今回はサン=サーンスの、
ピアノ協奏曲などオーケストラとの演奏曲のアルバム聴き比べで、
サー・スティーヴン・ハフとアレクサンドル・カントロフ氏です。
(曲が長いので、好きな演奏家お2人だけ、、、。)
先日、ブログに書いた好きな曲、
サン=サーンスのピアノ協奏曲第4番。
ピアノとオーケストラの華やかさと、
ちょっと大仰な表現がコミカルでもあり、
派手に盛り上がって終わるところが良くて。
6月にリサイタルに行った、
アレクサンドル・カントロフ氏も同じ曲のアルバムを出しているので、
聴いてみたくなりました。
カントロフ氏の
サン=サーンス・ピアノ協奏曲(+etc.)は2枚別になっています。
第4番が収録されているアルバムは、
在庫の関係で後回しにし、
2022年発売の
第1番、第2番、
Africa Op.89
Wedding Cake Op.76
Allegro appassionato Op.70
Rhapsodie d'Auvergne Op.73
(順不同)
をゲットしました。
オーケストラはTapiola Sinfonietta
指揮はカントロフ氏のお父様の
ジャン・ジャック・カントロフ氏。
サン=サーンス、カントロフ氏、
共にフランス人ということで
“フランスらしさ“があるのか(あるとするなら。)
サー・スティーヴン・ハフのアルバムは
2001年発売、
オーケストラが
City of Birmingham Symphony Orchestra
指揮はSakari Oramo氏。
細かい話をできるような専門家とは程遠いので、
直感で音楽を愛する素人の
大まかな感想を書こうと思います。
それぞれ個性が出ていて、両方楽しめました。
印象は、
カントロフ氏はリサイタルで抱いた演奏のタイプと大体一致しました。
私の中では、
お二人は陰と陽のイメージです。
カントロフ氏のベースに漂うのは陰
一方、ハフ氏は陽です。
もちろん、曲によって全く違った演奏や表現ですし、
全部そうだという意味ではなく、
同じ曲を弾いた時に、
全体を包み込む雰囲気です。
ピアノ協奏曲第2番:
カントロフ氏はゆっくり、アンニュイな感じで始まります。
ハフ氏はもう少し速く、インパクトがあります。
第2楽章は私にとってはディズニー音楽のイメージなんです。
遊園地のような。
カントロフ氏は丁寧に美しく聴かせます。
軽快なところは軽いタッチがとても優しい。
繊細さが心に響きます。
ハフ氏はリズミカルに。
音に艶があり粒が綺麗に跳ねて、ワクワク心が躍ります。
雑誌グラモフォンの、
カントロフ氏インタビューでは、
第2番の冒頭は、
今ならもう少し速く弾くだろうと振り返っていました。
当時は、自分らしい違った2番にしたかったそうで、
サン=サーンス自身ももう少し速く弾いていたけれども
敢えて違って個性を出そうとしたようです。
2番以外の他の曲をまとめて
アルバムの感想は、
ハフ氏の演奏は、
ヴィヴィッドでイキイキ、きびきびとした感じ。
音の粒が立ってキラキラしている。
第1番の第3楽章はオーケストラも含めて、
面白さと、しっとり美しく聴かせるパートとのメリハリがあり、
最後リズミカルでコミカルなオケとの掛け合いが素敵です。
ここはカントロフ氏との
アプローチの違いがわかりやすい気がします。
彼のは真面目で丁寧な印象です。
カントロフ氏の演奏は、
ピアノソロのようなゆったりとメロディを歌わせるよう。
情緒的。
楽しいというよりは、感情に訴えてくる。
私が勝手に抱いた全体的な印象です。
ペダルは、カントロフ氏の方が深く、多く使っているように感じました。
(リサイタルみたいにガンガン踏みつけてたかどうかは不明、、、。)
お二人ともピアノはスタインウェイです。
スタインウェイはリッチで重厚な音の響きで
オーケストラとの協奏に合う(張り合える?)イメージを持っています。
今回のカントロフ氏のスタインウェイ、
高音はとても軽やかに美しいのですが、
和音のフォルテッシモの時の響きが、
何となくビンビンと金属音みたいな響きを感じるのですが、
気のせい???
タイプの違う、どちらのサン=サーンスも好きです。
ハフ氏に加え、
リサイタルに行ってから、
カントロフ氏も好きなピアニストになりました。
私の中では、
気分の明るい時、気分を上げたい時はハフ氏、
思索に耽りたい時はカントロフ氏
(サン=サーンス以外の曲のタイプは、そういう系が多そうな、、、。)
を聴きたくなります。
ハフ氏のはかなりの曲と回数を聴いているので、
私の中では「間違いない」演奏で、
色々他の人を聴いても、最後には戻りたくなります。
御二方以外では、
最近沼にハマったリヒテル氏、
どういう時、というほどまだ聴けておらず、
聞く曲を増やしている段階です。
今のところ、
衝動的に惹きつけられる感じです。
理屈じゃなくて、
演奏を見たり聞くと、心が釘付けになる感じ。
なぜだろう、、、不思議、、、。
ところでカントロフ氏のアルバムはSACDという、
CDよりさらに高音質なディスクでした。
といっても、
SACD専用のプレーヤーでないと、その高音質は堪能できず。
専用プレーヤーは10万円以上するので、
そう簡単には手が出ないです。
残念。
長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。