「人間の絆」サマセットモームー過去の読書記より
擦り切れたペルシャ絨毯のきれはし。これがサマセット・モーム「人間の絆」のテーマだった。人生の意味を問う主人公に、カフェで毎日飲んだくれている自称詩人が答える。「明日、人生の意味を示すものを見せてやる。」翌日期待を胸に現れた彼の前に取り出されたのは、擦り切れたペルシャ絨毯のきれはしだった。人生は一枚の絨毯を織り上げるようなもの。緻密な美しい絨毯でも、簡単な模様の絨毯でも一枚の絨毯に変わりはない。人生などたったそれだけのもの。そういったある種諦念を持ちながら、それでも、自分なりの模様を織る。何のためにだって?そんなことわかる訳がない。それでも、自分なりの模様を織りたいと願う。それが何の役に立つのだろう?役に立つためだけに生きているって訳でもないだろう?自己満足?そう、自己満足だって立派な目的だろう?
そうやって考えているうちにも絨毯は少しずつ織りあがっていく。仕上がりはどうだろう?自分で納得できれば何より幸せだったってことだろうね。
