片山刑事の言葉「弱ければ、大切なモノを守れない!」 | 最近の古いモノは!

最近の古いモノは!

「最近の若い者は…」とよく言われますが、
そう言う「古い者」はそんなに立派だったのでしょうか?このブログでは過去の新聞記事等をベースに、「古い者」の昔を検証してみます。
「最近の…」と言われたら、「あなたの時代はもっと悪かった」と言ってやりましょう。






1970年代の事件



無意味でなく有害な存在!


男は強く無ければ
大好きな人はみんな遠くへ行ってしまうんだぞ


映画「刑事物語2 リンゴの詩」で
武田鉄矢扮する片山刑事が
自分を慕う少年タケシに諭す言葉







簡単に言うと、

強く無ければ

大切なモノを守れない!

そういうことだ!




一生君を大切にする。
世界中が敵に回っても僕は君を守る!



こんな事を言っても、
実際はイザとなったら逃げる奴も多い。


こういうことをプロポーズの時に言っても、

5年経つと言った本人も忘れている。


と…いうか…言った傍から忘れている。





しかし武田鉄矢の言葉は本質を突いている。



強く無ければ守ることはできない。

強く無ければ、
大切なモノは遠くへ行ってしまう。



それは何も男女間だけではない!



強く無ければ守れないモノ





それは…

金庫だ!


金庫とは
現金や有価証券などの
貴重品を収蔵する施設または容器。


金庫は貴重品は守られること…
つまり盗まれたりしないためにある。



金庫に入れていれば、
例え泥棒が入っても安全。

それが金庫の金庫たる所以だ!




しかしその金庫が…

簡単開いたらどうなるか?



現在はどうか知らないが、
以前はそういうこともあった。





19717月8日の新聞夕刊に
以下の記事が載った。

ーーーーーーーーーーーーー
弱い金庫に警察悲鳴
ーーーーーーーーーーーーー


記事によるとこういうことだ。



当時、金庫破りが常態化していた。

「金庫に入れれば貴重品も大丈夫」

こういうスローガンの下、
各社は金庫を売りまくっていたが、

実は強度が足りない金庫が横行しており、
そのため被害に遭うケースが多発していた。



今年(1971年)に入って、
東京都内だけで既に150もの被害があった。


金庫はガスボンベで焼き切るケースや
バールでこじ開けるケース。
中にはドライバー一本で開けられることもあった。




要は強度=つまりさが足りないのだ。

バールなどを使えば、
人力でも簡単に壊れてしまう。
当時の金庫はそのように脆弱なものがあった。


警察でも
「その気になれば、金庫は破れる」と述べ、

金庫製造業界も
「正直言って、時間をかければ鍵が無くてもあく」
と証言する。


うーむ!


時間をかければ、開いてしまう。


全く金庫の役割を果たしていない。


そしてそういう脆弱さが広まったので、
金庫破りが続々と続いたのだろう。


逆に金庫があれば、貴重品の在処がわかるので
むしろ狙われやすくなるだろう。



強くない金庫!

弱い金庫など無意味どころか…

有害な存在だな!

 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
警察  無意味だよ
 

警察  金庫は無意味!
 

警察  だって…いんだよ
 

警察  単純に強度が足りない。
 

警察  例えばダイヤル式で
 

警察  複雑な開け方が必要でも
 

警察  それは全く無意味だ!
 

警察  だってバールを隙間に差し込んで
 

警察  こじ開ければいいんだから
 

警察  それも大した力がいらない。
 

警察  大人の男性なら誰でもできる。
 

警察  その程度の強度…
 

警察  と…いうより脆弱なモノ
 

警察  それが金庫なんだ。
 

警察  元々金庫はある程度注目されていて
 

警察  これを入れたから泥棒も平気
 

警察  オーナーもそう思っていた
 

警察  唯一の弱点は持ち運べること
 

警察  だから数十キロの重い備え付けの金庫
 

警察  それなら大丈夫だと思ったらしいが、
 

警察  意外な盲点があった。
 

警察  それが脆弱なんだよ。
 

警察  持ち運ぶ必要も鍵を開ける必要もなく
 

警察  ダタこじ開けるだけ
 

警察  それで簡単に開く。
 

警察  それも悪いことに
 

警察  思いのほか脆弱だと分かって
 

警察  むしろ狙われるようになった。
 

警察  だって金庫だから、
 

警察  貴重品があるのが分かり切っている。
 

警察  金庫があれば、
 

警察  他を物色する必要は無い。
 

警察  つまり金庫こそ
 

警察  泥棒を誘発するのだ。
 

警察  金庫とは無意味どころか
 

警察  有害な存在だ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 



とは全く言っていないが、

弱い金庫とは無意味どころか有害であるとは

その通りだな!






JIS規格!

ところでどうして強度が足りないのだろうか?


それは…

当時の金庫は
火災から守るためにあったからだ。



元々金庫は「耐火庫」と呼ばれ、
「防犯」上のものでは無かった。
耐火性能が無いものを「耐火庫」に対して「金庫」と呼んだ。


事実、当時の通産省も

「日本の金庫は火には強いが、物理的力に弱い
と認めている。


そして「耐火庫」にはJIS規格があったが、
防犯上の「金庫」にはJIS規格は無かった。

JIS規格とは
日本産業規格と言い、産業標準化法に基づき、
認定標準作成機関等の申し出を受けて、
主務大臣が制定する規格であり、日本の国家標準。


つまり耐火上とは違い、
防犯上の基準が無かったのだ

事実、こちらによると、
耐火上は1966年にできているが、
防犯上は2006年までできていなかった。



2006年って…

最近じゃねーか!


それで火には強いが、
力には弱い金庫が大量にあったのか!

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
業界  まあそうだね。
 

業界  金庫って
 

業界  力には弱いよね
 

業界  なぜなら元々火災用だから
 

業界  つまり火事が起きて
 

業界  中のモノが燃えたら困るでしょ。
 

業界  そういうためのものが
 

業界  金庫だから
 

業界  だから金庫って耐火庫
 

業界  そう言われている。
 

業界  普通の金庫とは耐火性能が無い奴で、
 

業界  一段下に見られる。
 

業界  そして耐火庫にはJIS規格があり、
 

業界  性能が決まっている。
 

業界  例えば厚さ1~1.6mmで外の温度が千度
 

業界  それでも耐火庫内部は106度以下
 

業界  そのように決まっている。
 

業界  これ以下なら耐火庫の中の紙、
 

業界  つまり紙幣等が燃えることは無い。
 

業界  その基準が火から内部を守るんだ。
 

業界  でも防犯上の性能には
 

業界  JIS規格は無い
 

業界  例えば耐火性能が無い金庫
 

業界  つまり普通の金庫は
 

業界  力による衝撃に対して
 

業界  どのくらい耐えなければならないのか?
 

業界  基準が無いんだ!
 

業界  だから強度が弱くても問題ない。
 

業界  基準が無いんだから、弱くてもいい
 

業界  まあ弱い金庫なら
 

業界  大切なモノはみんな…
 

業界  無くなっちゃうけどな!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 




と…言うことのようだ。


まあ火災から守ることは大事だ。

しかし盗まれないようにすることも大事だ。


火災だろうが泥棒だろうが、

大切なモノを失うことは変わらない。



強く無ければ、
大切なモノは遠くへ行ってしまう。


武田鉄矢の言う通りだ!



弱い金庫のおかげで
大切な金が遠くへ行ってしまった。



代わりに近寄って来たのは
泥棒ばっかりだな!