★★★★★★☆☆☆☆

2000年 97min.

ネタバレ 一応ラスト30分くらいは伏せときました。

敬称略

 

 

 監督 ジェイムズ・ウォン

 製作総指揮 リチャード・ブレナー、ブライアン・ウィッテン

 製作 グレン・モーガン ほか

 脚本 グレン・モーガン、ジェイムズ・ウォン

 音楽 シャーリー・ウォーカー

 

 アレックス:デヴォン・サワ

 クレア:アリ・ラーター

 トッド:チャド・ドネッラ

 カーター:カー・スミス

 ビリー:ショーン・ウィリアム・スコット

 テリー:アマンダ・デトマー

 ジョージ:ブレンダン・フェア

 ルートン先生:クリステン・クローク

 ラリー:フォーブス・アンガス

 ウェイン捜査官:ダニエル・ローバック

 ウィリアム:トニー・トッド

 

 

今回久しぶりに本作を観たんですけれど、最初に監督の名前見たときに、え?「ソウ」や「死霊館」のあの?て思って色めき立ったんですけどね、だまされましたよ。まあ、それを知っていたらわたしが気づいてないわけがないので、そんなことはあり得なかったんですけど、すっかりだまされれた、という感じでした。お恥ずかしい限りで。むこうはジェイムズのワンさん、こちらはウォンさん、でありますね。(まぎらわしいっての)

 

 ザンネンながらこのウォンさん、あの「ドラゴンボール・エボリューション」でタイヘンなことになっちゃいましたけど、本作がデビュー作。このあと本シリーズの3作目で監督・脚本やったり、ドラマ「Xファイル」の監督や脚本やってたりする、どっちかっていうとホラー畑の人ですから、「ドラゴンボール」を監督するのはお門違いだったのかもですね。

 

↑これ見るとやっぱ、なんか始まりそうやな、とはなります。

 

 音楽もまたいいんですよ、これ。作曲は女性ですよ。個人的に、こういう感性を持った女性と一度話してみたいなとは思いますね。なかなかいないんじゃないですか、女性でこういうホラー系の音楽を作曲する人って。べつに性差別してるわけではなくって、実際問題としてやっぱり女性はホラー苦手ってイメージじゃないですか。あの戸田奈津子女史だってホラー映画はほとんど翻訳してませんでしたしね。

 

↑アリ・ラーター。

 

 どうなんでしょ、あまりなじみのない方ですかね。ドラマ「ヒーローズ」に出てた方ですよ。ちょっと「ヒーローズ」とはイメージ違いますけどね。めちゃめちゃカワイイです。

 

 えと、修学旅行で高校生の団体がパリに行くそうですよ。まあ豪勢だこと、とは思いますが。

 

↑主役のアレックス(デヴォン・サワ)とそのママです。

 

 ママはすっかりわたしの、どストライクです。めっちゃ好みです。でも、

 

↑旅行用スーツケースに付いていた航空用のタグですが、

 

 アレックスはこれをお守りだと言っているのに、ママは

 

↑タグを破りとっちゃいました。わたし、「あーっ」て言いましたよ。

 

 で、ここからアレックスがなにやら不安にさいなまれていきますね。

 

 映画としては、ホラーというジャンルではありますけれども、普通のこれまでのホラーのように殺人鬼が出てきてどうの、ってんではなくって、運命めいたものを題材にしているということで話題にはなっとりました。着眼点としては、なかなかにおもろいとこついてきたな、という感じではありますよね。そういうのってどっちかっていうと日本人ウケしそうな感じではあります。

 

↑修学旅行の団体ですが、

 

 これで全員みたいですよ。修学旅行ってクラス単位なんですかね。少なすぎるような気がしますが。兄弟もいたしなあ、と、ナゾではありました。わたし留学してましたけど、大学でしたから高校の事情はよく知らないです。学校単位にしても学年単位にしてもクラス単位にしても、どれもおかしいです。

 

↑アレックス、空港のトイレに入ってます。

 

 アレックスはもうのっけからずっと飛行機に対して恐怖を抱いていて、ここでBGMで流れてきた曲が、自分が操縦する飛行機が墜落して亡くなったジョン・デンヴァーの曲でしてね。ほんとでしたら、なんらかの因縁めいたもので不穏な空気、ってなるところなんですけど、映画「フライングハイ」を知ってる身とすると、ここは笑ってしまいました。

 

 なんかね、ちょっとパロディ入ってんのか、って思ったりもしたんですよ、ここらへんは。だって、

 

↑ここはもうまんま「トワイライトゾーン 超次元の体験」じゃないですか。

 

↑ね。

 

 まあ、そらわたしも、飛行機初めての時は緊張はしましたけどね。でも映画はここから風雲急を告げる、と。

 

↑離陸してすぐこうなりました。

 

↑ティム・ロビンス似のアレックスはいい演技しとりましたよ。

 

↑もう機体に穴が開いて向こうが見えてるわけですよ。

 

 一気に力がはいりました。そしたら……、

 

↑アレックスが目覚めましたよ。

 

