真面目に遊んで飯を喰う(2nd season) -23ページ目
思わず寝過ぎた。
意味無く飛び回るヘリの爆音に眼が覚めたようだ。

目覚ましなど持たない私だが
いつもは5時半には眼が覚めるはずなのに・・・。

どうやら体内時計がイカレタらしい。



ここ2~3日朝が寒い広島。
この寒さ,昨日の夜から分かっていたのに
東側の窓を全開にしてるし…。

窓を閉めようという意識は一切無かったようで

さらにクローゼットに収めている布団を引っ張り出すのも面倒だったらしく

足元に転がっているクリーニングに出そうと紙袋に詰め込んだ
スーツの上下を着て寝てる。

「オレって…どんだけお洒落さんなん音譜
と一瞬だけボケて我にかえる。

「なんでスーツ着とるんや??」

夢の中では、大切な商談も無ければイイ女も出て来なかったのに…

さすがにネクタイまではしていないから安心。


まだまだおかしな病には掛かってないようだ。




そう言えば、昨日は久々に飲んでしまった。

広島で飲むのはいつ以来だ?

と言っても自宅で・・・
それも一人で・・・。

冷蔵庫に缶ビール3本を発見。
一人飲みには十分なはず。


1本半でイイ気分になったようで




安あがりな男。




と思いきや・・・


足元にワインのコルクが転がってる。

結婚式の引き出物で貰った
なんちゃらなんちゃら・・・・っていう
おフランス産の高いと言い聞かされたワインのコルクを引っこ抜いて
残り2cmほど残してる。


不思議な事に
グラスはどこにもない。


更に不思議な事に
コルクにワインオープナーを差し込んだ形跡はない。



ん~~~~~~~。




私の人生において「読書」と言う習慣はあまりなかった。
途中でいろんな誘惑に流されたり、単に飽きちゃったりするから。

それほどに読書という行為、私の人生で優先順位は高くなかったわけで。

小学生のころの夏の宿題『読書感想文』だって
後書きだけをつらつら読んで…、
チョット真面目そうな友人が 仲間たちが大騒ぎして遊んでいる時間,
その遊びの誘惑にも負けずに読み終え、じっくりと考え書き上げたソレを
半ば強制的に奪い取り若干のアレンジを加えてチャチャッと書き終える。

さらにそれが夏休み明けの10月ころには県の表彰を受けたりしてたから
真面目に読もうなんていう気すら起こらないのは誰のせいでもない。

付け加えれば、ジャンプやマガジンなど週刊マンガすら読まなかったのだから
小説や随筆っぽいものに手が伸びるはずがなかった。


それが、サラリーマン生活最後となった会社に入ったころだろうか?
少しだけ偉くなった私には無駄に自由になる時間が増えた。

そんな時、格好つけて…、アクセサリー代わりに…、
タイトルだけの判断でキオスクで買うようになった。



片手にそれを抱え、持ち歩くことに意味があっただけ。


そんな私でさえもここ数年は年間で30冊程度を読むようになった。
未だに私の穿った感性を刺激するタイトルに手を伸ばすのは変わらないが…。



春になる頃から芥川賞作家に嵌っている。

世間評はプロレタリア文学と言う人もいるらしいが
そんな言葉を遠い昔に聞いたことがある。
ただ何を持ってプロレタリアートと言うのかは定かじゃない。
イメージできるのは『蟹工船』
「貧乏臭いのか?」という程度の貧しい発想しか私にはない。

もちろん、今でも芥川賞と直木賞の選定基準も知らない。
「どっちがすごいんだ?」とその賞金に興味がある程度。


西村健太 という怪しいオッサン。

情報番組で初めて見た時から、“ヤバそうなオッサン”という印象しかない。
Wikiってみると「ほらねっ!」とニヤケ顔になるほど。

西村健太 Wiki


恐らく・・・
このヤバそうなオッサンの作品の全て、その内容の90%が事実による『私小説』。
この点に惹かれたのは必然かもしれない。

ただ、
この怪しいオッサンと過ごしてきた生活環境は全くの逆な私、
意識だけは頑張って中流な私、
事実として困窮を極めたことも無ければ、
日本国民の平均よりチョイ上で生活してるという思い上がりに支えられてる私。

自虐的で破滅的なオッサンの私小説のどこに嵌ったのか未だに分からないが
芥川賞作品『苦役列車』その後の『寒灯』に始まり、遡り『小銭を数える』まで

『苦役・・』を買った時、
いざ読もうと思い 開いたものの
書き出し「曩時北町貫多の一日は・・・・」で始まる文に


曩時????

