写真より、かわいい | 旅ノカケラ

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▼某月某日

開店前、店の事務所にいたら珍しくエリア・マネージャーが来ていた。
なんだ?と思っていたら、系列の店に配布しているフリー・ペーパーの撮影をするという。
『キャン・ギャル(キャンペーン・ギャルのこと)来るよ』
と言われたが、場の雰囲気は、し~ん。
たむろしている野郎どもからは、おおぉ!とか、やったぁ!とか、まったく歓喜があがらない。
それは、たまたま居合わせたスタッフの年齢層が高かったか、なぜかこの男どもを悩殺する魔法の言葉は魅力に欠けている。
バイトを始めてから、やたらと耳にする言葉でもある。
メーカーの営業の方が来て、展示即売会のようなキャンペーンを催すときなど
『すいません。今回はキャン・ギャルは来ませんので』と申し訳なさそうに言ったり
『キャン・ギャルが来ますから!』と意気揚々に言う。
そんなとき営業的に『残念・・・』としみじみ残念がったり、『マジっすか!』と喜んでみたりするが、内心はどっちでもいいのだ。
スタッフは接客、品出し、レジ打ちとゆっくり眺める暇もなければ、言葉を交わす暇もない。
すべては、お客様のために。
でも、うちの店に来ることは、歌手でいえばスーパーで歌うようなものなのでモーターショーのようにカメラ小僧が大挙して来くるってこ

とはない。
あー、何かやっているなぐらいの野の一輪の花のようなモデルさんがやってくる。


今回のモデルさんはかわいかった。
開店前、撮影用のメカニックスーツ(布製のつなぎ)に着替えるため、ぼくが担当しているソフトコーナー(ヘルメットやウェアなどの売り場)にやってきた。
更衣室から出てきて、『用意できましたぁ』と甘ったるい語尾が上がる(佐藤珠緒の上をいっている)口調はなんだぁ?と思いつつも、けっこう光っておりました。
フリー・ペーパーで見ていた感じよりも、かなりいい。
思わず『写真よりも、かわいいですね』と言いそうになったが、言葉を飲み込んだ。
普通ならば、褒め言葉になりそうだが、プロのモデルは写真に写った出来ばえによって、いい、悪いと評価されてしまう。
それは、写真写りが悪いって意味にもなってしまう。


モデルといえば、マネージャーがいたりしそうだが、そんな付き人はいなくて単身で現場に来ていた。
そして『着替えた洋服は、どうするんですか?』と本部の世話役のスタッフに尋ねていたが
スタッフの方はそんな些細なことも気がつかなかったようで
『えーと、んー、んー』としばらく悩みながら
『レジで預かってもらって』と投げやりな感じ。
甘ったるい声で『はーい』と笑顔で返事をしていたが、駆け出しのモデルさんは色々大変なようです。
仕事の途中でレジ裏に行ったら、誰も掃除をしない売り場に出せない商品を置く棚にモデルさんの私服が置かれていた。
ぼくだったら、げっ、こんな埃が溜まっているところに置かれている!ぷんぷん、となってしまうだろう。
店の入口にお客さんにヘルメットを入れてもらうロッカーがあるのに、誰も気がつかなかったようです。


残念ながら、ピットで撮影が行われたので、撮影の様子は見られなかった。
撮影を終えたモデルさん、撮影スタッフ、店長が世間話をしていたら
パーツの問い合わせをしていたお客さんが口をぽかんと開けながらモデルさんを眺めていた様子はちょっと笑えた。