☆☆☆☆☆☆☆☆☆

1994年 97min.

ネタバレ してもいいでしょう

敬称略(若干アリ)

 

 

 監督 ピーター・ハイアムズ

 製作総指揮 マイク・リチャードソン

 製作 サム・ライミ、ロバート・タパート、モシュ・ディアマント

 脚本 マーク・ヴァーヘイデン

 音楽 マーク・アイシャム

 

 マックス:ジャン=クロード・ヴァン・ダム

 マッコム上院議員:ロン・シルヴァー

 メリッサ:ミア・サラ

 サラ:グロリア・ルーベン

 ユージン・マトゥーザック隊長:ブルース・マッギル

 リッキー:スコット・ベリス

 ライル:ジェイソン・ションビング

 ジョージ:スコット・ローレンス

 ローレンス補佐官:ショーン・オバーン

 アトレイ上院議員:ケネス・ウォルシュ

 マルコム・ネルソン上院議員:マルコム・スチュアート 

 

 

 なんかこれ、ジャン=クロード・ヴァン・ダムの映画観るの、ものすごい久々でして、じつはけっこう楽しみにして観だしたんですよ。あ、もちろん当時映画館で観てはいるんですけれども、それ以降はDVDあるにも関わらずまったく観てませんで、だからよけいに楽しみだったんですね。なのに、でありますよ。だって監督がピーター・ハイアムズでしょ。なのにこのクオリティって、いったいどないしたんや、なわけです。

 

↑まずは昔のカットから入りますよ。

 

 先回更新した「クリープス」も似たようなオープニングだったなとか思いましたけど、まあこちらは「タイムコップ」ですからね。そらこのオープニングもさもありなん、ではありますか。時空を超える話、ってのは想像がつくわけです。

 

↑なんか会議してます。

 

 左から2人目にドラマ「ザ・ホワイトハウス」に出てたロン・シルヴァーがいますし、なんか政府の会議みたいですから一瞬わたしも、あれ、「ザ・ホワイトハウスか?」なんて時空を越えそうになりましたよ。

 

 えと、会議の内容がですね、タイムトラベルできるようになっちゃったけど、過去に戻ってなにかしでかすと人類滅亡とかタイヘンなことになっちゃうので、時空警察をつくろうじゃないか、っていうことみたいなんですけどね。でもわたしそれ聞いて、「えっ、そっから?」てなりました。

 

↑このシーンはよく覚えてます。

 

 たしか予告編とかでもこのシーンはよく流れてたと思いますけど、映画館では笑いが漏れてましたよ。だってこれ、ひったくりした左の男が全力疾走で逃げてくるところをジャン=クロード・ヴァン・ダムがキックで止める、ってとこなんですけどね。これフツーあんな勢いで走ってきたら止まれないし、だからヴァンさんも吹っ飛ばされるやろ、的な笑いでしたよ。失笑に近い、て。

 

↑これもねえ……。

 

 いつもいいますけど、映画でこういうエロシーンて、わたし必要ないと思うんですよ。このシーンは、のちのち奥さんが妊娠していることを打ち明けようかどうしようかというときに警察官である夫(ヴァンさん)が「事件だから来い」って呼ばれて言いそびれて、そのまま奥さんが殺されてしまう、という部分への布石になっているとは思うのですけれどもね。でも、いやいやこれあんたたち夫婦なんでしょ、て。夫婦なら妊娠どうのって当たり前のことじゃないですか。それをなんでわざわざこんな絡みのシーンをみせなきゃならんのか。奥さん役のミア・サラだって疑問に思わなかったんでしょうかね。なんでこの内容の映画で裸をみられなきゃならんのか、って。だいたいこちらも、家族で観てたら気まずいじゃないですか。やけに濃厚なシーンでしたし、ほんとこれ不要ですよ。いつも言いますけど、そういうのが観たかったらそういうDVD借りてきますって。単に監督がミア・サラの裸を見たかっただけなんじゃないか、ってそんなことまで思ってしまうわけです。

 

 ピーター・ハイアムズ、本作までの経歴としては「2010年」、「シカゴ・コネクション 夢みて走れ」、「プレシディオの男たち(ショーン・コネリー主演)」、「カナディアン・エクスプレス(ジーン・ハックマン主演)」なんてそうそうたる映画が並ぶわけですが、いったいどうしちゃったんですかね。ちょっとガッカリして、そしてこれを境にわたしのピーター・ハイアムズに対する評価は爆下がりすることとなりましたよ。

 

