★★★★★★★★★☆
1985年 106min.
ネタバレ 豪快にしてやりやしたぜ 笑
敬称略
監督 トム・ホランド
製作 ハーブ・ジャッフェ
脚本 トム・ホランド
音楽 ブラッド・フィーデル
ジェリー・ダンドリッジ:クリス・サランドン
チャーリー・ブリュースター:ウィリアム・ラグズデイル
エイミー:アマンダ・ビアース
ピーター・ヴィンセント:ロディ・マクドウォール
エド:スティーヴン・ジェフリーズ
ビリー:ジョナサン・スターク
ジュディ・ブリュースター:ドロシー・フィールディング
レノックス刑事:アート・J・エヴァンス
いやこれおもろかったよなあ、って当時を思い出すといつもそう思うのですね。で、何度でも観たくなる、ということなわけです。ホラーなんだけどホラーっぽくなくって、でもなんか怖い、みたいな。現代のホラーやん、て感じなわけですね。まあとはいえ公開はもうすっかり40年も前なんですけどね。
えと、当時はですね、前売り券を買いますといろんなグッズがもらえたのですよ。(今もそうなのかもしんないですけどわたしは知りませんです。ごめんなさい)チラシとほかに景品、て感じです。缶バッジが多くてわたしもらった缶バッジをジャンパーの裏地につけてたらそらもうジャラジャラになってしまった、なんてこともありました。で、本作の時はそれに加えて、吸血鬼の牙、なんてのがもらえたわけです。そこでアホなド田舎国立大学生のわたくし、それを装着して夜道のあぜ道を歩きましてね、前から来る車のヘッドライトに向けて口を開けてビビらす、なんてことをやって楽しんだりしておりましたよ。まあビビったかどうかは知らないですけどね。
さらにまだまだありまして、ポスターももらったんですよ。なんかいい時代でしたね、大盤振る舞い。それが
↑こちらなんですけどね。
わたしこれをですね、実家のわたしの部屋のドアの外側に貼っておいたんですよ。だってカッコいいじゃないですか、デザインが。だから部屋に入るときにいつでも見られるように、って思ったわけですよ。そしたら速攻で両親から、夜お前の部屋の前を通ったら怖いだろうが、ってど叱られました。
まあそんないろんな思い出のある、だから思い入れのある映画ではあります。
ていうか今ごろ気づいたんですけど、これ音楽、ブラッド・フィーデルなんですね。全然気づいてませんでしたよ。なんでですかね。「ターミネーター」とはまったく違う感じだからでしょうか。まあそんなわけで、今回は観る前から楽しんだりもしておりました。
↑コロンビア・ピクチャーズ。
いやあこれも懐かしいですね。時代を感じるロゴであります。
↑主人公のチャーリー・ブリュースター役、ウィリアム・ラグズデイル。
なんかちょっと「グレムリン」のザック・ギャリガンとかぶるところもありますけど、そちらよりは男前であります。
↑その彼女のエイミーはアマンダ・ビアース。
こちらはちょっぴりJK以上の風貌ではありますけれども、女子高生の設定でかわいい子ではあります。サービスショットはここまでですけどね。
いや、出だしがいいんですよ。いきなり当事者の見えない男女の会話で不穏な空気をこれでもかと漂わせておいて、実はTVの音声だった、と。でもってその番組の主役がロディ・マクドウォール。それをウィリアム・ラグズデイルとアマンダ・ビアースが観ていて(って、TVはつけっぱで、その横でいちゃいちゃしててまったく観てませんでしたけど)、なあんだTVかと思わせといたのもつかの間、ふとウィリアム・ラグズデイルが窓の外に目をやると、新しく越してきた隣人が棺桶を運んでいるのを見る、という。
まったくムダなところがなくってですね、いっさいもったいぶらずに核心に触れてくれるもんですから、観ているこっちもとっつきやすいわけですよ。すんなりこの映画の世界に入り込める、というわけです。
その後はちょっと学校のシーンがあって、そこでは主役カップルのいざこざなんかもあって、
↑アマンダ・ビアースが怒って
↑バーガーで顔をぐりぐりされたりして、
それを見ていた共通の友だちのエド(スティーヴン・ジェフリーズ)が
↑爆笑したりしてますけど、
↑すぐにこうしてなんかホラーっぽい雰囲気と
↑流れる音楽で(画像は本文とは関係ないです)
世界に引き込むわけですよ。もっかい言いますけど、まったくムダがないのですね。
↑で、ファーストコンタクトはこちらのビリー(ジョナサン・スターク)でした。
男前です。前髪らへんがややあやしいですけど。
いや、ていうか音楽これ、ほんとに「ターミネーター」の人なのかと疑ってしまうほどイメージが違いますね。スゴイですよ。
でもってこの人の選曲がまたいいわけです。わたしサントラ買いましたけど(LPレコードでした)、それはそれは盛り上がりましたよ。
なんて思ってましたら、
↑別の意味でも盛り上がってしまいました。
でもってもういきなりこれヤバいじゃん、てなりますよ。だって
↑吸血鬼のダンドリッジ氏、クリス・サランドンの手が、
↑こんなんなってるんですよ!しかもこっち目線!!
