★★★★★★★☆☆☆
2010年 91min.
ネタバレ ネタバレして困ることもなさそうです。
敬称略
監督 マイク・フラナガン
製作 マイク・フラナガン、ジャスティン・ゴードン ほか
脚本 マイク・フラナガン
音楽 ライアン・デイヴィッド・リーク
キャリー:ケイティ・パーカー
トリッシュ:コートニー・ベル
マロリー刑事:デイヴ・レヴィン
ロナーガン刑事:ジャスティン・ゴードン
ダニエル:モーガン・ピーター・ブラウン
ジャミー・ランバート:ジェイミー・フラナガン
ウォルター・ランバート:ダグ・ジョーンズ
えと、なにやら全然知らない映画ですよ。TATSUYA DISCAS のレビューで「掘り出しもの」とかあったので、それならとクジに入れといたわけですよ。
で、IMDBで調べましたら、なんかマイク・フラナガンという人のやりたい放題の映画らしいじゃないですか。そういうのってまあ過去のわたしの経験から言いますと失敗作ってのが多いんですけどね。まあとりあえず観てみようというわけですね。
で、オープニングはいかにもそれらしいおどろおどろしい雰囲気が出てますよ。音楽もいいじゃない、なんて思ってました。
で、とりあえず開始10分。何が何やらわかりません。まあたかが10分ですからね、それはそれで仕方ないのでしょうが、どうやら主人公らしい二人の女性(姉妹ですね)の現状の説明、というところです。
↑こちらトリッシュのコートニー・ベル。妊婦さんで、
↑こちらの方を捜しているらしい、です。
左手の薬指に指輪をしていましたから、旦那が失踪したのか、という感じですよ。ただ妊婦さんであるトリッシュのおなかの子は、
↑なんか久しぶりに訪ねてきた妹であるキャリーのケイティ・パーカーによりますと、
誰の子やねん、ということらしいです。
ちなみに、その失踪したであろう旦那はとっても優しい人で、さらにさらにキャリーは元ヤク中で更生して旅してたらしいです。そういう説明が10分でなされた、というわけです。
ただ若干ここで気になったのは、二人が久々の再会に盛り上がっていた時に妹キャリーが「おなかに子どもがいるなんて!」とか言ってめちゃくちゃ驚いていたのに、
↑次のシーンではこのぬいぐるみを渡しながら、
未来の甥か姪にプレゼントよ、とか言ってるとこですかね。まあ、どういうことやねん、とはなります。妊娠してることは知らんかったんちゃうん、て。いや本編とはまったくカンケーないんですけどね、でもやっぱり腑には落ちませんよ。しばらくそれが気になって、映画に集中できませんでしたからね。いつもいいますけど、ホラー映画だってシチュエーションはしっかりつじつまが合ってないとイカンのですよ。
↑いきなり出てきました。
まあいいですけどね。宗教は自由ですし。ただ、いきなり感は満載でした。
なんて言ってましたら、
↑トリッシュがヘンな予感がして階段を下りて行ったら、
↑失踪した夫のダニエル(モーガン・ピーター・ブラウン)がいて、
↑振り向いたらこんなんなってまして、
↑トリッシュは大ピンチで、
わたしちょっととりはだもんでビビってましたら、
↑まさかの夢オチという……。
なんなんですかね、お約束なんですかねB級ホラーでは夢オチってのは。わたし再三いってますけど、夢オチはイカンのですよ。こんなこと容認したら、もうなんだってできちゃうじゃないですか。「エルム街の悪夢」じゃないんですからね、これはやめてもらいたいですね。夢オチかよ~、ってなったときの「あ~あ」感はハンパないですからね。
↑よくあるいい景色ですね。
これでこの話はロスでの出来事なんだな、というのはわかりました。夜景はさぞやキレイでしょうね。わたしロスに住んでたですから、その当時に行きゃよかったと思いましたけど、まあ住んでたのは20歳のとき、いまからもう40年近くも前のことですからね、夜景見ようなんて思うことすらなかったですかね。なんて、このシーンでそんなことまで考えとりました。
あ、でもですね、おもろないから他ごと考える、てわけではないですよ。音楽がね、秀逸なんですよ。この音楽のせいでなんかずっと心が落ち着かないんです。ドキドキするわけですよ。なんかすごいなこれ、とも思ってました。
↑このトンネルがミソなわけですね。
これが「人喰い」なのでしょう。で、そのファーストコンタクトは、
↑キャリーだったわけです。
こちらの方はウォルターさん(ダグ・ジョーンズ)です。なにやら幽霊かゾンビか、みたいな風貌ですが、そうではないみたいです。ただ、「見えるのか?」って言ったのは不気味ではありましたよ。
ところで、姉妹はぜんぜん似てへんな、なんて思ってましたが、
↑体型は似とりました。
後ろ姿だけだと、キャリーかトリッシュか一瞬判別できないです。似たような体型の人をオーディションで選んだのでしょうかね。ま、どうでもいいですけど。
↑トリッシュの精神科の先生です。
トリッシュはここのとこずーっと、失踪したダニエルがめっちゃ怒ってる、という夢を見ていましてね、それを相談に来ていたわけですよ。で、この医者からさっきのあのお線香の写真のような「瞑想」をすすめられた、というわけらしいです。
そういう細かいところの説明があるとは思ってなかったですから、なかなか行き届いとるなあ、とはなりました。マイク・フラナガン、ワンマンショーのわりには意外にやるじゃん、と好感が持てますね。
↑こういうのもいちいち怖いですしね。
↑ここは笑ってしまいましたが。
リンの向こうの巨乳が気になるっちゃなります。
↑なんかそしたらダニエル戻って来ましたよ。
