★★★★★★★★★☆
2015年 117min.
ネタバレ ハッキリしてます。
敬称略
監督 山崎貴
製作 川村元気、佐藤貴博、守屋圭一郎
脚本 山崎貴、古沢良太
音楽 佐藤直紀
泉新一:染谷将太
ミギー:阿部サダヲ
田宮良子:深津絵里
村野里美:橋本愛
島田秀雄:東出昌大
倉森:大森南朋
広川剛志:北村一輝
三木:ピエール瀧
浦上:新井浩文
平間:國村隼
後藤:浅野忠信
草野:岩井秀人
辻:山中崇
山岸:豊原功補
その他:飯田基祐、関めぐみ
で、こちらもあまりに待ち遠しくって、公開当日のレイトショーで観に行ったのでした。
↑さあ、ということで、いきなりの今はなき新井浩文ですよ。
これね、髪のあるなしはありますけどね、浦上、原作まんまなんですよねえ。わたし映画館で、とりはだ立てて、心の中で狂喜してました。こいつ、好きだったんですけどねえ……。自業自得とはいえ、もったいないことしましたね。
ところでですね、オープニングは前作のエンディングつながりなんですね。前作は、一応エンドタイトル終わって全編109分が終わったのですけれども、実はそのあと、予告編として8分ほど上映してるのですよ。で、その部分を今回の「完結編」のオープニングとしてるんですけれども、どうやらこれちょっぴり端折ってるみたいでですね、え、それありなんかよ、てわたしは思いましたよ。おそらく日本人の常として、エンディングロール始まったら帰っちゃう人もいたと思うのですよ。それで、そういう人が今回のこれ観たら、なんかもったいない気がしました。やっぱり映画は最後まで観なくちゃ、てことなんでしょうけれども、でもわたし、あまりに長いエンドロールもどうかとは思うんですよ。じゃあだれをタイトルに載せて載せないのかってなっちゃうと、それゃ難しいですし、製作側とすりゃちょっとでも携わってくれたらせめてエンディングタイトルに名前を載せてあげたいと思うのも、よくわかりますよね。そこらへんのこと考えて、もうちょっとローリングの速さを速くするとかしてもいいとは思いますけどね。長くても聴けるエンディング曲なら問題はないでしょうけどね。
さて、そこで映画の内容なのですけれども、もちろん前作と同じように、マンガの「寄生獣」が元になっているのは間違いないですね。ていうか、前作と本作併せて一本の映画と思っていいわけですから、前編、完結編なんてカンケーないっちゃないです。
で、のっけから染谷将太演じる新一が、街に潜む寄生生物を次々と見つけては片っ端から殺していく、ってシーンなのですけれども、これマンガでもむちゃくちゃキンチョーしましたけれど、やっぱり映像化するとさらにキンチョーしますねえ。冒頭から手に汗握る結果となりますよ。
↑そんな中でも、ミギーはなんかかわいい存在になってました。
寄生生物ですからね、ほんとは恐怖の存在なはずなのですけれども、そこは主人公として、ホッとした瞬間を与えてくれますし、なにしろやる時はやる子ですからね。安心感はしっかりあるわけです。
↑で、安定の深津絵里。
最初っから破壊力は抜群でしたから、まさかこのあと殺されてしまうとは、原作読んでても意外ではありました。
↑もう一人の「今はなき」ピエール瀧。
わたし的にはこいつは、新井浩文とは真逆で、いなくなってもまったくもったいないとは思いません。どうしてあんなに演技の評価が高かったのか、未だにわからない存在なわけです。いいと思ったこと、わたしはただの一度もありません。なにがどうなのか、ちゃんと教えてもらいたいほどですよ。なんならわたしの中では、たまに出てくるダメなお笑い芸人と同じレベルですけどね。テレビ「マイファミリー」のサンドウィッチマン富澤とか、「容疑者Xの献身」のダンカンとか。いなくなってよかった、とわたしは思ってます。
↑満を持しての感のある浅野忠信は、もうめちゃめちゃかっちょえいです。
原作でも「悪のヒーロー」的な後藤でしたが、それをしっかりと表現してくれてますね。最高のキャスティングではないかと思うわけですよ。
↑ところでこのシーン。
まあネタバレですけれど、北村一輝は寄生されてなくって普通の人間なわけなのですが、その人間が一人で寄生生物しかいない場所にいるってのは、どういう気持ちなのでしょうね。怖くないのか北村!と思ってしまいましたよ。
↑大森南朋。これも完璧なキャスティングですよ。
演技派ってのもそうなのですけれども、それよりなによりビジュアルがマンガの登場人物まんまなんですよねえ、倉森。このあと娘が殺されるシーンは、同じ娘を持つ父親として、心が痛かったです。
↑主人公二人。
こちらの二人は、まあ主人公なのだから当然なのですけれども、安定のツートップ、というところですね。このシーンは、ほんとに悲しいシーンでした。
↑橋本愛ちゃんはほんとにいい演技してくれてます。
↑こちらはすっかり御屋形さま、織田信長公ですね。
