1970年代の事件
◎オンリーワン!
ナンバーワンにならなくても
オンリーワンになればいい。
スマップの名曲
「世界に一つだけの花」
一番にならなくても
あなたはオンリーワンの存在だ。
ナンバーワンを目指して争うことはない。
オンリーワンになればいい。
素晴らしい歌だ!
人はなぜ争い、一番を目指すのか?
色々な花があっても
全ては美しい!
その花のように
あなたはオンリーワンの存在なのだ。
あなたの花を咲かせるために
一生懸命になればいい。
誰かと競う必要はない!
そう…人と争う必要はない。
オンリーワンの存在になれば、
それだけで美しいのだ。
オンリーワンになれば…。
しかぁーし!
世の中そうとばかりは言ってられない。
オンリーワンになったが故に、
美しくなく、醜い存在もある。
オンリーワンは美しいとは限らない。
醜いオンリーワンもあるのだ。
そういう事件が以前あった。
1979年10月13日の新聞夕刊に
以下の記事が載った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
国際電電、”密輸”で摘発
--------------ーーー
現在、日本の大手通信会社
KDDI
この会社は数社が合併等をしてできた。
その内の一つがKDDだ。
日本名では国際電信電話株式会社。
この会社は株式会社ではあるが、
国際通信を独占して扱う唯一の会社。
いわば独占企業だった。
一応、株式会社と言いながら、
国際電信電話法の枠内にある特殊法人だった。
この会社は特殊だった。
例えば一応、公的業務(国際通信)を取り仕切りながら、
その業務は全くの独占であり、
なおかつ民間企業のような活動が許された。
それ故に高収益だった。
例えば1978年度の決算では
売上が1200億円ほどで、
税引き後の利益が約98億円。
因みにこの金額は
できるだけ少なくして98億円だ。
なぜならあまりにも多いと、
「電話料金を下げろ」と言われるから。
一生懸命利益(コストではない)を削って、
利益を落としてこの金額だ。
しかもKDDは
監督官庁からの審査が緩い。
例えば同じような企業体に
国鉄(現JR)があるが、
国鉄の場合、予算を国会に提出し、
承認を受けなければならない。
一応、KDDは郵政省の監督は受ける。
それ故に郵政省には資料を提出するが、
事実上、それは機能していない。
郵政省はKDDとツーカーであり、
実際の監督は受けていなかったのだ。
事実、KDDの当時の社長(板野学)は
郵政省からの天下りだ!
つまりKDDとは…
公的な仕事を一手に受ける独占企業で、
民間企業並みの自由を謳歌し、
監督官庁(郵政省)とは密接な関係にある
日本で唯一の存在なのだ。
うーむ!
羨ましい!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
KDD 唯一だ
KDD 唯一の存在
KDD それが俺たち
KDD 国際電信電話株式会社
KDD KDDだ!
KDD なにせ国際電話は
KDD 俺たちの独占
KDD 日本は高度経済成長をし、
KDD 国際業務を多数手がけてきたので
KDD 収益はうなぎ上り
KDD 何もしなくても高収益
KDD ここだけの話
KDD 1ドル360円換算で料金を設定
KDD 1972年以降、円高になり
KDD 1979年当時は200円~240円
KDD 通常ドル決算すると
KDD 240円とかなんだけど
KDD うちは固定レート当時の
KDD 360円を採用していたので
KDD その分大儲け
KDD だから売上1200億円だけど
KDD 税引き後利益は98億円
KDD それもかな利益を圧縮しての
KDD 98億円!
KDD えっ?コストの圧縮?
KDD 違う違う!
KDD 利益を圧縮したの。
KDD 普通の企業ならコストを削減して
KDD 利益を出すんだけど
KDD ウチは利益を圧縮する
KDD なぜならあまりにも高収益なら
KDD 電話料金下げろ!
KDD そう言われるだろ!
KDD だから少なくとも税引き後利益を
KDD 100億円以下
KDD それで人件費や保守費
KDD その他を多く見積もって
KDD やっと98億円に下げた。
KDD まあ監督官庁の郵政省とは
KDD ツーカーだから
KDD 大体、社長自体が
KDD 郵政省からの天下りだし、
KDD その他の監督は入らないから
KDD 全く問題ない
KDD 公的独占で、民間並みの自由があり
KDD 実質監督されない。
KDD 俺たちこそオンリーワンだ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とは全く言っていないが、
事実そうであった。
本当に羨ましい。
◎オンリーワンの手口!