このシーン、最初ダニエルはトリッシュにしか見えてないんやと思ってましたよ。これまでもそういうことが多々ありましたからね。で、その都度トリッシュはなんか吹っ切ったように払しょくしてましたから、今回もそうやろ、と思ってましたのですけれども、
↑トリッシュの今カレのマロリー刑事も気付くわけですよ。
わたし、おおお、てなりました。ここらへんは上手いですよね。まったくだまされましたもん。スゴイじゃん、て驚きでした。まあただこれ最初見たときはダニエルだってわかりませんでしたけど。
で、さてどうなる、てとこですよ。ここらへんで半分過ぎでしたよ。まあトンネル自体はいまのところ単なるアイテムにしかすぎませんでしたけどね。そもそも原題はトンネルとは関係ないです。「不在」とか「欠席」という意味の単語なので、ニュアンスからまったく違います。どっちが正解とはいいませんけど。
ちなみにダニエル、
↑なんも覚えてない、だそうです。
まあこういうパターンのホラー映画にはデフォルトのシチュエーションではあります。
若干ミスター・ビーンに見えたのはわたしだけでしょうか。
なんなんでしょうかね。何が何っていうような大騒ぎがあるわけでもなく、ハッキリしたこともよくわかんないですしね。でもこれ、雰囲気と音楽でけっこうハマるんですよ。ダニエルが出てきちゃいましたから、もうこの先怖いシーンてのはないのでしょうけれども、じゃあどうなるんや、っていう興味はつきないわけですね。めっちゃ気になるわけです。
↑夫が出てきたことでこの二人の関係の行方も気になりますしね。
まあただそうなるとホラーではなくなっちゃいますけど。
↑キャリーもなんかダニエルに気があるの?感が満載だったりもしてます。
え、あいつに?て気もしますけれども。
あ、そしたらとつぜん
↑キャリーが騒いでますが、
ダニエルがまた失踪、となりましたよ。風雲急、というわけでもないですが、でもいい感じですよ。畳みかけるってのは王道ですが、これ見よがしな畳みかけでもないので、なんか心に迫ってくる不安がふくれあがってくるのですね。
↑一線を超えてキャリーはセクシー路線になりました。
まあ、それはそれとして。
なんかダニエルが言っていたのに、「あいつはセイヨウシミのような形だった」です。どうやらそれがかのトンネルに潜んでいて、人を引きずり込む、
↑らしいです。
いやまあ最終的には怪物ですからね、これではすっかりスティーヴン・キングやん、てことなのですけれども、でもなんかやっぱりハマるんですよ。バッタもん感もなく、引きこまれてしまいます。まったくその理由がわからず、不思議な映画なのですね。
↑トリッシュと
↑キャリーは大げんかとなりました。
どうやらお姉ちゃん(トリッシュ)、妹(キャリー)がまたクスリをやりはじめた、と思ったらしいです。けっこうなケンカですけど、でもこれもイヤな感じはしませんね。アメリカならこうなるやろな、っていうのもありますし、アメリカだからってわけではなく、やっぱりどこの国だろうがこういうことになるのは想像できますよ。アリだわな、って。ただこれを掘り下げていって姉妹がギクシャクしたまま話が進んでいく、となるとそれはまったくイヤですけどね。結果的にそうはならなかったので良かったです。
↑で、仲直りしたところでキャリーがセイヨウシミのことを姉に説明しとります。
でもカウンセリングを受けているトリッシュは、そんな虫のことなど妄想にすぎないと言って信じようとしませんね。でも観ているこっちはその虫がいることはわかってますからね、観ていて「キャリーがんばれ!」てなりますよ。いや普通ならこれ、「そんなあんた、虫って……」てなりそうなんですけどね、やっぱりこの映画のもつ全編に流れる怖い雰囲気と音楽が功を奏して、こうして妹を応援してしまうのですね。感情移入しまくっちゃってるというわけです。虫の姿が出てこないってのもまったくイラつかないですし。
なんて言ってたら、姉のトリッシュ、トンネルに引き込まれてしまいました。
予想もしない展開が続いて、そういうところでも好感が持てます。
↑キャリーは姉が引きこまれて、ひとりでトンネルへ向かいますが、
ここはキンチョーマックスでしたよ。
で、最後はキャリーも
↑こうなりました。
ラストはスッキリしません。けっきょくどうなったん?感が満載ではあります。でもほんと不思議なんですけど、まったくイヤな気がしないんですよ。説明しがたいです。だからわたしではない人が同じ気持ちになるかって言われるとまったく自信はないです。ただわたしはすっかりハマりました。さびしさともの悲しさと怖さとが入り混じった、珍しい感じの映画でありました。
まあ、けっきょく何が何やらわからなかった、てのと、
↑ロナーガン刑事(ジャスティン・ゴードン)の
ガムをくちゃくちゃかむ音が不快だったのとで、★3つ減としましたが、それ以外は違和感もなくいちいちなんかハマったのでありました。
姉妹はいなくなりました。もちろんそれはトンネルに棲む虫のせいだということはわれわれ観客にはわかっていることなのですけれども、映画内ではそんなことは誰も信じません。でももし現実だったら、それはもちろんそうなるでしょうし、仕方ないことなんだとナットクできるわけです。
ただやっぱり決着はつけてほしかったですかね。まあ言うたら「ミスト」っぽい不思議な雰囲気の映画のことでありました。
↑このラストはよかったです。(肩に虫が乗ってます)
今日の一言
「お線香の火は口で吹いて消してはいけませんっ!」
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