曩時北町貫多?????


読み始めるまで3日掛かってしまったものだが・・・

少しだけ生真面目な私は
見たことも無い漢字やその意味を理解せずにその先に進めないから。


このオッサンのおかげで
今まで以上に、夜の外出機会が減ってしまった。

実に面白い。




長距離移動のお供に

片手にそれを抱え、持ち歩いている。



今週ならばきっと、

極上のイイ女のお誘いさえもお断りするだろう??

たぶん??


埼玉スタジアムのへ場違いにも青ジャージも着ることなく立ち寄った私。
元々、広島カープの本拠地マツダZOOMZOOMスタジアムでも外野スタンドで
立ったり座ったりを攻撃毎に繰り返すような
まるでスポーツジムのエアロビのような応援を
しかも扇動されてノることができるはずない。
もちろん赤ジャージなど持っていない。

当然、埼スタでもゴール裏で大旗を振りかざし、
上半身裸の応援リーダーなる輩に煽られ、それに服従出来るはずもない。

カジュアルにそしてお洒落気に観戦。

試合結果はご存知の通り。
「去年のWカップではこの相手にポルトガルは7点取ったぞ!」
なんて舌打ちしながら都内へ戻る。


広島でも既にブームに陰りが見え始めた小規模カウンターBAR
分かりやすく言えば『立ち飲み屋』。
当初の予定通り、この金曜土曜はE美と立ち飲み屋巡りを企画してた。
2日で12件、最短滞在時間15分、最長でも30分。


「まだまだ行けるのか!この薄利ビジネス。」と右脳だけでその気になった。



今、日曜の22時30分。
ようやく新幹線が三原駅を通過。


明日からテナント選定でもしましょうか!

コ~ンコ~ンおじさんから
強奪したトマトジュースを朝昼飯代わりに飲み干したところで、
予定の時間の10分前にこの日の客がやってきた。

色盲検査と見紛うほど原色をふんだんに使ったロジック調のシャツを着て、
赤フレームの眼鏡を額に乗せた男。

私よりちょうど一回り若いその男は少し前に都内で偶然出会い、
名刺交換の後に頻繁に連絡を取る男。
肩書で言えば、フリーカメラマン。

何にでも興味を持ってしまう私にとって
“フリーカメラマン”というオールカタカナの響きは魅力的であり
この男はこれまでどんな被写体を眼にしてきたのか?
下世話な方向ばかり想像を繰り返すほど。

ただ、この男の“詰めの甘い”ところと言うか・・・
私の期待した作品は手掛けていない。

色々な雑誌に登録は有るものの、その全ては出来上がり評価で
それが報酬になるかどうかはクライアント次第。
この男にとってはまだまだこの仕事で飯は食えないと言うのが現実らしい。


実はこの男S也。
6月に私が銀座をブラブラしてる時に声をかけてきた男。
そして私と同行していた“いつも出すチョッカイが未遂に終わる女”を
写真に撮った男。

その日以来、
私が東京遠征する際、食事をする相手が居ない時は必ず連絡する男。

写真もそうだが、絵や書なども文章もそう。
芸術分野っていうのは本人の個性が表現されるもので
それが趣味で終わるか?職業として成り立つか?
これは紙一重で、見る側のセンスに因るところが大きいもので
その作品に賛同する者が居れば金になるもの。

だからと言って芸術分野の制作者っていうのは
自分の表現力を他人に合わせようとしないから独り善がりで終わることも多いもの。
そこには芸術家としての意地もあるだろうし…。

