タイトル詰め込み過ぎ。

要は「死」に関連した音楽について語りたく。

 

先日のクラシックTVで、

ミュージカル、「エリザベート」の「闇が広がる」が歌われた。

エリザベートの息子ルドルフ皇太子に、

黄泉の帝王トートが死の誘惑。

 

これは番組の映像ではないけれど、同じ曲。

 

「死」

焦らずとも、人は皆最後に迎える。

 

それでも、

疲れ切ったり、悩んだり、

どうにもならない(ように見える)壁にぶつかると、

ふと、よぎる。

 

高い塔から見下ろすと、

怖くて逃げたいのに、地面に吸い込まれそうな妖しい誘惑。

 

でも待って。

 

死にたい=生きたい(思うように生きたいのに、叶わない)心の叫び。

本当は生きたいって体が叫んでいる。

 

 

ハフ氏のアルバム

「VIDA BREVE」はかなき人生

死をテーマにした珍しいアルバム

 

グラモフォンの昨年のベスト・クラシック・アルバムの1つにもあげられている。

(昨年のショパコン優勝のブルース・リウ氏もあった)⬇️

 

死のアルバムなんて不吉で嫌だと思ってたけど、

チョイスしたエディターが、

このアルバムを聞くと、色々と考えさせられる、と言っていたので

気になって買ってしまった。

 

ハフ氏の言うように、

芸術の世界では、

死は重要なテーマだし、

十字架だって常に死を連想させる。

 

ここでは、

死の‘誘惑‘、というより、

死は‘突然‘、の意味合いが強い。

 

気味の悪いテーマだが、

いざ聴いてみると、

取り憑かれたように聴きたくなる。

 

バッハのシャコンヌ(ブソーニ編曲)から始まり、

ショパンのソナタ第2番変ロ短調Op.35

(第3楽章が葬送行進曲で有名なヤツですね)

そして

リストの葬送曲、メフィスト・ワルツ

カルメン、

ハフのソナタと

時代順に曲が進む。

その時代時代の生と死を見つめているのか。

 

アンコール的には、

韓国民謡のアリランと

グノーのアヴェ・マリア。

 

アリランがどうしてこのテーマで収録されてるのか、

(ハフ氏が韓国でよくコンサートされてるから?)

謎。

 

だが、

シメにアヴェ・マリアはピッタリ。

これで全てが清められたような、

天に昇っていくような穏やかさに包まれる。

聴き終わると、

しばらく余韻に浸って動けない。

 

はかなき人生とはいえ、

死に絡めた作品は、

かくも人の心を魅了するのか。

 

普段、ハフ氏のアルバムを聴くと、

その演奏に魅了されるのだが、

このアルバムは、

曲自体に虜になってしまった。

 

バッハもショパンも切なく、心をかき乱される。

 

ショパンのソナタ第2番、第3楽章

ショパン・コンクールで死ぬほど聴いた気もするが、

やはり、演奏者でこうも表現が違うのかと気づかされる。

ソナタ第2番から「葬送」という言葉を削除するよう

ショパンが希望したとかいう話が冊子にあったが、

いずれにしても、

第3楽章は葬送行進曲のイメージしかない。

ハフ氏の演奏を聴きながら、

頭の中にイメージが次々と現れる。

 

どなたかの葬儀に参列している。

割と他人行儀。

儀式として参列。

行進しているうち、

幽体離脱するように、体からフワフワと浮いてゆく。

あれっ、何だかいい気持ち。

ふーぅと心が軽くなっていく。

夢の中にいるよう。

そのうち、

昔の楽しかった時代が現れて、

幸せを噛みしめる。

(鬼滅の刃の無限列車で、

炭治郎が現実のような夢で家族と過ごしている状況に近い)

 

夢かうつつか幻か

 

次第に、映像が途切れ途切れになり、

あれ、なんか、変、かな、、、

、、、

と、気がつけば、

葬儀の行進の列に戻っている。

 

夢だったのか、

そう思ううちに足音がどんどん大きくなる。

 

はっ、

と周囲を見て気づく。

 

他人の葬儀ではない、

自分が弔われているのだ。

 

曲を聴きながら、こんなストーリーが頭の中に見えた。

あーこわ。

 

その後、

リストのおどろおどろしい葬送曲を聴いてたら、

急に夫が来た。

ふと見ると、

紐のようなものを手に持ち、首を締め上げている。

 

凍りつきましたよ、恐怖で。

 

よく見たら、巻尺。

 

モーニング用シャツを購入するのに、

首周りを測る必要があるらしく、

数字が見えないから、見てくれと。

 

あーびっくりした。

何も葬送曲の最中に来なくても。

タイミング良すぎ、いや、悪すぎ。

 

このアルバムを全部通しで聴くと、

エネルギーや思考力かなり使う。

奥深い選曲と演奏。

 

 

そして

同じくハフ氏のショパン夜想曲全集から、

Nocturne in C minor Op 48 No1

 

昨日ブログに書いた、

アトランタ・ラジオ局WABEのインタビューで

話していたので気になって

今日聞き直した。

 

冒頭のゆっくりとした足取りのような左手。

この不安定さは、棺を担いでいる

葬儀の行進の重い足取りのイメージだとか。

 

左手の心の重さと

切なく、心を締め付けるような右手の旋律

 

そういうことか…

 

インタビューによると、

ロックダウン下で

ハフ氏は6アルバムのレコーディングをしたという。

 

待って、ろ、ろ、ろくって。

 

もう既にハフ氏のCD、

何十枚持ってるか忘れたんですけど、

これってクラシック専門外の私にはスゴいことなんですけど、

いつになったら鑑賞コンプリートできることやら。

 

60、70歳からが創造力が増すとかおっしゃってるし、

これから益々作品を世に出されることでしょう。

 

ファンとしてはうれしい悲鳴。

 

 

 

#stephen hough

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