ところで先の引用した記事、
ーーーーーーーーーーーー
”密輸”で摘発
ーーーーーーーーーーーー
とは何か?
これは…
まさにKDDのオンリーワンの
オンリーワンたる所以だ。
KDDはその業務から
海外出張が多い。
多くの社員が日常的に海外出張をしていた。
その立場を利用して
海外の美術品等を密輸していたのだ。
それも会社ぐるみで!
なぜそんなことをしていたのかというと、
表向きは取引先への贈答品だ。
KDDは海外企業との取引も多いが、
その相手は企業だけではなく、
海外の政治家や官僚も多い。
その彼らへの贈答品として使われていた。
しかし…それ以外にも使われていた。
それは…
日本の政治家等への賄賂だ!
むしろその方が多かったようだ。
と…いうのは、海外の取引先なら
日本の品物の方が喜ばれるからだ。
例えばフランスの美術品を輸入しても
フランスの取引先には贈れない。
むしろ日本の美術品の方が喜ばれる。
そのため海外へ…というのは表向きの理由で
日本の政治家等への賄賂として使われた。
特に美術品が重要なのは…
値段があってないようなものなのだ。
それ故に政治家に美術品を贈りながら、
その美術品を買い戻すルートまであった。
つまりこういうことだ。
政治家に美術品を送る。
それを美術商に売却する。
その売却額が政治家への賄賂となる。
そしてKDDでは数社の美術商と結託し、
その美術品の買取も進めていた。
その流れとは…
1.KDDが海外から美術品を密輸。
2.KDDが美術品を政治家へ贈る
3.政治家が指定の美術商に売却
4.売却益を手に入れる。
このようにして賄賂が贈られる。
これがKDD事件として世間を賑わせた。
因みに政治家だけではなく、
官僚や企業関係者にも贈られた。
うーむ!頭がイイ。
まさにオンリーワンのやり方だ。
キックバックで裏金つくっている今の派閥政治家に
教えてやりたいわ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
KDD オンリーワンだ
KDD これこそオンリーワン
KDD 俺たちしかできない
KDD 賄賂の手口だ
KDD まず俺たちは海外出張が多い
KDD そこで社員を海外に派遣する際に
KDD 美術品を大量に買わせる
KDD それを密輸して、
KDD 政治家などに渡す
KDD 政治家は美術品など欲しくないが、
KDD 金は欲しい!
KDD そこで美術品を美術商に売却する
KDD もちろん指定の美術商がおり、
KDD そこに売却してもらう
KDD そうすると希望価格で売却でき
KDD それが賄賂となる
KDD これのいいところは
KDD 美術品の価格はあってないようなモノ
KDD 例えば100万円の絵でも
KDD 1億円と言われても
KDD 間違いではない。
KDD ゴッホの絵も生前に売れた絵は
KDD たった1枚
KDD それも400フランだった。
KDD 今はフランはユーロになったが、
KDD 400ユーロでも約6万円ほど。
KDD それがゴッホの生涯の全収入だ。
KDD しかし今では億をくだらない。
KDD 美術品とはそういうもの。
KDD だから政治家に贈って
KDD それを美術商が1千万円で購入しても
KDD 全く問題ない。
KDD まあ美術商も商売だから
KDD あまりにも高額なら買えない。
KDD でも大丈夫!
KDD 俺たちが再購入するから
KDD 例えば100万円の絵を
KDD 政治家の希望で1千万円で購入したら
KDD こっちが1200万円で美術商から
KDD 再購入する。
KDD それなら全く問題ない。
KDD えっ?KDDが損する?
KDD 大丈夫
KDD ウチは高収益だから
KDD その程度はビクともしない。
KDD むしろ政治家に便宜を払って
KDD 現在の高い電話料金を維持する
KDD それがKDDの最優先事項
KDD それができるのは
KDD 海外出張が多く、
KDD 公的な独占企業で、
KDD 民間並みの活動ができ、
KDD なおかつ監督官庁のチェックが甘い
KDD 唯一の企業
KDD 我々KDDだけだ。
KDD 我々こそがオンリーワンだ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とは全く言っていないが、
でもオンリーワンの企業だった。
何と言っても独占なのだから。
KDDとはオンリーワンの存在。
独占的な業務をし、
民間企業並みの自由を謳歌し、
なおかつ監督官庁とツーカー
そして海外出張が多いという立場を利用して
会社を挙げて密輸に取り組んでいた。
その美術品を使って
政治家に賄賂を贈った。
確かにKDDじゃなきゃできないわ。
オンリーワン…って
醜い奴らの
代名詞なのか?