 え、夢オチ?とはなりましたけど、でもここからがそこらへんの駄作ホラーとは違うところでした。予知夢というわけではなく、アレックスだけがさっきの飛行機大爆発を実際に経験した、と。で、もちろんみんなに危険を知らせようとします。でもなんか大騒ぎになって、クラスメイトのけんかっ早いやつとは、出まかせ言うな、いや出まかせじゃない、みたいなことでつかみ合いのケンカになって、強制的に飛行機から降ろされちゃうわけですよ。おお、てことは、てなりますよね。

 

 この時点で飛行機から降りたのは、主役のアレックスと、その親友トッド(チャド・ドネッラ)、アレックスに食ってかかったクラスメイトのカーター(カー・スミス)、その彼女のテリー(アマンダ・デトマー)、そばに立っていて押し出される形で一緒に降りてしまったビリー(ショーン・ウィリアム・スコット)に、おかしいと感じて自ら降りることにした我らがクレアのアリ・ラーター。そして、一緒に降りた引率の教師の二人のうち、女性のルートン先生(クリステン・クローク)の7人です。先生の方は、ほんとは最初は男性のラリー(フォーブス・アンガス)が残ると言ったんですけど、ルートン先生が「あなたのほうがパリに詳しいから」と言って飛行機に乗せちゃったんですよ。そういうことになっとりました。

 

 で。

 

 降りた空港内でもアレックスとカーターはケンカしてたんですが、

 

↑飛行機は爆発しました。

 

 ま、当然ですけどね。でもなるほど、おもろいわ、となります。こりゃ残された連中はみんなアレックスを信用するしかないじゃないですか。飛行機爆発を目の当たりにしたわけですからね。でもね、ここからなんかわたしの期待を裏切る方向に進んでいきます。

 

 あ、まあ「私の期待」って言ったって、わたしの勝手な意見なんですけどね、でもやっぱり観ている側からすると、「え~、ちょっとそれはないんちゃうの」という感じなんですよ。

 

↑ビリーだって

 

↑ルートンだって、

 

↑カーターとテリーだって、

 

 みんなみんなめっちゃ怒ってるんです。オケラだって怒っているかもしれません。

 

 いや、反応こうなるん?てなりました。なんか飛行機が事故ってクラスメイトみんな死んじゃったのアレックスのせいだと思ってるらしいのですよ。まあたしかに、そうなるのはアメリカっぽいっちゃぽいですけど、でもいやいや、アレックスのせいちゃうやん、でしょうよ。まあでもそんな中でも

 

↑アリ・ラーターは激カワなのです。

 

 さて、そうなるとやっぱりアレックスが窮地に立たされることになりますよ。

 

↑FBI出てきました。

 

 こちらのかた、お懐かしやのダニエル・ローバック。ドラマ「刑事ナッシュ・ブリッジス」に出てらした方ですね。イヤなヤツだったですけどね。まあいずれにしても、こうやってFBIを出すのはさすが「Xファイル」の監督やな、とは思うわけです。

 

↑ルートン先生は、ずっとアレックスに怒ってます。

 

 怒ってる、いうか憎んでますよ。「話しかけないで」って、教育者のセリフじゃないですね。あんたのせいじゃないのよ、くらい言わんか、ってこっちが怒れてきます。

 

↑トッドも、親がアレックスと会うのを許さんらしいですわ。アホか思いますよね。

 

 あのね、この映画、そういうとこがいちいちもうムカつくんですよ。そうなるかフツー、って。わたしにはこいつらのアレックスに対する気持ちがまったく理解できません。実際どうなんでしょうかね。SNSではあるんでしょうかね。ありそうですけど、でもやっぱりこれ、「アレックスのせいじゃない」ってのは誰が考えたって明らかじゃないですか。観ていてイヤ~な気持ちになるんです。

 

 たしかに実際は、アレックスに対してそういう気持ちになる人もいるかもしれませんけど、だれもそんな気持ちにならない、っていうこともあり得ますよね。だったら、せめて映画くらいはそういうイヤなとこは観たくないじゃないですか。

 

 で、またこれそういうシーンが、長いんですよ。せっかく早い段階で事が起こって、スピーディーに物語が進んでいく、って喜んでたのにこれでは、早く先進めよ、ってイライラまでしてしまいます。

 

 そしたら、

 

↑トッドが、

 

↑殺られました。

 

 ていうかトッド役のチャド・ドネッラ、死ぬ演技がめちゃめちゃ上手いです。そういう役ばっかり増えやしないか心配ではあります。

 

 で、これいったい何に呪われとんのか、となりますね。興味は沸いてくるわけですよ。なのに、なんです。

 

 トッドの父親は、トッドの死は飛行機に残って亡くなった兄の死を自分のせいと悔やんでの自殺だと思っていて、それもアレックスのせいだと言ってるんですよ。なんでやねん、て。観ていてほんと気分悪いです。どんどんイヤな気持ちになってしまいます。こっちはほんとただ純粋に「ホラー映画」を楽しみたいだけなんですよ。こんな人間のギスギスしたところなんか観たくないです。

 

