今年もお世話になりました。今年最後に来年の展望をちょっと考えてみました。
まず、統一教会+増税+裏金キックバックで、内閣支持率も2割を切るなど、政局は自民党にとって芳しくない状況ではありますが、岸田政権について多くの方が事実誤認している点が1つあります。
それは、岸田首相が、実は増税メガネどころか「大減税メガネ」であるという点です。岸田政権が行った、かつてないレベルでの大減税政策が、2024年1月から(つまり明日から)始まる新NISA制度です。つみたて投資枠が40万から120万へ拡大の上に非課税保有期間が20年から無期限となり、個別株も120万から240万へ拡大され、こちらも非課税期間が5年から無期限になります。
巷で言われている増税や負担増が吹き飛ぶレベルの超大減税政策がなぜ評価されないのか。
それを計るヒントはNISA口座数にあります。新NISA制度の開始が迫るのに伴い、口座開設数が急速に伸びているとはいえ、2023年9月時点で総数は1356万口座。要するに6〜7人に1人の割合でしかNISA口座を保有していないことになります。
この人たちしかこの大盤振る舞いの大減税の恩恵に与れないのですから、支持率上昇に繋がらないのも頷けます。資産をある程度投資に振り向けられる層、つまり経済的余裕のある、上位3〜20%くらいの層への大減税政策というわけです。
3%以上のそれこそ億単位で資産を持っているような人にとっては新NISA程度の制度では誤差範囲の減税にしかならないので恩恵は限定的です(が、間違いなく受けてはいます)。
逆に、NISAに資産を振り向ける経済的余裕のない人にとっては、新NISAの減税分の恩恵を全く受けることができずに、その穴埋めとしての他の増税や負担増だけをモロに食らうということになってしまうわけで、やはり逆進性を持った再分配機能になり得ます。
「ミドルアッパー層への大減税」及び、「アッパー層へのちょい減税」を全国民で広く負担する、ということになるわけです。
そして困ったことに、新NISAでの投資枠拡大に伴い国民の投資総額も増えることになり、また、当然、人気の海外投資が基軸となることから、円安と物価高が更に進むことにもなるのではないでしょうか。
なぜこんな状況を野党が追及しないかといえば、そもそもNISA拡充を訴えて公約にまで掲げていたのは、自民党ではなく、立憲、維新、国民、の3党だからです。野党としてはより多くの国民が投資による恩恵を受けられるように、という意味で訴えたのでしょうが、野党サイドとしては投資に振り向ける余裕が全くない層がこれほど出てくるとは想定していなかったのかもしれません。
例えば、所沢市内における国民健康保健税の減免制度を受けている人は全体の55%もいて、7割、5割、2割の3種の減免制度を受けている人のうち「7割の人が7割減免」だそうです。これをもって「制度的に破綻している」という批判がなされていましたが、要するに、経済的余裕の全くない人が物凄い人数で増えていることの裏返しということになります。
更に日銀の動向ですが、予想通り大規模緩和維持となりました。日銀は諸々の理由から引き締めには舵を切れないので、ここでもインフレと円安の加速に歯止めをかけることはできません。現在141円(2023.12.31)と円高傾向にありますが、来年から順次、兆単位の資産が海外投資へ流入するでしょうから、早晩逆張りが利いて来る時が来るでしょう。
結果、2024年は引き続き円安とスタグフレーションがずるずると進み、格差も拡大し、国民の不満は一層高まってくるものと思われます。
来年も全くもって明るい展望は見えては来ませんが、とりあえず良いお年をお迎えください。(ひでえ投稿だ笑)