これね、監督のトム・ホランド、本作までは主に脚本家でしてね、「処刑教室」や「サイコ2」の脚本書いてて、監督は本作が初なんですよ。それでこれはスゴイですわ。自分の脚本を自分で監督するわけですから、間違いはないんでしょうけれども、それにしてもクウォリティは高いです。あ、ちなみにスパイダーマンの人ではありませんよ、念のため。
↑これ、飛ぶなにか(コウモリでしょう、きっと)の目線映像、なんですけれども、
そういうのも斬新ですよ。わたし、当時映画館で観ててなんかすごくドキドキしてたの思い出しました。
話はこのあとちょっとだけウィリアム・ラグズデイルが窮地に立たされますよ。
唯一、クリス・サランドンがヴァンパイアだっていうのを見ているウィリアム・ラグズデイルがみんなにそれを説明しようとするんですけれども、
↑実の母(ドロシー・フィールディング)も
↑今カノのアマンダ・ビアースすら信じてくれないわけですよ。
いい加減なこと言ってんじゃないのよ、的な。
いや、話はすっかり王道なんですよ。でもね、だからって決してマンネリ化しているわけではなくって、逆に安心して観ていられるって気持ちになるわけです。
ただ本作の唯一の汚点は(いや、汚点というほどのものじゃないですけど)、とうとうチャーリーがキレて警察に通報して警察官を呼んで、二人で隣家に乗り込んでいくところなんですけどね。その刑事、なにをトチ狂ったのか
↑レノックス刑事(アート・J・エヴァンス)ですが、
こやつ、あろうことかビリーに、殺された女をこの家で見たってこの子(チャーリー)が言ってる、って言っちゃうんですよ。それはアカンやろ、て。そもそも一緒に連れて行くってどういうことやねん、でしょうよ。もしほんとに殺人鬼だったらウィリアム・ラグズデイルは殺されてしまいますよ。なんでこんな脚本にしてしまったのか、ここだけ唯一わたしナットクいきませんでしたね。
でやっぱり、てなります。
↑そら信じないでしょうよ、ヴァンパイアなんて。
↑ビリーもこうなりますよ。
あ、でもですね、ナットクいかないことはあるにはありましたけど、なんか不思議とどんどん引き込まれるんですよ。なんでしょう、やっぱりメリハリが効いているんでしょうね。最高ですよ。
このあとウィリアム・ラグズデイルは友人のエドくんに吸血鬼の対処法を聞きに行きましてね、十字架、にんにく、聖水の三種の神器に加えて、わたしこれは知らなかったんですけど、家人に招かれない限りヴァンパイアは家には入れない、という事実を聞くわけですよ。そりゃそれ聞いたら、じゃあ家に入ってくることはゼッタイにないな、って喜ぶじゃないですか。でも、
↑お母さんが新しい隣人を招いちゃってるわけですよ。
わたし、おるやんっ!てなりましたよ。
なんかこういうシャレのパンチも効いてますよね。めっちゃおもろいやんこの映画、ってなるわけですよ。メリハリ効いてるから怖いとこはちゃんと怖いし、って。
↑ここなんかもうチビリそうになりましたよ。
でもってクリス・サランドンは
↑こうなったり
↑こうなったりするわけですよ。
特殊メイクもスゴイじゃないですか。もうたまらないわけです。ホラー映画のエンターテインメントですよね。
↑あまりのことにこの人のことを忘れてました。
ザ・グレイト・ヴァンパイア・キラーのロディ・マクドウォールです。わたしこの人大好きでしたので、いやいやそうやん、この人がどう絡んでくるんや、って色めき立ったものです。そしたら、
↑映画スタジオで出待ちという……。
えと、こんなして普通に会えるんですかね。そんなんできたら毎日毎日大騒ぎだと思うんですけどね。まあでもそう気になるところではないですし、わたし逆にうらやましくさえなってしまいましたよ。
↑好きでしたねえ、ロディ・マクドウォール。
あの「猿の惑星」で、人間を助けるコーネリアスってチンパンジーの役を、シリーズ通して演じられた方ですね。
でコーネリアス、本作ではこうして最初のうちはとことん信じないわけですよ。じれったいのですね。でもこの人だから許せる、みたいなそんな雰囲気もあります。
トム・ホランド監督とは「処刑教室」つながりなんですね。
ていうか、実際はどうなんですかね。やっぱり誰も信じてくれないのでしょうか。いやたしかに、
↑これじゃやっぱり頭おかしくなったとしか思わないのでしょうけれど。
でも自分の彼氏がこんなに真剣なんですよ。それでもやっぱり信じないんでしょうかね。わかんないですね。
で、けっきょく
↑恋人と友人がロディ・マクドウォールに頼みに行くことになります。
