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2022年6月24日、2022年7月2、3、6日に記事を改編しました。
奥羽本線羽前千歳~秋田の電化が完成した、1975年11月25日改正の奥羽本線列車ダイヤ(列車運行図表)を眺めていたら、板谷峠の福島~米沢間で、急行列車が特急列車を待避する場面を見つけました。
米沢発場面で23分先行した402D急行おが1号、福島着場面では11分逆転し、1038M特急やまばと3号に抜かれています。
時刻表を見る限りでは、どの駅で抜かれるか、予測が難しそうです。
402D急行が1038M特急を待避するための運転停車、
その駅はなんと、スイッチバック駅の赤岩駅!
402Dと1038M、米沢発場面では23分差となっていますが、板谷峠区間に入るとあっという間に縮まります。402D赤岩16:48:30着の4分後、16:52:30に1038Mが通過し先行します。さらにその4分後の16:56:30に402Dは赤岩駅を出発し、折返線を経て後を追います。
ダイヤを見ると、気動車の402Dは、峠道を上るのにも下るのにも時間をかけているのが分かります。
運転停車の赤岩駅の配線はこのような案配でした。
1989年3月 東北地域本社直轄の構内配線略図より (KASAさん ありがとうございます。)
402Dは、青森方から上り場内8L注意現示で上本に入り、1038Mを待避した後、上り第1出発4R注意現示で出発、折返線に進入、上り第2出発6Lの現示に従い運転されていたと思います。
赤岩のスイッチバックの様子は、f54560zg さんの懐かしい駅の風景をご覧いただくとよく分かります。402Dもこのような感じでスイッチバックしていたはずです。
この赤岩駅での運転停車は、この1975年11月25日改正での約3年弱のみ約10ヶ月だったようです。
一つ前の1975年3月10日改正では、402Dは福島で1038Mに抜かれています。板谷峠の区間では逃げ切れていたようです。402D米沢着発が15:57-15:59で、この米沢で3Dつばさ2号と交換していました。
この3Dつばさ2号が、1975年11月改正では1043Mと電車化、キハ181系とEF71との福島~米沢間の協調運転が解消され、10分ほど早まったために402Dの交換駅が置賜となりました。402Dは後続1038Mとの差が縮まってしまい、福島まで逃げ切れなくなってしまったものと思います。
再度1975年11月25日改正の時刻表、下り1043M特急つばさ2号も併せてご覧ください。
それから、1975.11.25改正 15:00~17:30 ダイヤ図面(先述の時刻拡大)です。
予定臨8401レの置賜(下1)の運転停車もあって読み取りづらいのですが、402Dが15:52:30-15:55と運転停車して、1043M 15:54 の通過を待ちます。
この運転停車2分30秒が、402Dが板谷峠区間で1038Mに追いつかれる元になったのかもしれません。
この次の1978年10月2日改正では、追い抜く特急がつばさ(1044M)となり、402Dは真室川停車中に抜かれています。赤岩での運転停車はなくなりました。
ダイヤ立案の担当(スジ屋さん)は、赤岩駅での待避はできれば回避して、せめて庭坂駅にできないかと考えたのではないかと思いをはせました。……と素人の私も思い当たる通り、1976年10月1日訂補で402Dの待避が庭坂駅に変更されていました。
1976年10月の402D、1038M、1043M時刻です。
時刻表では、分かりませんね・・・
1043Mが1分ほど早まり、伴って402Dも1分ほど早まっています。
2分目ではないので、詳細は分かりませんが、402Dはこの1分を使って、庭坂まで逃げ切っています。ダイヤ図面で、402Dの列車線と交わる停車場の線が消えているところがあるので、1975年11月改正の1時間目ダイヤに修正を加えたのだろうなと思います。
板谷峠は仙台鉄道管理局管内でしたが、米沢以北は秋田局管内でしたので、国鉄本社も交えての検討、実施だったのでしょう。たかが1分、されど1分。
約3年弱のみ約10ヶ月、板谷峠山中で行われた急行列車の運転停車、体験してみたかった…。車内案内があったにせよ、動いたと思いきや逆方向では旅慣れぬ乗客は驚いたことと思います。
参考文献
昭和50年(1975年)11月25日改正 奥羽本線(福島・秋田間)列車ダイヤ 秋田鉄道管理局
時刻表1975年3月号、1975年12月号、1976年10月号、1978年10月号(復刻版) 日本交通公社
鉄道ダイヤ情報 no.11(1977年秋) 奥羽本線(秋田~福島)1時間目ダイヤ p.102-103
鉄道ダイヤ情報 no.12(1978年秋) 奥羽本線(秋田~福島)1時間目ダイヤ p.48-49
進藤義朗 奥羽本線福島・米沢間概史 プレス・アイゼンバーン 2001年
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