生憎ながらこのS也クンがまだまだ貧乏なのは
彼の作品を偶然評価するものが居ないだけで、
もちろんこの先に大成する可能性は他と平等にもっているはず。

結局のところ・・・
彼がまだまだ素人と同然な立場であることから
彼の作品には何の価値も無く、
不当に自分の作品の値を釣り上げることのできる立場では無いことから
接触したのが私のズルイところ。

WEBページ等を作ってるとどうしても写真は必要になるが
どうしてもそこにはコピーライトって厄介なモノが発生する。

黙って使っててもばれなきゃイイってところもあるがバレたら大変。

そんなことで彼はウチの会社の契約カメラマンになったってわけ。
それも恐ろしいほど安い金額で・・・貨幣価値が違うのか?と疑うほど。

もちろん、安く使えるからという理由だけでは無い。
S也クン…ナイスガイである。
異常に金への執着の無さが修行僧レベル。

ただの立ち食いそばをご馳走したやっただけで
気持ち良いほどの「ありがとうございます」を発する男。

私にとっても、あんな「ありがとう」は初めてかもしれない。


そんな修行僧S也君を連れてと昨日は雨の中神宮球場へ 燕鯉戦を観戦。
雨が異常に嫌いな私は
当然降り出した雨に嫌気がさし、5回あたりで退散。


そんな仙人のようなS也に
私が“ちょっかいを出し続ける女”を加えて、

今日は埼玉スタジアムへ。

野球での雨は辛抱出来ないが
サッカー代表戦は気にしなかったりする私がいる。



マン喫なんてところで満喫できるはずも無く

眠気からフワフワしたような状態で文書作ってると
案の定,チェック時には想像すらしていなかった間違いを発見する。

昨日のほぼ徹夜は何だったんだ?

思わず、コ~~ンコ~~んおじさんをコッチが怨みたくなる。

予定では出来上がったものをメール送信完了してるはずの時間だったが
一旦この作業を中断して午後からの来訪者を待っていた。

13時の予定にはまだ早い30分前、
ウトウトしているところへドアをノックする音で我にかえる。

『トントンっ』とノックするのは昨日の『コ~ンコ~ン』おじさん。


昨日のお詫びに・・・。
と私を訪ねてきたのは想像できたのだが、昨日の草臥れたおじさんとは何かが違う。

見れば 今日のコ~ンコ~ンおじさんは、
少なめの髪の毛さえも増量したかのようにビシッと整え、
伸ばしていた御自慢であろう ちょび髭を剃り落とし、
いかにも高そうなスーツを纏うジェントルマンに変貌。

おまけにスーツの袖口からは、
ふざけたような間延びした数字が特徴の高級腕時計。

「昨日は本当にご迷惑おかけしました。(ペコペコ)」
「今来たところなんですが部屋の明かり点いてましたんで…」

喋り方、イントネーションが特徴的で
私の知る限りでは九州の中東部の出身のはず。と容易に推察できる。

私にしてみれば、仮に私のご機嫌が特上に悪い時なら
「おどりゃ~すどりゃ~」と広島弁で捲し立てたであろうが、
既に時間も経過し眠気が先行していることから穏やかに対応。
(土産話として一ネタ出来た訳だし・・・)


徐にビジネス鞄をカウンターに持ち上げ何かを取り出そうとするおじさん。

間違いなく“お詫びのしるし”的なものを頂けるものと期待一杯な私に
おじさんがGucciのカバンから取り出したのは

缶コーヒーが3本。
それもくしゃくしゃなコンビニ袋から
自分の昼飯であろうパンとトマトジュースを取り除いて。

受け取ると温いし・・・。(変な毛がピタッとへばり付いてるし・・・)

さらにさらにこの健康促進の時代に逆行するかのような
カロリーオフでもなければ、ノンシュガーでもない、
いかにも砂糖もミルクも贅沢使用したかのような代物。

正直な私は顔に出たのだろうか?


「コーヒーはお嫌いですか??」とおじさん。


正直に答えたわたし。
「甘ったるい缶コーヒーは飲みません。」

そして
「そっちの100%トマトジュースなら好きです。」


嫌々トマトジュースを差し出すおじさんだった。




「お疲れ様でした。」