↑ヴァンさん、やられてます。

 

 ねー、けっこうやられてますよね。普通の人っていうのを見せておきたい、てことなんでしょうけどね、その後の超人ぶりはまったく別人のようで、こんな演出もどうなんかとうがった観方までしてしまいます。

 

 なんて思ってたら、

 

↑ヴァン・ダム家、大爆発です。

 

 奥さんもろとも、なんでしょうか。でもね、観ているほうは別になんとも思いませんよ。だって「タイムコップ」なんでしょ?時空警察で過去に戻れるわけでしょ?って。そら、過去に戻って歴史を変えたらタイヘンなことになるって言ってましたけど、でも映画だし、このまま奥さんと別れたままで終わるとは、だれも思いませんね。

 

 案の定です。

 

↑こうして株でもうけようとよからぬことを考えてると、

 

↑時空警察現る、なわけです。後ろの空間がゆがんでますよね。

 

 展開まるわかりなんですよ。

 

 いやなんかですね、わたし本作、社会人になってから当時付き合っていた妻と一緒に観に行ったんですけどね、どうしてこれ観たいと思ったんだろう、ってここまでわずか20分なのに思うこととなってしまいました。いつもの駄作のように「長いわ」とは思いませんけど、興味がまったくわかないんですよ。

 

↑格闘シーンもね……。

 

 カット割りが多すぎて、目がついていきません。パッパッパッパッと画面が変わって、うっとうしすぎます。撮り方が下手すぎてイライラします。「99.9」か、て。

 

 同じ格闘シーンを我らがジャッキーが撮ったら、そらもう素晴らしいことになるんでしょうね。ジャッキーだったら格闘シーンにはこんなにカット入れませんもん。ちょっと引きで、しかも長時間でじっくり魅せるという。そういうことは学ばないんでしょうかね。驕りみたいなのまで見え隠れしてしまいますよ。

 

↑けっきょく彼の氏、過去で悪さしてたのがバレて捕まって、連れてかれます。

 

 戻れば家族も殺されるとかゴネてましたから、おお、ちょっと複雑におもしろくなるんか、て思いましたけど、それだけでした。

 

↑さきほど会議のところで紹介したロン・シルヴァーさんです。

 

 最近見ないなあなんて思ってましたら、もう4年も前に亡くなっちゃってました。ヘビースモーカーで、食道がんと……。わたしもヘビースモーカーでしたが、2003年の10月15日にきっぱり辞めましたから、ほんと辞めてよかったと思う次第です。吸い始めたのはきっちり20歳。37歳で辞めたので17年間。けっこう吸いましたけど、それからもう20年経ちましたから、そろそろ肺もキレイになったかな、と思ったりはします。

 

 あ、閑話休題。

 

↑ロンさんとヴァンさんです。

 

 ジャン=クロード・ヴァン・ダムをヴァンさんというのかどうかは知りませんけど。ロン・シルヴァーがロンさんならジャンさんという気がしますね。ていうか、シルヴァーさんとダムさんが正解かもです。まあいいです。

 

 で、ここでロン・シルヴァーが黒幕だということがわかります。それを受けてヴァン・ダムが「そんなことは知っとるわ」と宣戦布告しますよ。なんかおもしろくなりそうなんですけどね。

 

 どれもこれもがそんな感じなんですよ。これもうちょっとなんかヒネったら、そうとう面白くなるだろうのに、ってもう歯がゆくって仕方ないわけです。

 

 えと、でもこれなんか大ヒットしたらしいですよ。そらそうですよね、製作にサム・ライミが入ってるんですからね。この映画でジャン=クロード・ヴァン・ダムもスターダムにのし上がったらしいです。でもわたしは、そんなすごい映画とはこれっぽっちも思えません。わたしが悪いんでしょうか。ちょっと自信無くしそうですよ。ウソですけど。

 

 だってほんとこれ、展開丸読みできるんですよ。

 

↑こうやって殺された奥さんのビデオを観て

 

↑感傷に浸ったりしてますけどね。

 

 でもやっぱり「タイムコップ」やん、て。どうにでもなるんやろ、って。

 

 先の展開がわかってて観るってのは安心感があっていいところもありますけどね、でもこの映画でそれはアカンやろ、ってことですよ。脚本力が弱すぎるんです。

 

↑格闘シーンも……。

 

 相手が強そうに見えないし、実際に弱いし。カットは相変わらず多くって観づらいし、その割にスピード感まったくないし……。

 

