温泉に行ってきました | 旅ノカケラ

旅ノカケラ

@人生は先がわからないから、面白い。
@そして、人生は旅のようなもの。
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▼某月某日

予定がない休日をダラダラ過ごすと、心も体も腐ってしまいそうだ。
休みの前の日は仕事をしていても、明日は休みだからと嬉しくなるが、いざ当日を迎えてみると、ぽっかり穴がいたように、時間だけが漂い、無意味な時間が過ぎていく。
しまいには脳が仮死状態のようになり布団に包まって昼寝でもして安上がりな快楽を貪ろうかと思考が働く。
こうなると、安易な快楽の果てに「あー、今日も無駄な一日」と、悔いだけが待っている。

とりえあず、外に出かける意思を強くもってみる。
そういえば、しばらく温泉に浸かっていないなと、近くの温泉を思い浮かべてみた。
そういえば、カワセミがいる川があったなと、近くの川を思い浮かべてみた。

写真のプリント店で短期間バイトをしたことがあった。
お客さんがある写真を大きく引き伸ばすために店に訪れたときのこと。
出来上がった写真には綺麗なカワセミが写っていて、思わず
「すごく綺麗ですね!どこで撮ったんですか?」
と尋ねてみた。
お客さんはニヤニヤして教えてくれない。
初対面でもあったし、もしかしたらお客さんの秘密の撮影ポイントかもしれない。
でも、直感的にわざわざカワセミを撮りに他府県まで行かずに、どこか近くで撮影したに違いないと確信した。
んー、どこだろう?
でも、この近くにカワセミなんているのだろうか?
そんな思いをずっと心の隅に閉まっていた。
ところが先日、地元近くの自家製畜産加工食品を売っている観光地に寄って、プリントされた付近の案内地図を見たら、「カワセミがいる川」と書かれていた。
なんだ、ここか。
何度も車やバイクで走っている県道に面した場所だ。

カワセミを見に行って、温泉に浸かって・・・
そう考えると眠気も覚めて、早く外に出たくなる。
車で行くか、バイクで行くか、どちらがいいか。
ぽかぽかの陽気なら迷わずバイクだろう。
前の晩にバイクに乗っていて雹が降られ寒い思いが残っている。
一瞬、車に惹かれたが、近くだし、日が落ちる前に帰ってくればバイクでもいいだろう。
冷え切った体をお湯に沈めてジンジンゾクゾクしてくるあの感じを久しぶりに味わいたい。

でも、カワセミには出会いませんでした。
そのかわり数本、梅の花が咲いていた。
まもなく埼玉の冬が終わろうとしているようです。

途中で2キロ弱もある長いトンネルを抜けたら、山々に残雪が見え、気温がぐっと下がった。
梅の花なんて見当たりません。
同じ埼玉でも春はまだ先のようです。

中高速コーナーが続く快走路を走っていると、やたらとバイクとすれ違う。
コンビニエンス・ストアの駐車場にはバイクをずらりと並べた団体がたむろしている。
なぜだー?
バイクを走らせながら、そういえば今日は祝日だったと思い出した。
平日休みばかりで、曜日の感覚も日にちの感覚も「国民の休日感覚」から、だいぶずれているようです。

ということは・・・
嫌な予感がする。
日頃、平日の温泉ばかりに浸かっているから芋洗い状態が予想される温泉に耐えられるか。
日帰り温泉の駐車場には車がびっしり。
玄関に入ると、登山装備のいでたちのハイカーが大勢入浴を終えて出てくるところだった。
おー!ラッキーと思ったが、これってまずい。
登山経験者はわかると思うが、登山口にある温泉の湯船には、よく「湯の花」が浮いている。
かけ流しなら、湯船は常に新鮮な湯で満たされている。
ところが循環している湯船は登山者のたっぷりかいた汗が湯の花のごとくプカプカ浮いていたりするものだ。
とある温泉で登山者の入浴を断っているところも目にしたことがある。
んー、まずい。
でも、温泉を目の前にして帰れない。
意を決して(?)温泉に入ることにした。
湯船に続く戸を開けると、思ったとおり洗い場はいっぱい、場内もいっぱい。
が、不思議なことに湯船に足をつけたまま外を眺めている人が多い。
外には露天風呂がある。
とりあえず頭と体をざっと洗って内風呂に浸かった。
ジャグジーなのでお湯の汚れがわからないが冷え切った体がじんわり溶けていくような感じ。
一息ついて外を眺めると、露天風呂は湯を抜かれ、温泉のスタッフがデッキブラシでゴシゴシ湯船を洗っているではありませんか。
露天風呂の岩作りの湯船の端っこに黄色いバスクリーン(?)らしきものが見えるのがうすら悲しい。
ドアには「清掃中のため只今立ち入り禁止」の張り紙。
外を眺めている人のなぞは露天風呂の掃除が終わるのを心待ちにしていたのだ。
それにしても午後4時に清掃とは・・・
掃除が終わり、湯船にお湯を流し始めたがいっこうに開放されない。
1時間ほど湯に浸かり、もうフラフラ。
いつもは30分ほどで出てしまうから、限界に近い。
我慢しきれない人々が去って、少しは空いたが、祝日とあって5時を過ぎても人がやってくる。
みな張り紙を眺めて無言で内湯に身を沈めていった。
ところがおじさん二人が露天風呂に向かって湯船に浸かった。
それを見た人々が次から次へと露天風呂に浸かりに行き始めてしまった。
外の風に当たりたく、露天風呂がある外に出てみると、ちょうど半身浴のようなお湯の量。
思わず露天風呂に入ってしまった。
かなりぬるいがのぼせた体にはちょうどいい。
湯船に浸かっていると、温泉のスタッフがやってきて、37度でいい湯加減になるにはもう少しだと話して行った。

さて、なぜ掃除していたのか?
湯船の中であるおじさんが話していた。
「今日、何かあったんだよ。知っているけれど、話せないけど。子供がやったことだからね」
子供がやったこと?
まさか・・・!?