嫌がらせをしたのに、良いことになった話! | 最近の古いモノは!

最近の古いモノは!

「最近の若い者は…」とよく言われますが、
そう言う「古い者」はそんなに立派だったのでしょうか?このブログでは過去の新聞記事等をベースに、「古い者」の昔を検証してみます。
「最近の…」と言われたら、「あなたの時代はもっと悪かった」と言ってやりましょう。

 

 

 

 

 


1970年代の事件

 

 

俺が殺した!

 

思わぬことってありますよね!


あいつのことが憎くて突き飛ばしたのに、

上からモノが落ちてきて、救うことになる

 

そういうつもりじゃなかったのに…。

 

 

 

 

1975年にもそういうことがあった。

 

19751月8日の新聞に以下の記事が載った。

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大阪の女子中学生殺した。服役中の男が自供
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記事によるとこういうことだ。

 

大阪に住んでいた女子中学生のSさん(13)

Aさん(24)と知り合い、7年前に家出した。

 

彼女を探す母親はテレビ番組に出演、

 

「早く帰ってきて」

 

とテレビで訴えた。

 


そのニュースを聞いたのが、

殺人罪で服役していた(30)。

 

Nは

7年前に、名古屋方面で彼女と知り合い、

一時一緒に行動していたが、殺した

と自供した。

 


家出少女はすでに殺され、

岐阜山中に埋めたと自供したのだ。

 

 

しかしこの事を聞いてびっくりした人がいた。

 


他ならぬ、

家出少女本人だ!

 

 

 

彼女は母親が自分を探していること、

そして自分が殺されたことになっていることに

衝撃を受ける!

 


彼女は13歳で家出した後、

彼とはすぐに別れたが、

その後、八丈島に行ってホステスをしていた。

 

 

 

そこでニュースを知ったのだ。


そして警察に訴えて、

大阪に実家に戻ることを決意する。

 

 

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元少女  どういうこと?

元少女  これ…よね!

 

元少女  私が殺されている?

 

元少女  そうか…私は死んでいたのか

 

元少女  何々っ?名古屋方面で男と知り合い、

 

元少女  そのあと一緒に行動して、

 

元少女  殺された?

 

元少女  そして岐阜山中に埋められた?

 

元少女  どうも記憶にないけど

 

元少女  この人がこういうならそうなのかしら?

 

元少女  こんなことで嘘言ってもしょうがないし

 

元少女  そうか!私は殺されていたのか!

 

元少女  知らなかった

 

元少女  確かに私は大阪出身で

 

元少女  そのあと、男と駆け落ちしたわ

 

元少女  あれは1968年の8月よ。

 

元少女  夏休みの時ね

 

元少女  彼は24歳だった

 

元少女  私は13だったけど

 

元少女  年の差なんて関係ないわ

 

元少女  この人なら一生添い遂げられると

 

元少女  そう思ったものよ

 

元少女  でも…すぐに別れたわ

 

元少女  その年の12月には…。

 

元少女  それで行く当てもなく

 

元少女  八丈島まで逃げてきて

 

元少女  そのままホステスとして居ついたわ

 

元少女  でも…私の知らないところで

 

元少女  別の男と知り合い

 

元少女  一緒に行動して、殺されていたのね

 

元少女  全然知らなかった

 

元少女  世の中、知らないことも多いのね

 

元少女  ところで…疑問があるの

 

元少女  岐阜山中に埋められたのが私なら

 

元少女  じゃあ…今いる私は誰?
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粗忽長屋か?

 

 

粗忽長屋とは落語の演目で、

死体が自分の知り合いだという男が

本人を連れてくるという話だ。

 

そして連れてこられた本人も

 

間違いなく俺だ

 

と言いながらも、


じゃあ俺は誰なんだ


という下げで終わる。

 

 

 

 

死んだと思っていた少女が

戻ってきた親の喜びもひとしおなら、

 


子供の方も死んだことになっていて

ビックリしただろう。

 

 

 

 

 

 

親子の対面!そして偽証の理由!


その後、八丈島から大阪に帰った元少女は

母親と涙の対面をする。

 

しかし13歳で家出して、7年ぶりに会う。

少女は20歳の女性になっていた。

 


母親は自分の子供の変わった姿に一瞬躊躇する。

 

 


そこでこう言った。

 

「左手を見せて」

 

 

 

元少女は瞬時に理解した。

 

「ああっ、ソテツのケガね」

 

 

実は少女は4歳の時に、

ソテツを切ろうとした兄が山刀を振った時に

間違って妹にケガをさせた。

 

 

そのケガの跡が左手にあったのだ。

 

 

母親はそのケガを見て、そして左手の意味を

元少女が理解しているのを確認して、

自分の娘と確信する。

 

 

7年ぶりの涙の再会だ!

 


同席した警察官によると、

非常に感動的なシーンだったようだ。

 

 

 


ところで、服役囚はどうして

 

自分が殺した

 

などとウソをついたのだろうか?

 

 


それは7年たっても

自分の娘を探し続ける母親に嫉妬したからだ。


と…いうのも…

彼は服役して5年たつが、誰も面会に来ない。

 

親兄弟や親せき含めて、誰も来ないのだ。

 

 

それなのに、

家出少女には7年たっても母親が探している。

 

俺には誰も来ないのに…!

 

 


そういう嫉妬心が、


もう少女は死んでいるよ


という意地悪な行動につながったのだ。

 

 

 


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服役囚  羨ましかったんです。

 

服役囚  彼女が

 

服役囚  7年前に家出したのに

 

服役囚  まだ母親がしている

 

服役囚  それに引き換え俺は

 

服役囚  服役して5年たつのに

 

服役囚  来ないんですよ

 

服役囚  親兄弟はもちろん

 

服役囚  友人も誰も来ない

 

服役囚  まあ…友達はいないんですが

 

服役囚  それでも問題あるでしょ

 

服役囚  そう思うとましくって

 

服役囚  7年たっても探している親が

 

服役囚  うちと全然違うぞ…って

 

服役囚  そう思えてきたんです。

 

服役囚  だから嫌がらせをしたかったんです。

 

服役囚  お前の探している娘はこの世にいないぞ

 

服役囚  そう思わせたかったんです。

 

服役囚  大体、7年も帰らなければ

 

服役囚  もう帰ることはないと思ったんです。

 

服役囚  だってそうでしょ。

 

服役囚  帰れることなら、早く帰っていますよ

 

服役囚  だからバレないと思っていたんですが、

 

服役囚  結構早くバレましたね

 

服役囚  まあ、娘が返ってきたのは

 

服役囚  良かったかもしれません

 

服役囚  全く望んだ形ではなかったのですが。

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そう…実はテレビ番組だけでは

娘は帰らなかったかもしれないのだ

 

 

 

と…いうのは、


親にあわす顔がない


そう思っていたようだ。

 

 

 

しかし自分が死んだことになっていると、

 

冗談じゃない


と思って、名乗り出たのだ。

 

 

 

そういう意味で、服役囚の行動が

 

涙の対面につながったというのは

否めない事実だ。

 

 

服役囚は、娘を探す母親に、

細やかな嫌がらせをしようと思ったが、

 

恩人になってしまったようだ。

 

 


まあ…恩を感じるのなら、


一度くらい面会に行ってやれ、


誰も来なくて寂しいみたいだし。