 これではピーター・ハイアムズ、ショーン・コネリーやジーン・ハックマンに申し訳が立たんですよ。雰囲気はまんま「カナディアン・エクスプレス」だったですけどね。名監督になれそうだったのにこれで無になってしまいました。わたしの中では、ですけど。

 

↑こういうのも何度かありますが。

 

 要らんし。

 

↑そしたらグロリア・ルーベン出てきました。

 

 ドラマ「ER」で好きな女優さんだったので、ここだけは素直に喜べましたよ。

 

↑ブルース・マッギル。

 

 ジャン=クロード・ヴァン・ダムの味方の人です。この人もよく見る気がしますが、あれ、何に出てたっけて感じの人です。脇役者にはありがちですけど、いい脇役者なら、あ、あれに出てたよね、あああれにも出てたわ、ってなりますよね。でもこの人はそうもならなくって、ザンネンではあります。調べたらめちゃめちゃたくさん出てますけどね。今回はなんか大統領候補って言ってましたけど、そういう雰囲気はまったくないですから、そらないわ~、ってなりました。

 

↑そしたらまた……。

 

 もうね、これあえて載せますけどね、なんでこんなシーンが要るんですか。まったく脈絡ないですよ。この女優さんはいったいなんのコネで出たんですかね。映画会社のエライ人が下のお世話になって、よっしゃよっしゃ、今度おれの映画に出してあげるよ、とかそんな感じなんでしょうかね。サイアクです。ハラ立ってきました。

 

↑ガムです。

 

 このシーンで、今からタイムトラベルで「1994年」に行くって言ってて、わたし、あれ、今何年の設定なん?ってなりました。てっきり現代が1994年だとばっかり思ってました。本作の公開が1994年ですしね。けっきょく本作での現代は「2004年」だそうですけど、じゃあそれはそれで、ほんでこのガムかよ~、ってもなりますね。公開年の1994年ではまだこんな板ガムが主流だったのでしょうかね。今じゃ板ガムなんてまったく見ませんからね。公開当時に今みたいなタブレットガムがなけりゃそりゃ板ガムしか出てこないですけど、だからもうなんか、イタイです。設定が2004年なのに古臭すぎます。

 

↑これがタイムマシーンなんですけど。

 

 高速で走って最高速に達したところでタイムトラベルするっていうのはまんま「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ですけど、ここのシーンでも相変わらずスピード感はまったくありませんでした。

 

↑あ、ちなみにヴァン・ダム、34歳だそうです。

 

 けっこう老けてるなあってのが正直な感想ですが、もうそんなどうでもいいことばっかり考えてました。

 

↑ここはほんとはキンチョー感マックスなはずなんですよ。

 

 ヴァン・ダムさん、グロリア・ルーベンに裏切られて窮地に立たされ緊迫のシーン、なはずなんですけど、まったくそんなキンチョー感はなかったですね。このあと銃撃シーンに入りますけど、肝心なグロリア・ルーベンはいっさい出てきませんでしたしね。

 

↑合成もへたくそでしたよ。

 

 なんか当時の最高技術のCGを駆使したそうですけど、それでこれかよってまたまたガッカリです。まあ当時の最高技術ならしかたないですけれどもね。

 

↑えと、これが要するにタイムマシンなんですけど。

 

 これ、過去に行くときこれに乗っていくんですけどね、過去に着くと身一つでいきなり現れるんですよ。車なんてどこにもない。生身のまま放り出されて、ヴァン・ダムとグロリア・ルーベン、池かなんかに落っこちてましたよね。

 

 で、未来に戻る時はマシンないですから、なんか帰還用の弁当箱みたいのを操作してこれまた生身のまま戻るんですけど、戻ってきたらこの車に乗ってるんですよ。どないなってんねん、ですよね。そういう細かいところのつじつまがまったく合ってないです。いい加減にしてくれよ、という感じになっちゃいますよ。

 

↑グリア・ルーベンがザンネンなことになってます。

 

 実はグロリア・ルーベンはヴァン・ダムを裏切るいうか、そもそもロン・シルヴァーと組んでいてヴァン・ダムをだましてたんですけど、そしたらロン・シルヴァーに裏切られて撃たれてこんなんなりました。そんでもって、

 

↑やっぱヴァン・ダムの奥さんは出てきました。

 

 ほうほう、思ってたとおりやん、ですね。それはそれで普通だったら「おもろいやん」てなるのでしょうけど、もうここまでがここまでですし、今ごろかよ感が満載で、なんともなりませんね。

 

↑偶然ヴァン・ダムがミア・サラの血液をみつけます。

 

