「なぁなぁ、イトさん」
「――さりげなく勝手に、人に妙な呼び名を付けるのはやめて下さい。佐藤君」
「申しわけありませんでした。伊藤さん」
あからさまにテンションの落ちた声音に、なぜこうも罪悪感を抱かねばならないのか。
不可解なその感情に、伊藤繭美は知らんふりを決め込む。
しかし彼は毎度の事なので構わず続けてきた。
変に打たれ強くなってきた彼に、繭美は正直うんざりしている。
「佐藤さん!今月の24日お時間有りますか?」
「・・・・・・は?!」
――声がでかすぎるんだよ!この野郎!
繭美の本当に叫びたかった思いはソレに尽きる。
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『いとう まゆみ!!――さん』
彼ときたら繭美の名を見て、歓声を上げやがったのだ。しかも初対面だから、あたし達。
思いっきり嫌な予感。あからさまに繭美が顔をしかめると、彼――佐藤大祐――は慌てたように敬称を付けた。
『申し遅れました!俺は佐藤大祐という者です!砂糖・大好きで役所に届けると、軽くニュースになる所か俺の人生、苦くなるというワケで』
『さっきも言ってたね』
一人ひとりの挨拶、教室の壇上で。
さっきもう聞いた。だから、何?――の意思表示。
『伊藤さんのご両親もきっと糸と繭を組み合わせると言う、ナイスな発想から=美しい人生が紡いでいけますようにときっと愛娘に想いを込められたに違いないと思って!俺はいたく感動したのです!』
『――それは、はぁ、まぁ。・・・どうも』
にこにこにこにこ。
無邪気に笑う彼につられること無く、繭美は怪訝な眼差しを向けていた。
コイツは頭の中に、蝶々が飛んでいる輩に違いない。
そう確信したから。
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――思えばど・しょっぱなから、このパターンは決まっていたように思う。
佐藤君が繭美に構う。繭美冷ややかな態度と眼差しで撃退。――と、思いきや佐藤君ノー・ダメージ!
逆に無邪気にまとわり付かれてしまうという・・・。そんなオチ。
繭美その調子に狂わされっぱなし。
「・・・・・・・何のつもり!」
クラスメイト25人が一気に静まり返った、今のこの水を打ったような教室の静けさを説明してみろ!
繭美の本当に叫びたい想いは、その一言に凝縮されている。
みんなの視線が痛い。痛いったらない!いたたまれないじゃないか!
「ね―お願いしますよ!助けると思って空けておいて下さいよ」
「人の質問にはちゃんと答えてよ」
「――当日に教えます!」
「誰がそれで納得するかぁ!」
「ねーねーお願い!イトーさぁん!俺たちの仲ジャン」
「勝手に決め付けるナァ!」
「つれないナァ」
「ああそうさ!それで結構さ!」
「――おいぃ?おまえら席付け~?もう・休み時間終わってるぞ」
いつの間にか休み時間は終わり、しかも数学担当の仲村先生まで来ていた。
どれだけ我を忘れて白熱していたんだ!
繭美は脱力してそのまま、席に腰を下ろした。
仲村先生に手にした教科書で軽く小突かれながら、騒ぎの元もしぶしぶ席に戻った。
その背を見送りながら、出来ることなら先生の手から本を奪い取り、彼の頭を叩き付けてやりたいと思った。
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BA★カップル候補バンザイ!!
メインはやっぱり間にあわねー・・・。
ま。笑ってやってください。
これでどうもっていったらラブ展開になるんでしょう?
自問自答。