1970年代の事件
◎検非違使!
愛する女性を前にして、
男は誓いの言葉を述べる!
世界中を敵に回しても
君のことを守り抜く!
素晴らしい言葉!
冷静に考えれば世界中を敵に回すとは
その女は
何をやったんだ?
そう思うかもしれないが、
そんなことは関係ない!
無条件で素晴らしい言葉だ!
そして考えてもらいたい。
たった一人の女性を守るために
我が身を捨てて働くことが尊いのなら、
都市全体を守ることは
もっと尊い!
都市には大勢の人が住んでいる。
その大勢の人を守る!
なんと尊い!
そして日本を代表する都市といえば…
京都!
京都はその後、東京に首都が移るまでの間、
1100年もの間、都であった!
まさに日本を代表する都市だ!
その京都は昔、平安京といった。
いくつかの遷都を行い、
その後、定着したのが平安京、
現在の京都である。
平安京には約10万人が住んでいたという。
10万人というのは、
現在から見るとそうでもないが、
当時は日本最大であった。
しかし都市が大きくなり、
多くの人が住むようになると、
起きるのは犯罪。
ほとんどの人はそうではなくても、
中には悪い奴らもいる。
大勢の人が集まれば、
それだけ悪い奴らも増えてくる。
そして大都会平安京を守っていたのが、
検非違使!
検非違使とは…
非違(不法、違法)を検察する天皇の使者だ。
つまり京都の治安を守る正義の使徒。
それが検非違使だ!
そしてその検非違使は色々な物語で活躍する。
例えば…これ!
国際的に評価も高い日本映画の金字塔。
黒澤明監督の羅生門だ!
この中で各々の意見を聴取するのが、
検非違使だ!
このように検非違使は日本の物語に
欠かすことができないものだ。
その中でも一番活躍するのが
これだ!
平安京エイリアン!
治安を壊すエイリアンから
平安京を守り抜く
それが検非違使の役割!
それでは平安京エイリアンをご覧ください。
レトロだ!
当時はこんなもんで盛り上がっていたのか?
現代ではこの程度が必要だ!
まっ…まあエロゲーだが、
この程度は必要だな!
しかし当時、このゲームはヒットした。
それまでは攻撃することが主体だったが、
このゲームでは街を守る。
そういう意味では斬新だったようだ。
世界中を敵に回しても
検非違使は平安京を守る!
実際に京都は何度も戦乱に巻き込まれて、
あまり守れなかったようだが、
平安京エイリアンでは都を守る!
それがゲームの醍醐味だ。
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検非違使 守る
検非違使 俺が守る
検非違使 平安京は俺が守る
検非違使 当時の人口は約10万人
検非違使 日本の中では群を抜いた大都市
検非違使 その大都市には
検非違使 悪い奴らも大勢来る
検非違使 検非違使の「非違」って
検非違使 不法・違法のことだ
検非違使 その不法・違法を
検非違使 検察する天皇の使い
検非違使 それが検非違使だ!
検非違使 だから当然都市を守る
検非違使 誰が相手でも
検非違使 世界中が敵に回っても
検非違使 都を守るのが俺たちの役割
検非違使 それが人間じゃなくても
検非違使 エイリアンであっても
検非違使 都の平和を守る
検非違使 それが俺たちの役割!
検非違使 まあ多少やられることもあるけど
検非違使 例えば応仁の乱とか
検非違使 でもそんな中でも
検非違使 結構頑張ってきたんだ。
検非違使 そんな俺たちが主人公の
検非違使 それが平安京エイリアン
検非違使 ぜひプレイしてくれ!
検非違使 ハマるぞ!
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確かにエイリアンはハマってるな。
今では逆の意味で斬新だろ!
◎平城京にはいなかった!
ところでこの検非違使だが、
平城京時代にはいなかった。
検非違使が記載されているのが、
816年が初だ!
平安京への遷都が794年だから
その22年後!
つまり平安京の前の(長岡京の前の)平城京には…
エイリアンと戦う
検非違使はいなかった。
そっ…そうか…
だからこんな事件が起きたのか?
1975年4月11日の新聞夕刊に
以下の記事が載った。
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文化財、私権寄り切る
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記事によるとこういうことだ。
奈良市の特別史跡、
平城京東院跡敷地内に、
無許可で家を建てていた2名がいた。
彼らは自らの農地内に家を建てたが、
その土地は特別史跡になっており、
建設には文化庁の許可が必要となっていた。
しかし2名は建設を強行。
それに対して文化庁は
建設の不許可を通達していた。
それで裁判になっていたのだが、
この度、最高裁の判決が出た。
結果は文化庁側の意見が通った。
その理由は…
「文化財保護のためには
私権の制限はやむを得ない」
というもの。
自分の農地に建物を建てる(私権)より、
文化財を保護する方を優先した。
まあ建物を建てる緊急性もなかったようだから、
仕方がない。
それよりも自分の土地とはいえ
特別史跡内に入っている場所を
開発するとは…
しかも話し合いの最中に強行するとは…
大胆だな。
さすがにこれは無理だろう。
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文化庁 無理です。
文化庁 無理やりです。
文化庁 だって無理なんですよ。
文化庁 法的にも!
文化庁 そこは特別史跡で
文化庁 開発ができない土地なんです。
文化庁 でもそこの2名が…
文化庁 それを知りながら
文化庁 建設を強行!
文化庁 話し合いの最中に
文化庁 強行したんです。
文化庁 まあ向こうも色々な思惑があり、
文化庁 妨害するつもりはなかったようですが
文化庁 事実は妨害です!
文化庁 しかも彼らは裁判を起こし、
文化庁 こっちを訴えてきた。
文化庁 だから迎え撃ったのですが、
文化庁 結果は当方の勝訴!
文化庁 結局、彼らは敗訴し、
文化庁 家を撤去せざるを得なくなった。
文化庁 まあ彼らは金もうけのため
文化庁 そういうことのようですが、
文化庁 結局、無理筋ですよね。
文化庁 お上に逆らうなんて!
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とは全く言ってないが、
文化財保護を名目に文化庁の勝訴となった。
でも結局、
文化庁に買ってもらるからイイじゃん
とはいえこんな争いが起きたのは…
検非違使がいなかったからだ。
平安京にはエイリアンが侵入しても、
検非違使が退治してくれる。
しかしその前の平城京には
検非違使がいなかったから
エイリアン(建物)が侵入した。
やはり検非違使は必要だった。
平城京はたった74年(710~784)
しかし平安京はのちの京都も含めて
約1100年(794~1869)
この違いは
検非違使がいたかどうかだった。
やはり検非違使の存在は偉大だった!
ところで現代には検非違使はいるのか?
なんか非違(非法・違法)が
まかり通っているように思うが…。