↑それでもやっぱりアリ・ラーターは激カワなのです。

 

↑トニー・トッド出てきましたよ。

 

 おおっ、て。まあこういう映画には欠かせない、みたいな風貌されとりますけどね。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世紀」を思い出しましたよ。

 

↑ポニーテールも激カワですね。

 

 ていうかここのシーンに限らず、全編チョイチョイ「Xファイル」っぽい映像が出てきますね。

 

 えと、ここのシーンはですね、トッドの死の真相を探ろうと、死体安置所にアレックスとわれらがアリ・ラーターが忍び込むわけです。で、トニー・トッドと出会う、と。まあ親友であるトッドの死体を前にしても、しかも首に無残に傷跡が残るのを見てもまったく動じない高校生はどうなのかとは思いますけどね。

 

 ただここのシーンはこの物語において一番重要なシーンです。トニー・トッドがいろいろとしゃべってくれるんですよ。(親友の役名がトッドで、ここの安置所の番人の役をやってるのがトニー・トッドで、なんかわかりにくいですけど、どうぞご勘弁を。全部役名にするか本名にするかって統一すればいいんでしょうけど、トニー・トッドの役名はエンディングまでわかんないですし、アレックスとかトッドとかの役者さんは知らん人だし、わたしの勝手なんですけどごちゃごちゃになってしまいました)

 

 要するに、死というものは決して偶然ではなく、神がデザイン(筋書き)した必然なのだ、と。だから今回の飛行機事故も全員死ぬという筋書きだったのに、アレックスたち数人がそれを回避してしまった。でもそれは完全に死を免れたわけではなく、その実、トッドは死んでしまった。死ぬべきはずだった人がこうして死んでしまったということは、死神の筋書きはまだ終わっていず、新たに始まったのだ、ということだそうです。死神は、デザインした死は必ず実行すべく、またお前たちに死が訪れるだろう、と。なるほどですね。意外に肚落ちしました。

 

 でもやっぱりウザいです。

 

↑だってルートン先生、まだ怒ってるんですよ、アレックスに。

 

 もう話しかけるな、て。そら確かに、自分のせいで同僚の先生が死んでしまった、という負い目はあるのはわかりますけどね、何度も言いますけどそれはアレックスのせいじゃないじゃないですか。子供でもわかりますよ、たぶん。アレックスのせいにするなんて、自分の責任逃れなんじゃないんですか。人としてどうなん、てなりますよね。

 

 せっかく物語がいい感じになってきたのに、やっぱイヤな気持ちに逆戻りしちゃうんですよ。FBIもまったく信じてないし。

 

↑こいつらまったくアレックスを信用してません。

 

 これ、ちゃんと最初っから順を追って説明していったら、わかってもらえないんですかね。FBIでしょ?Xファイルだってあるわけじゃないですか。

 

 っていうのを「Xファイル」の監督をしていた人が監督してるってのはどうなんですかね。もうよくわかりませんよ。

 

 で、こっから先は、残されたものの死の順番もわかって、さあそれをどうかわして生き延びるか、という話になりました。1時間すぎて残り30分でようやくです。やっぱり進みが遅いな、という感じですかね。で、なんやかんやでエンディングとなりました。まあなんやかんやがタイヘンだったんですけどね。

 

↑ラストから6か月後だそうです。パリに来た、と。

 

 まあ、これでハッピーエンドとはならんわなあ、と思ったらやっぱりそうでした。ラストのラストはすっかりありがちでしたね。まあそんなもんなのでしょう。

 

 なんかね、せっかくもっとおもしろくなりそうな話だったのに、人間の醜い部分を見させられて、進みも後半になるにつれて長く遅くなってくるし、も6個が限界でしたかね。次回作はたしかおもしろかったと記憶してますから、そちらに期待するとしましょう。

 

 あ、そうそう、余談ですが。

 

 これわたし今回DVDで観てたんですけど、なんか途中からわたしの住んでるマンションの外が暗くなってものすごいカミナリ鳴り出して、集中豪雨になったんですよ。いやいや映画がこれで実世界もこんなかよ、なんて思いながら観てました。で、映画もすべてが終わってエンディングロール始まった時、とつぜんテレビの電源が切れたんですよ。ほかの機器は普通に動いてます。電気も消えてませんから停電ではないです。でもテレビだけ切れたんですね。さすがにわたしこの時だけはちょっとビビりました。いまだに原因はわかりません。なんでテレビだけ消えたんですかね。

 

 閑話休題。

 

 えと、最後になりますけど、こちら特典映像として「もうひとつのエンディング」いうのがありましてね。そちらも観ましたが、ああなるほどね、でした。たぶんそちらにしていたら、ただでさえ尻切れトンボ的な後味の悪さが残る映画だったのに、間違いなく不完全燃焼で終わるでしょうね。本作の公開時のエンディングは明らかに続編アリを意識したものですから、そらこっちのがいいに決まってるわけです。

 

 もっかい言いますが、次回作に期待しましょう。

 

 

今日の一言

「頭にラジカセ当たってるけどこれ、大丈夫だったのか?」

 

 

レビュー さくいん