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水戸さくら法律事務所。相談者からよくある質問や生活で役立つ法律知識・雑学などを簡潔に解説します。

 契約とは、当事者間の合意により、当事者間に法律上の権利義務を生じさせるものをいいます。

 

 普段私たちは、多くの契約を交わしています。

 例えば、スーパーやコンビニで商品を買う行為は、法律上は、売買契約にあたります。レジでいちいち契約書を交わしていませんが、口頭での売買も有効です。

 

 典型的な契約は、民法で規定されています。

 民法に規定されている契約の種類は、以下の13種類あります。

 

 ① 贈与(ぞうよ)

 贈与とは、当事者の一方が相手方に無償で財産を与える契約をいいます。

 ⇒おじいちゃんからもらうお年玉

 ② 売買(ばいばい)

 売買とは、当事者の一方(売主)が、ある財産権を相手方に移転することを約束し、これに対し、買主が代金を支払うことを約束する契約をいいます。

 ⇒お店での買物全般

 ③ 交換(こうかん)

 交換とは、当事者が互いに金銭以外の財産権を移転する契約をいいます。

 ⇒いわゆる物々交換のことです。

 ④ 消費貸借(しょうひたいしゃく)

 消費貸借とは、金銭その他の代替物を借りて、後にこれと同種・同等・同量の物を返還する契約をいいます。

 ⇒消費者金融や銀行からの借金

 ⑤ 使用貸借(しようたいしゃく)

 使用貸借とは、当事者の一方(貸主)が、相手方(借主)に、無償で貸すことにして、目的物を引き渡し、借主が使用収益した後に返還する契約をいいます。

 ⇒友人から漫画やゲームを借りる、知人から土地を借りる。 

 ⑥ 賃貸借(ちんたいしゃく)

 賃貸借とは、当事者の一方(賃貸人)が、相手方(賃借人)にある物を使用収益させ、これに対し賃借人が使用収益の対価を支払う契約をいいます。

 ⇒賃貸アパート・マンションを借りる。

 ※ 使用貸借との大きな違いは、有償か、無償かです。

 ⑦ 雇用(こよう)

 雇用とは、当事者の一方が、相手方に対して労務に服することを約し、相手方がこれに報酬を与えることを約する内容の契約をいいます。

 ※ 多くの人の勤務会社との間の雇用関係については、労働法が適用されます。

 ⑧ 請負(うけおい)

 請負とは、当事者の一方が、ある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対し、報酬を与えることを約束する契約をいいます。

 ⇒家の建築やリフォーム、洋服や部屋のクリーニング、自動車の修理

 ⑨ 委任(いにん)

 委任とは、当事者の一方が、法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することを内容とする契約をいいます。

 ⇒弁護士に示談交渉を依頼する。

 ※ 請負との違いは、結果が求めらているかどうかです。請負は、仕事の完成を目的にしているので、結果を出すのが前提になっている一方、委任は、仕事の完成すなわち結果を出すことは前提になっていません。

 ⑩ 寄託(きたく)

 寄託とは、当事者の一方(受寄者)が相手方(寄託者)のために保管することを約束して、ある物を受け取ることによって成立する契約をいいます。

 ⇒知人に物やペットを預かってもらう。

 ⑪ 組合(くみあい)

 組合とは、数人の当事者がそれぞれ出資をし、共同の事業を営むことを約する契約をいいます。

 ⑫ 終身定期金(しゅうしんていいききん)

 終身定期金とは、ある人が自己、相手方または第3者の死亡するまで、相手方または第3者に定期に金銭その他の代替物を給付する契約をいいます。

 ⇒親が死ぬまで親に生活費を送る

 ※現在は、殆ど利用されいません。

 ⑬ 和解(わかい)

 和解とは、当事者が互いに譲歩し、その間に存する争いをやめることを約束する契約をいいます。

 ⇒交通事故など損害賠償請求事件の示談。

 

 以上が民法に規定されている契約の種類です。上記以外の契約をすることも出来ます。非典型契約(ひてんけいけいやく)もしくは無名契約(むめいけいやく)と呼ばれています。

 

 

 

 

 交通事故の被害にあった場合、損害賠償請求をすることのできる相手方は、誰でしょうか?

 ここでは、典型的な場合について説明します。

 

1 運転者

 自動車を運転していた人が、請求の相手方となることは、特に問題ないかと思います。

 運転者の責任は、「不法行為責任」(ふほうこういせきにん)といいます。

 根拠条文:民法709条

 

2 運転者の雇用主(会社)

 運転者が、勤務中に起こした事故だった場合、運転手を雇用している会社も、請求の相手方となります。

 会社の責任を、「使用者責任」(しようしゃせきにん)といいます。

 民法715条で規定されています。

 

3 自動車の所有者

 自動車を運転者に貸していた所有者も、盗まれた車の所有者など一部例外的な場合を除けば、請求の相手方となります。

 所有者の責任を、「運行供用者責任」(うんこうきょうようしゃせきにん)といいます。

 ちなみに、運行供用者の負う責任は、治療費や慰謝料などの対人賠償のみです。

 車の修理費などの対物賠償責任は含みません。

 自動車損害賠償保障法3条に規定されています。

 

 上記以外にも、損害賠償請求の相手方となりうる者は存在しますが、それぞれの事案によって異なりますので、ここでは割愛します。

 

【被害者】

 運転者の資力が乏しく、また任意保険にも加入していなかった場合、被害者は、損害金を全額回収できず、泣き寝入りになってしまいます。

 そういう場合に、雇用主や、車の所有者が請求の相手方になれば、彼らに損害賠償請求をすることで、被害救済が図ることができます。

 

【車の所有者】

 昨今、カーシェアリングが徐々に浸透してきています。

 しかし、安易に他人に自動車を貸したりすると、運行供用者責任を負うリスクがありますので、貸す相手の属性、貸す場合の条件等、慎重に検討することをお勧めします。

 

 

 

 遺言書が、2通以上発見された場合、遺言書の効力はどうなるのでしょうか。

 

 【結論】

 遺言書の内容のうち、抵触(ていしょく)する部分は、後に書かれた遺言の効力が優先します。

 遺言書の内容が抵触しない(内容がかぶらない)部分は、どちらの遺言書も有効です。

 

 【参考例】

 遺言①2019年3月1日作成「自宅土地建物は、長男○に相続させる。預金は、二男□に相続させる。」

 

 遺言②2020年2月2日作成 「自宅土地建物は、妻△に相続させる。」

 

 このように、2通の遺言があった場合、②の遺言の内容が優先される結果、自宅土地建物は妻△に、預金は二男□に、それぞれ相続されることになります。

 ①の遺言は、自宅土地建物の長男に対する相続部分について、②の遺言によって撤回されたとみなされます(民法1023条1項)。

 このように、遺言は、後の遺言によっていつでも撤回することが出来ます。 

 

 なお、遺言書に作成年月日が抜けていたり、署名押印等がない場合には、そもそも遺言は形式要件を満たさないので無効です。

 

 根拠条文:民法1022条、同1023条