余計なことをする必要はなかった! | 最近の古いモノは!

最近の古いモノは!

「最近の若い者は…」とよく言われますが、
そう言う「古い者」はそんなに立派だったのでしょうか?このブログでは過去の新聞記事等をベースに、「古い者」の昔を検証してみます。
「最近の…」と言われたら、「あなたの時代はもっと悪かった」と言ってやりましょう。



1960年代の事件






余計なこと!


余計

モノが余っていること。
必要な数より多くあること。
無駄なこと。




余計なこととは、
やる必要がない!



もう十分なのに、
このまま放っておけばよいのに、


要らんことをしたことで、
物事がうまくいかなくなる。



昔、結婚式の2次会で、

2人の思い出の場所は?

という質問をして2人に同時に

フリップに書いてもらったことがある。



その時新郎の書いた場所が…

新婦が行ったことのない
場所だった。



その場に微妙な空気が流れた。


本当に…余計なことをしやがって。






ある誘拐事件の犯人が…

自慢話ついでに昔、警察に表彰された話をした。



子供の頃、火事を発見し、警察に通報、
そしてボヤで消し止めたという話。


そして近日あった大火事について話した。



その火事を「見ていた」と言った犯人は、
アリバイと矛盾することに気が付かなかった。



それを追及されて、アリバイが崩れ、
結局有罪判決を受けた。




余計なことをしゃべりやがって。



こういうことって
ありますよね。







このようなことは、
外国でもある。






19666月7日の新聞に以下の記事が載った。
ーーーーーーーーーーーーー
時間が割り出した犯人
ーーーーーーーーーーーーー



記事によるとこういうことだ。


記事より6年前、フランスのパリのセーヌ川で
若い女性の胴体が発見された。

その後、身体の部分が次々に発見され、
バラバラ殺人として報道された。



この女性の身元は
ジャクリーヌさん(28)と分かったが、

犯人はまったく
わからなかった。






年後、事件に展開があった。



この被害者の旦那さんは
事件の4年前にジャクリーヌさんと結婚した
会社員のシルバン=ジノ氏(37)




1962年7月に…
そのジノ氏へ手紙が届いた。




差出人の名前はないが、

イタリア生まれの石工

という。



彼は石工としてフランスで働いていたが、
仕事が終わったので、イタリアに帰る。


それにあたって告白する。

あなたの奥さんを
殺したのは自分だ。


というのだ。




殺した理由は…
奥さんを誘惑したが断られたので、
ついカッとなって殺したそうだ。





しかし…警察は疑いを持った。



なぜなら手紙におかしいところがあったからだ。



疑問1
犯人はどうしてジノ氏の住所を知っていたのか?



ジノ氏は事件後引っ越している。

その住所を知るのは親しい友人
若しくは警察関係者だけだ。

それがイタリアから来た石工がなぜ知っている?

どうやって届けたのだ?




疑問2
手紙がイタリア語とフランス語の
ちゃんぽんで書いている。

どうして2か国語が
混じっているのだ?



イタリア人なら、イタリア語で書くだろう。


まあ2年間フランスにいたから、
フランス交じりでも構わないが、

この手紙は
フランス語の方が達者だ。



普通だろう。


イタリア語が達者で、
フランス語が拙いならわかるが、


フランス語はしっかりしているが、
イタリア語は初級レベルだ。


これはどういうことだ?






疑問3
明らかに左手で書いている。


文字がヘタクソだ。
イタリア語もフランス語も両方ヘタだ。

これは利き手でなく手で書いている。

筆跡を誤魔化すためか?


何故その必要がある?


もうイタリアに帰っているのだから、
筆跡を恐れる必要はないだろう。


そう言えば夫のジノ氏右利きだ。






疑問4
ジノ氏は直前、イタリア語の勉強をしていた。


これは友人らの証言から確認された。

自室に参考書を買い込んで、
密かに勉強していた。

それも手紙が届く直前に…。


何で勉強していた?


そして手紙が到着後にやめたのはどうしてだ?




これは…まさか…!
 

 

 



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警察  手紙?
 

警察  セーヌ川のバラバラ殺人か
 

警察  なになにっ。
 

警察  イタリア人が犯人
 

警察  フランスに来ていた石工か。
 

警察  確かに石工は時間がかかる
 

警察  色々な所へ行って
 

警察  そこで泊まり込んで仕事をする
 

警察  それが何年にもなるのが普通だ
 

警察  だから2年前からフランスに来て
 

警察  最近イタリアに帰ってもおかしくない
 

警察  2年前に女を口説いで
 

警察  うまくいかなかったからした
 

警察  そしてすぐ告発すると捕まるので、
 

警察  イタリアに帰国直前に投函した。
 

警察  十分あり得ることだ。
 

警察  でも…これはおかしくない
 

警察  何で夫の住所を知ってんの?
 

警察  彼は事件後に引っ越している
 

警察  この家にいると、彼女を思い出すからって
 

警察  十分あり得ることだ。
 

警察  イタリア人は夫人を口説いていたんだから
 

警察  元の自宅を知っていることはあり得る
 

警察  でも現在の住所を何故知っている?
 

