明らかにぶつけている。
そして逃げようとしている。
ひとこと、言うか?
いやわざわざトラブルに巻き込まれるなんてどうかしている?
ぼくはしばらく迷った。
時間にして2分くらい。
まだあのSUVは駐車場から出られないで、入り口の渋滞にはまっていた。
自分が犯した過ちから逃げることは大っ嫌いだ。
他人が過ちから逃げるのを見るのも耐えられない。
これは正義感というのか?
ぼくはわからない。
ただそんな行動が大っ嫌いなだけだ。
ぼくの車も何度か当て逃げされている。だからそんな卑怯なヤツは許せない。
ぼくは車から降りて、やや早足であのSUVが止まっている駐車場の入り口に向かった。
やさしく、2度、サイドウィンドウをノックした。
ウィンドウが下がって、黒メガネの男が顔を出し、上目遣いになっている。
さっき、車出す時ぶつけましたよね?
えぇっ?
いやさっきそこで車出す時、隣の車に接触してたようですけど、大丈夫でした?
いやーーはい、大丈夫でしたよ。何もありませんでした。
隣の車ボコボコでしたけど?
いえ、知りません。何にもなかったですから。
(知らない。知らない)←助手席に乗っていたロン毛のチャラい男。
はあ、そうですか。知らないのならいいですけど、ここカメラあるんでバッチリ映ってますよ。後からバレると当て逃げで免停、罰金でシャレにならないんで。
カメラの言葉で黒メガネが青ざめるのが分かった。
助手席のチャラ男は降りて車誘導してやれよ。そしたらぶつけることもなかったかも。
ぼくはそれだけ言うとその場から立ち去りお店に入った。とりあえず嫌な気分は少しはまぎれた。
お店に入ってしばらくすると、店内放送がかかった。
ぶつけられた車のナンバーと車種。呼び出しがかかった。
おそらく、あの黒メガネの男がお店に車をぶつけてしまったことを言って、ドライバーを呼び出してもらったのだろう。
これは、これでよかったのか?