するめ→あたりめ 忌み言葉も役に立つかも? | 最近の古いモノは!

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「最近の若い者は…」とよく言われますが、
そう言う「古い者」はそんなに立派だったのでしょうか?このブログでは過去の新聞記事等をベースに、「古い者」の昔を検証してみます。
「最近の…」と言われたら、「あなたの時代はもっと悪かった」と言ってやりましょう。

 


1990年代の事件




忌み言葉!


日本では色々縁起を担ぎます。
不吉なこと、感じの悪い言葉は使いません。

その中には「忌み言葉」という言葉があります。


忌み言葉とは、

忌みはばかって使用を避ける言葉のこと。




受験生には「滑る」「落ちる」などを使わない。
宴席でも「お開き」という言葉を使う。


このような中に、
言葉をにするものがあります。


「するめ」を「あたりめ」
「なし」を「ありのみ」
「すりばち」を「あたりばち」



このように「する」「なし」等の否定的な言葉を、
「あたり」「あり」等の肯定的な言葉に変えます。


これらを忌み言葉と言い、
日常的にも使われています。



その忌み言葉の一つにおからがあります。

おからとは、豆腐を作った時の大豆の残りかすで、
食用にも使えますが、大体、安く提供されます。


スーパーのお総菜などでは、
出汁で炊いたおからが売られていますが、
その原料は豆腐屋からタダで手に入れます。

このおから

忌み言葉にもなっています。


その理由は「から」という言葉が入っているので、
特に芸人などでは「客が入らない」と嫌う。


その「おから」は別名「卯の花」と言いますが、

忌み言葉としてはこう言います。

「きらず」と。


その理由は豆腐は切って食べるが、
おからは切らずに食べられるからだそうです。


その辺のことは、
桂米朝師匠に説明頂きましょう


なるほど、勉強になる。




ところでこのおからを巡って、
裁判になったことがある。

それはおからの位置付けに関するものだ。



19993月13日の新聞に以下の記事が載った。
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「おからは産廃」 最高裁が初判断
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんと「おから」が産業廃棄物だと判断された。



記事によるとこういうことだ。


大阪のおからの加工業者が
産業廃棄物処理法違反の罪に問われた事件

この加工業者は京都などの豆腐製造業者などから
おから522トンを処理するように頼まれ、
知事の許可を得ないで、熱処理などをしていた。

産業廃棄物を処理する場合、知事の許可がいる。

この加工業者はその手続きを得ておらず、
罰金40万円を払うように命令された。



おからが産業廃棄物とは、
なんかビックリだ!
 

 

 



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業者  えっ?っ?
 

業者  何を言っているんだ?
 

業者  これは京都の業者から貰ったものだ
 

業者  それもタダ
 

業者  それなのにどうして金がかかる?
 

業者  それも行政が?
 

業者  税金か?
 

業者  それなら払っている。
 

業者  それなら何で金を払う?
 

業者  えっ?罰金?
 

業者  どういうことだ?
 

業者  京都の業者からおからを貰い
 

業者  こちらで熱処理して加工して販売する
 

業者  それだけだ。
 

業者  それがどうして罰金だと?
 

業者  タダでもらったのがいけないのか?
 

業者  でも向うがそれでいいと。
 

業者  廃棄処理すると金がかかる
 

業者  だからタダでもいいから引き取れと。
 

業者  でも原材料的にはタダだが、
 

業者  色々コストはかかる
 

業者  人件費に、交通費、
 

業者  京都まで行かなければならないだろ?
 

業者  それに加工費も、
 

業者  それらを加えると、収支はトントンだ
 

業者  だから余った金はない
 

業者  えっ?サンパイ?
 

業者  あの…?
 

業者  靖国神社の
 

業者  あれは参拝か
 

業者  そうじゃない?
 

業者  産廃?
 

業者  産業廃棄物か?
 

業者  何を言っている?
 

業者  おからは食べ物だぞ
 

業者  事実、食べ物として販売している。
 

業者  それがどうして産廃?
 

業者  それを許可を受けずに処理しているから、
 

業者  罰金を払え?
 

業者  ふざけんな(
 

業者  なんでおからが産廃なんだ?
 

業者  出るとこ出て結論を出そう。
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そして出るとこ出て、
加工業者がけた。



これは最高裁判決だから確定だ。


しかし産業廃棄物って、
こういうイメージがあるが、
どうやらおからも対象になるようだ。









不要物か否か?

おからが産業廃棄物になるのは、
不要物にあたるからだ。

元々産業廃棄物処理法では、
食品の製造業者が出す不要物を産廃と位置付けた。




そして不要物とは、

「自分で使えないものや
 他人に有償で譲れないものをいう」


と、最高裁は判断した。


そしておからはほとんどが廃棄処分されており、
食用に回されるのはほんの一部である。



それ故に「おから」は不要物で、
それ故に「おから」は産業廃棄物であるとした。


理屈は分からんでもないが、
なんかしっくりこないな。

 

 



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業者  どういうことだ?
 

業者  おからが産業廃棄物だと?
 

業者  何でも産業廃棄物処理法によると、
 

業者  産廃は不要物であり、
 

業者  不要物とは自分で使えないものと、
 

業者  有償で譲れないものだそうだ
 

業者  確かに京都の業者からはタダでもらった。
 

業者  しかし自分で使えないことは無い。
 

業者  事実、俺ら加工業者は使っている。
 

業者  これで商売をしている。
 

業者  じゃあ使えているじゃん。
 

業者  えっそれじゃあダメ?
 

業者  製造業者が使えないと?
 

業者  加工業者が使ってもダメ?
 

業者  つまり食品製造業者が自分で使うか、
 

業者  加工業者に有償でおろさないと、
 

業者  産業廃棄物扱いになるのか?
 

業者  つまり産廃を免れるには、
 

業者  金を払って買い取らなきゃならんのか?
 

業者  冗談じゃない。
 

業者  こっちは薄利多売なんだ。
 

業者  金を払ったら儲けがなくなる。
 

業者  じゃあおからを作る意味がない。
 

業者  どうすればいい?
 

業者  俺たちが豆腐屋を兼ねればいいのか?
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と…いうことのようだ。


加工業者は納得できないだろう。

おからが産廃なんて。

筆者も納得できない。



しかし最高裁の判断は絶対だ。


最高裁が白と言ったら白、黒と言ったら黒。

そして産廃といったらおからは産廃なのだ。



でも「おから」だろ!


今度は「きらず」で試してみろ!


案外、判決が覆るかもよ(笑)!