警察  親しい人しか知らないぞ
 

警察  それなのに夫の住所に届いた。
 

警察  もしかしたら、夫の住所を調べたのか?
 

警察  まだある。
 

警察  フランス語とイタリア語のちゃんぽんだ。
 

警察  手紙が
 

警察  まあフランスに2年いたのだから、
 

警察  フランス語が書けることはイイが、
 

警察  ちゃんぽんにする必要はあるのか?
 

警察  それもイタリア語がヘタだ
 

警察  フランス語がヘタなのならわかるが
 

警察  イタリア語の方がヘタだ。
 

警察  これっておかしくない?
 

警察  ほかにもある
 

警察  左手で書いている。
 

警察  まるで筆跡がわからないように
 

警察  利き手と逆で書いている。
 

警察  どうしてそんなことをする?
 

警察  そう言えば夫は右利きだったな。
 

警察  そして夫は最近、
 

警察  イタリア語を勉強していたとか
 

警察  旅行にでも行くのかと思ったが、
 

警察  それも自室で秘密に勉強していた
 

警察  なおかつ手紙が届いた後には
 

警察  勉強を止めていた。
 

警察  これはどういう意味なんだろうか?
 

警察  謎だ!
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ちっとも謎ではなかった。


犯人はだったのだ!








余計な手紙!

夫は夫婦喧嘩でカッとなり、
殺してしまったことを認めた。


そして死体の身元がわからないように
バラバラにして殺したのだ。


その目論見通り、
警察の捜査は難航していた。


証拠がないのだ。



今の科学捜査なら造作もないが、
当時では難しかった。




そして犯人逮捕のキッカケになったのが、
この手紙だった。



この手紙があまりにも怪しいので、
警察は夫の捜査を本格させた。


そして4年後の逮捕につながった。




ところでどうして夫は
こんな手紙を出したのかというと、



警察の手が回っている

と思ったから。



つまりの見込み違いだった。



実際、警察は夫を疑っていたが、
多くの容疑者の一人だった。


ところが手紙が送られてきて、
夫の住所に送られてきたので



警察は夫への捜査を本格化させた。


それで御用となったのだ

 

 


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夫  どうして?
 

夫  我が身を守るためです。
 

夫  もうすぐ逮捕かと思って、
 

夫  それで目を逸らせようと
 

夫  手紙を書きました
 

夫  しかし書いたのがフランス人なら
 

夫  フランスの警察が調べるので
 

夫  それで外国人が良いなぁ…と
 

夫  どうしてイタリア人
 

夫  いくつか理由があります
 

夫  まず石工が良いと
 

夫  石工なら長期間いるので
 

夫  2年後に手紙が来てもおかしくない
 

夫  2年間フランスに滞在して
 

夫  イタリアに帰る
 

夫  その際に罪を告白して帰国
 

夫  そういうストーリーで考えました
 

夫  石工と言えばイタリア人
 

夫  ルネッサンスの国ですから
 

夫  ほかにはイタリア語は分かりにくい
 

夫  フランス語は英語系で、
 

夫  イタリア語はラテン語系
 

夫  つまり隣国なのに言葉がわからない
 

夫  近い言葉だと、良くないかなぁ…と。
 

夫  そして何より、
 

夫  イタリア人は女ったらしですから
 

夫  女に声をかけて、振られて殺した
 

夫  そういうストーリーだと
 

夫  犯人はイタリア人でしょ。
 

夫  そういうことです。
 

夫  でもデッチ上げないと
 

夫  こっちが逮捕されると思ったので
 

夫  必死でイタリア語を勉強して
 

夫  手紙を書きました。
 

夫  えっ
 

夫  捜査には行き詰まっていた?
 

夫  もしかしたら迷宮入り?
 

夫  もしかしたら手紙が無ければ、
 

夫  逮捕されなかった?
 

夫  おいおいっ、
 

夫  聞いてないよ!
 

夫  じゃあ俺のやったことは
 

夫  余計なことだった…と。
 

夫  そういうことですか?
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そういうことだよ!


まあ手紙が無ければ、
捕まらなかっただろう。



それほどまでに決定的だった。




先に書いたように
夫も容疑者の一人だったが、

大勢の中の一人だ。



それが手紙で…
それも夫の住所に送られたので、


俄然、夫に目を向けることになった。



そりゃー夫が送ったんだから、
夫の自宅を知っているよな(笑)。



夫は妻を殺して、
死体をバラバラにして、
セーヌ川に捨てた。


しかし警察に容疑者の一人とされたが、
そこまで危機的ではなかった


だが、危機だと思った夫は
自分から目を逸らすために、

犯人のイタリア人をでっち上げた。



それが助かる道だと思って。



しかし逆にそれが決め手になり、

逮捕された!





因みに記事の

「時間が割り出した犯人」とは

 

 

時間が経てば経つほど、

焦って自ら墓穴を掘ったという意味だ。





本当に…
余計なことだったな(笑)!