あ、でもこれは、彼氏の言うことを信じてください、って言いに行くのではなくって、彼の言うことにつきあってやってほしい、て言いに行くんですよ。要するにやっぱり信じてない、と。彼が信じているロディ・マクドウォールが調べに行って、ね、ほらヴァンパイアなんかじゃないでしょ、って言ってくれれば彼もナットクするだろうから、ということなわけですよ
いやいや、流れもいいじゃないですか。そりゃロディ・マクドウォールが行きゃあなにかはおこるやろ、というわけですよ。ワクワクしますよね。
で、
↑いよいよ感、なわけです。
いえね、まったくみんな信じてないんですよ、ウィリアム・ラグズデイルの言うことは。ロディ・マクドウォールも相変わらず芝居がかってて、バカにしてるとすら思えてしまいますよ。でもやっぱりそんな中でも観ているこちらはドキドキしちゃうんですよ。ここまでの流れが秀逸ですからね。でもって、先にも言いましたけれど、ロディ・マクドウォールはクリス・サランドンたちがヴァンパイアじゃない、って証明しに行くわけですからね、ドキドキとワクワクがとまらんわけですよ。ほんと、うまいわー、て思います。
でやっぱり、
↑ヴァンパイアだと知ってしまったあとのこの演技がもうたまりません。
なんならちょっと涙目なってますからね。
↑こんな演技、やっぱりこの人にしかできんわと思うわけです。
↑で、最初にえじきになったのは、
↑エドさんでした。
もう絶望しかなくなりましたよ。いじめられっ子の弱い心に付け込む、ってのが憎らしいところではあります。
↑ここのシーンも、長いんですけどね、長いけどムダに長くないんですよ。
満員のディスコの中でこの二人だけが違和感なくクローズアップされてて、また素晴らしい曲も合わせてなにやらずっと神秘的な雰囲気で、もうたまんないのですよ。
↑ここのシーンもね、ほんといいんです。
なんなら切なさすら感じてしまいます。いろんな感情が入り混じった、ほんといい映画やなあ、て久しぶりに観ながら思ってました。
で、エイミーもとうとう
↑噛まれてしまいました。
さあどうなる、と座を正します。なんならちょっとクリス・サランドンのほうを応援してしまいそうになってますからね、こっちは。
とはいえ、映画ですから退治せにゃならんのでしょうけれども、そうなるとあの二人で大丈夫なのか、とはなります。でもまた逆に、期待感も膨らむわけですよ。だってこれまでのウィリアム・ラグズデイルは信じてもらえなかっただけでしっかり芯は通ってて気持ちの強い子でしたし、ロディ・マクドウォールだってああ見えて、やるときはやるキャラですからね。だからやっぱり、さあどうなる、なわけです。
↑エドさんはこうなりました。
やっぱり特殊メイクはすごいですよ。
↑なんでオオカミ?とはなりましたけど。
コウモリちゃうんかい、て思いましたけど、まあ大勢に影響はないですしね、それはそれでアリではあります。
↑で、オオカミさんはロディ・マクドウォールの尽力もあってこうなってしまいました。
でもって、オオカミ=エドさん、なわけですから、要するにエドさんは
↑こうなってしまった、というわけですね。
↑ロディ・マクドウォールもさすがの熱演ですよ。素晴らしいです。
↑いつもいいますけど、やっぱりCGではこの質感は出せないでしょうね。
特殊メイク、バンザイ!なわけです。
こうしてラストたっぷり20分、すっかり観入ってしまいました。
↑めちゃめちゃカッコいいじゃないですか!
↑力入りますよ。わたし身体こわばってました。
↑エイミーだって負けちゃいないのです。
↑クリス・サランドン、男前も台無しですね。
でもやっぱりこれ、撮影は楽しかったんだろうなあ、てほのぼのとしてしまいましたよ。人間の感情ってほんとわからないですよね。
で、最後は、
↑クリス・サランドンは光を浴びて、
↑こんなんなって、
↑骨になってしまいましたとさ。
最後はド派手に終わりましたね。やりたかったんでしょうね。映画ってほんとにいいもんですね、って水野先生のお顔が脳裏に浮かびましたよ。
いやほんとこれ、おもろいです。こじつけのところも若干あるにはありましたけど、でもムリヤリ感はないですし、それはすっかり許容範囲です。
刑事がクリス・サランドンの屋敷にウィリアム・ラグズデイルを連れて行った、てところだけちょっと違和感だったのと、エドさんが死んじゃったのであわせて★マイナス1としました。
何度も言います。いやほんと、おもろいです。
エンディングテーマもサイコーですよ!
今日の一言
「↑これって杭、逆なのでは……?」
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