平日に昼間にカメラをぶら下げて大きな公園を散歩することが多い。
目に付くのは、幼い子を連れたお母さんやおばちゃん連中に老後を楽しんでいるご夫婦。
それに駐車場に停まっている営業マンの車。
その日は、心惹かれものがなく撮影をやめて、車に戻りコンビに弁当を食べることにした。
午後２時半の遅い昼食。
弁当を食べていると横に営業車らしき車が停まり、スーツを着た若い男性が携帯電話を取り出して、メールを打ち始めた。
ぼくのほうは弁当を食べ終り、文庫本を取り出して読み始めた。
横の男性はシートを倒して、昼寝をはじめたようだ。
あまりにも退屈な本だったうえ、日差しを受けた車内の温度もほかほかしてきて、眠気が襲ってきた。
我慢できずにシートを倒して、寝ることにした。
小一時間寝ただろうか。
退屈ながらも文庫本を読み始め、しばらくすると太陽が大きく西に傾いている。
大きな貯水池のある公園だから、何か面白い写真でも撮れるかもしれない。
外に出て、ぶらついてみるが心動かされるものがない。
車に戻ってみると、隣の営業車は停まったまま。
営業マンも寝たまま。
しかもエンジンをかけたまま。
ぼくは車のエンジンをかけて、公園を後にした。
ダッシュボードの時計は午後５時半だった。
午前中にハローワークに行って、求人票を見たら、時間給の派遣・契約社員ばかりだった。正社員募集は皆無。
正社員のサボリーマンは即刻くびにするべし。
仕事をヤル気満々の男がここにおります。
でも、交渉ごとは苦手なので、営業職は嫌だけど。