 偶然に、ですよ。ほんとに、たまたま。これほどのたまたまがあるか、いうくらい、たまたま。ベスト・オブ・たまたま。いくらなんでも偶然にすぎるでしょうよ。都合よすぎますって。で、何がわかったかって、妊娠してた、ってことだけで。わたし、ため息出ましたよ。

 

↑だからやっぱり夫婦は再会します。

 

 でもこのシーン、ミア・サラはヴァン・ダムのいでたちを見て、「あなただれ?」ていうんです。いや、観客はずっと観てるからね、というのを差し引いても、愛し合った奥さんが「あんただれ?」はないでしょうよ。わたしこのセリフ聞いて、あ、結婚してない、いうか、知り合ってすらいない、ってことになっとんのか、ってちょっと思っちゃいましたよ。過去に戻っただけなんで、それはあり得ないということを理解していてもそう思ったんです。もうむちゃくちゃですよ。よっぽどこれ、知り合ってなかったって話にした方がおもろかったんじゃないのか、って思います。

 

↑こうして二人並ばせて、われわれ観客に見せますけどね。

 

 でもどうみても髪型の違うヴァン・ダムじゃないですか。観客からしてこれですよ。奥さんが気づかないはずないじゃないですか。なめとんのか、て話ですよね。

 

 もうね、どれもこれもが若干の中途半端なムリがあるんです。完璧なムリならかわいげもあるってもんですけど、ここまで中途半端だともうわたしこれ、1時間10分あたりで「はよ終わらんかなあ」って思ってしまいました。観客にそんなこと思われるなんてもう映画としては致命的ですね。

 

↑殺し屋たちもなんかダサいし……。

 

↑このシーンは「カナディアン・エクスプレス」ですかね。

 

 もちろん「カナディアン・エクスプレス」の時のような緊張感はないです。まったくありません。4年しか経ってないのにこの劣化はなんなんですかね。

 

 なんて言ってたらシルヴァーさん、

 

↑こんなんなって

 

↑こんなんなりました。

 

 まあダムさんにやられちゃってこうなるわけですけどね、昔のロンさんと今のロンさんが重なってこうなった、というわけです。いや「ドッペルゲンガー 憎悪の化身」か、て。こんなグロいシーン、この映画の内容には不要です。エロシーンと同じくらい、グロシーンもいらんのですよ。

 

 いえね、同じ時代に同一体は重なれない、てのは再三言っていることで、それはこちらも理解できますけど、それがこの映像になるってのは、あまりにもですよ。ほかにやりようがなかったんでしょうかね。ほぼ失笑ものとなってしまっています。

 

 けっきょく最後まで怒りマークが頭の上に鎮座したまま、これまた最悪のエンディングを迎えることとなります。

 

↑過去が変わって、未来に戻ったらなんと息子がいた、と……。

 

 いや、ヴァン・ダムこれ、家に帰ってきたら玄関ドアが開いてこの息子が「パパーっ」て走ってきてビックリしてましたが、そらアカンやろ、でしょうよ。こんな大きな息子が実はいた、って、ここまでの成長をまったく見てないんですよね。なんならそこまでの時期って一番かわいい時間じゃないですか。それが皆無?ヴァン・ダムさん、なんか幸せそうな顔して「最高だ」て言ってましたけど、ほんまお前それでいいんか、と突っ込まずにはいられませんでした。

 

 いえね、過去が変わればそれに合わせて記憶も書き換えられるのかもしれませんよ。たしかにロン・シルヴァーは過去の自分が傷つけられた瞬間、同じ場所に傷跡ができましたからね。ひょっとしたらそういうことを観客はちゃんと把握しろよ、というピーター・ハイアムズ監督からのメッセージなのかもしれませんけど、ここまでずーっとむちゃくちゃなことしといて最後でそれでは、普通に観客をなめてるとしか思えません。

 

 わたしこれ、ほんとなんで映画館に観に行ったんでしょう。当時はどう思ってたんでしょうかね。まったく覚えてないので、記憶から消し去りたかったのかもしれません。

 

 はひとつです。映画館に観に行ったのに0じゃ癪にさわるので一つだけつけときます。

 

 ほんとに大ヒットしたんですかね。製作費2,800万ドルに対して興行収入1億160万ドルですって。大丈夫なのかハリウッド。よっぽどこの年は娯楽がなかったんでしょうかね。わかりませんね。

 

 

今日の一言

「『最高だ』だ?こっちは『サイアク』やわ!」

 

 

レビュー さくいん