

「あの、えっと。……」

「うん」

「あのね」

あのね、その、うーんと。としばらく濁して

「Hくん、謝らなきゃいけなくて。ほんと。あの。私、最初はそんな、年下とか好きになるとかそんなまさかと考えていたし、でもH君のことどんどん好きになってくから言わなくちゃいけなくて、やっぱ大事だし…」

うんうん、と年下君(H君)はうなずく。

えいや!と口を開いた。

「私のしごとは、オペレーターじゃないの。」

「そうなの?」

「うんあのね。あの…私…ヘルス嬢なの。ごめん!」

年下君は思った以上に落ち着いていた。

「…あ、そうなんだ。」

「ひかない?」

そう聞いたら年下君は細い目を少し丸めてひかないよ!と言った。そして笑いながら

「ああ、それでか、なるほどね。変なこと言うけど、すごい気持ちよかったから納得した。」

 

スーっと、重たい力が抜けて行く感じがした。

よかった!!!ひいてない!よかったよかった!

 

「ねえ、こっちおいでよ」

 

そう言って私の手をとると年下君は私にキスをした。

ダイニングテーブルを挟んで座るこの場から革張りのベンチへ移動して

「もっとくっついて」と言われたら私の目からは涙が流れた。

「寝取られ気分だわ」と言いながら結局私たちはセックSUをした。

 

年下君はシテルとき、少しサドになる。

「お客さんといるのと俺と、どっちと居るほうがいい?」

「H君(即答)」

「…ならもっとキスしてよ」

こんな可愛い言葉はもちろん

あれして、これして、もっと咥えてよ。

書き連ねれば優しい言葉も彼の口調ではすごく命令になることが多々あって、3つも年上の私は「はい…」と従うのみ。

経験の少ない彼が、どうしてこんなにエロいんだろう?

どうやって育ったらこんな40代半ばみたいなことができるんだろう?熟している。

めちゃくちゃ。

びっくりするくらい。

 

 

さくっといってしまったが彼の彼はまだまだ元気だった。でも私の翌日の仕事を考え、終わらせて、駐車場へ向かった。彼が帰ったあとの部屋は…すごく現実的だった。きっとお客様の家から私が去ったあとなんかも

こういう感じなんだろう。

若干もう、帰ってもいいかなとか、考えていた。

水道橋駅で待ち合わせをして少々待つ間ずっと。眠かったし。

マッチングアプリで見る限り童顔で見た目はそんなに…。

でもラインしてる限りはいい子っぽいし…。

 

そうこうしているうちに改札から出てきた男の子は、すらりに背の高い、あどけなくてあか抜けない顔をしていた。

表情がきょとんとしていて可愛くて

今日一日がいい日になるって確信した。帰らない!帰りませーん!!

 

自然体で素直で犬みたい。

ずっと笑ってた。作り笑いとか無理に会話を引き出したりとか

しなくていい感じ。高校のときの彼を思い出した。

なんか、及ばない部分ぜーんぶ補ってくれる感じ。

居心地いいってこういうことね!

 

二人で会ったのは都市対抗野球を見る為で、25番ゲートを探して歩いていた。

「たぶんあっちの方に石がごろごろしてるところがあって…」

「あ、あった。あんなに石あったらほりたくなっちゃうなあ。私ね高校のとき、彫刻やってたんだ」

 

え?彫刻?といってまぐ君はノミと金槌のジェスチャーをした。

あれ、金槌役を左手にさせてるし、

よく見たら右腕に時計してる…

「ねえ、左利き?」

 

「え?すごいね、よくわかったねー!」

きた、彼もだった。

「私も左利きー!」

キャーキャー言いながらまたふらふらと歩み出した。

左利きだって言うだけで仲間意識が生まれるからやっぱり私、左利きでよかったと

いつも感じる。

でもだから、未だにあの年下君にも執着しているんだけど…。

 

場内にはいるため並んでいる間、

歩いて行く人たちのベルトを観察した。

左利きと右利きで、ベルトの巻き方向も違うのだ。

 

無事に楽しくデートは進み、仕事のこともきちんと話した上で

しゃぶしゃぶ食べて駅まで歩いた。

 

水道橋から反対方向のはずだけど、四谷まで一緒に乗ってくれた。

そういうところが犬っぽいのよ。

 

歩きながらくっついたり離れたりする腕と腕

お互い手に持ったうちわでちょっかい出し合って

 

なんか私今日すごく幸せだったわ!

 

 

 

昨日の仕事前に年下君に送った「すごく会いたい。すっごくすっごく会いたい!」というラインの返事は、22時ごろ帰ってきた。

「俺も会いたいけど今日すごく忙しかった」と、かわいい絵文字付きで丁寧に送られてきた。

あ、優しくふられていくんだな。

ってなんだよ、優しく「ふる」って。

 

事務所には大好きな男性スタッフのもじゃがいた。

そもそも、もじゃに恋してしまって、「スタッフに恋なんて御法度。いけない」と思い始めたマッチングアプリだった。

そこで出会った子に振られ気味で傷ついて、またもじゃの存在に慰められているんじゃ本末転倒よね。。

 

もじゃが食べていたクアアイナのフライドポテトをつまみぐいしながら化粧を直し、池袋へ。

 

そう。

 

はじめましてさんとデート!!

 

背がちょっとひくいけどガッシリ大柄で、優しそうな目をした人だった。

0くん。ラストオーダー間際の居酒屋で二人で呑んで、ご飯食べて、自分の仕事の話もして、

彼の話を聞いて

自然に。ごく自然に手を繋いで新宿歌舞伎町のホテルまで移動した。

ごく自然にキスして抱き合ってそこそこハードなプレイをして

(顔ふまれたり)

 

珍しく虚無感にかられることなく、朝を迎えた。

せっくsuこそ好みではなかったけど

でも私の要求に答えようとしてくれるし

なにより胸毛がセクシーだった。この人の腕の中は安心する。

どうしてだろう。別にいなくなっても、どうでもいいと、思っているからかもしれない。

 

おはよう現実。ホテルから出たときのむわっとした明るい空気に「現実」って突きつけられている気がして、私たちは目を細めた。

 

これから私はもう一人の年下の犬みたいなまぐくんとデートです。

これからタップルで知り合った初めましてさんと池袋で飲んで来まーす!!!

はやく年下君を忘れたい
それとも私が焦りすぎてて、年下君はのんびりと、私を愛しているのかなあ



わからない。


もう。