先日、ウクライナの戦況について書いた際、東部イジュームの東、リマンの情報で
「ウクライナ軍によるロシア軍への完全包囲が成功した模様で、今後ロシア軍は文字通り四方八方からの攻撃で包囲殲滅される可能性が高まりました」
と、書きましたが、どうやら本当にそうなってしまいました。
撤退に遅れたリマンに駐留する5000人のロシア軍は東のザリチネへ繋がる唯一の退路に向かって撤退していましたが、ウクライナ軍はここに無数の地雷を敷設し、道の両サイドにも数百のスナイパーを配置し、逃げるロシア兵を捕捉したそうで、5000人の部隊は両側面からの集中放火を浴びて、ほとんど全滅したそうです。
現時点でのロシア軍の戦死者は2〜3万と言いましたが、ここへ一気に5000という数字を加えることができるわけで、ウクライナにとっては大戦果と言えるでしょう。
しかも本来その撤退を援護するためにザリチネに派遣されたロシア軍は、南北から迫るウクライナ軍から逃れるために、早々と川向こうのトルスクへ撤退しザリチネとトルスクの間を流れるゼレベッツ川にかかる橋を爆破してしまいました。つまり味方がまだ西に残っていてこちらに向かって撤退している最中なのに、自分達が助かりたいが為に橋を落としたことになるわけです。酷い。
そもそも、リマンに残っていたロシア軍は再三、撤退要請をしていたのに、プーチン大統領がそれを拒否し続けていたわけで、それが今回の事態を招きました。
軍略に対して政治サイドが口を出すと碌な事にならない典型です。もっと言えば、我が国では無条件で美徳とされるシビリアンコントロール(文民統制)ですが、それが最も醜悪な形で発揮された好例であり、他山の石とせねばならないと思います。