で、このあと大森南朋に、彼が好意を寄せていた深津絵里の正体がバレるわけですが、そのあとの展開が秀逸ですよ。マンガで読んだ時に思いましたが、ほんとにこのマンガは、世界に誇る最高傑作だと思うわけです。
↑このシーンでは、二人の会話がすごいです。
染谷「化け物の言うことなんか信じられるか」に対し深津「人間の言うことは信じられるのか」と。この二つのセリフに、この話の根幹が出てるわけですね。わたしちょっと泣いてしまいましたよ。
↑ここもいいシーンです。
ここでは新一が橋本愛ちゃんの里美に「泣けないんだ」って言うところで、原作でも心から切ないシーンなのですけれども、こちら観客側(読者側)は泣けるシーンです。
↑後藤とのファーストコンタクトのシーンです。
ここからまた音楽がものすごい緊迫感を煽りますよ。
↑そして大森南朋の迫真の演技。
ここがさきほど言った泣けるシーンですが、同時に音楽もあって怒りも増幅されますよ。音楽の力はスゴイのです。
↑ここは思わず笑ってしまいました。
「遊星からの物体X」なのでしょうか。
↑このお方が五人分の寄生生物を統率していたのですね。
そういう話もまったく想像がつかず、マンガを読んでいてとてもビックリしたのを覚えてます。
↑飯田喜祐がチョイ役ですよ。わたし「おおっ」て言いました。
↑このシーンを観て、キャスティングの素晴らしさを改めて実感しました。
こんなトンデモな演技はこの人にしかできません。
もうここらへんでわたし、ずっと泣いてることに気づきました。原作マンガに対する思い入れっていうのがまずあって、それをこうも世界観を損なわずに完璧に実写化した製作陣、キャスト陣に感謝しまくりながら、ですね。
↑豊原功補もよかったです。いちいちナットクなのです。
↑國村隼さん。
「秘密」のときとは全然違います。もう重鎮の勢いですよ。大阪府大阪市出身の流暢な大阪弁は、観ていて気持ちよかったです。
↑山中崇は、わたし好きですねえ。
名前に同じ字を使っている、というだけではないです。これからベテランになって、邦画界になくてはならない存在になってほしいものですね。もうなってるのですけれどもね。今以上に、です。
ただやっぱりですね、わたし前作の時にも書いたのですけれども、全編、中編、完結編の三部作にしてもいいから、お父さんの一連が欲しかったのと、じつは完結編の話ですと、漫画では片腕を失った新一を助ける美津代さんというおばあさんがいるのですけれども、その話は観たかったですねえ。製作陣は断腸の思いで削れるところを削ったそうですが、ないものねだりしてもしょうがないのですけれども、やっぱりザンネンです。阿部ちゃんの加賀恭一郎もいいけど、やっぱり竹野内豊の加賀恭一郎が観たい、というのと同じですかね。
さてその後、豊原功補率いるSATが寄生生物たちを駆除していくのですけれども、ここのシーンも原作でむちゃくちゃキンチョーしたシーンでしてね、実写化するとどうなるのかと思ってましたが、ここはもう音楽がすごくって、キンチョーというよりもアドレナリン出まくりの大コウフンしてました。これと同時に、動物園での大森南朋の倉森と深津絵里の田宮良子のシーンが並行して描かれていて、マンガのほうではこれらは別々の話だったのですけれども、この同時進行は奏効でした。寄生生物と人間、どちらが危険なのか、っていうことですね。映画のだいご味、だったわけです。
↑新井もねえ、大活躍なんですよ。
豊原功補が「移動式スキャナーを用意しろ」って言って、そんなんあるんやと思って出てきたのがこちらのお方でした。若干笑ってしまいましたね。大キンチョー、大コウフンの中で、ほんのちょっとだけ現実にもどることができた瞬間ではありましたよ。
↑このシーンはまたまた泣きましたよ。
倉森の気持ち、田宮の気持ちっていうのが心の中で絡み合って、そして倉森が命を落とす。なんかいろいろ考えさせられるわけですね。
↑ここは北村一輝の本領発揮です。
ていうか、わたしここで気づきました。そうやん、ここで初めて北村一輝が普通の人間だってわかるんやん、て。原作知ってたり、同じ映画を何度も観るとそういう弊害はありますけどね。まあなんのこたないです。
↑ここはこの物語の一番のシーンですね。もうずっとわたし泣いてますよ。
↑染谷くんには感謝しかありません。m(_ _)m
↑こちらは大人の魅力満載です。かっちょよすぎるでしょう。なんて思ってたら……、
↑こんなことになりましたね。
原作どおりなんですけれども、まあ何から何までスゴイわけです。
↑後藤にこんなことされたらもう絶望しかありませんね。
こんなことほんとになったら、絶体チビりますって。新一が「絶対ムリだ」って言うのですけれども、まあそれ、おっしゃる通り、でありますよ。
でね、完結編ではあまり描かれてなかったですが、じつはミギー、寝てしまうんですよね。原作でどうだったか、ちょっと覚えてないのですけれども、観ているほうはそうした思いを常に持っているので、キンチョーしまくりなわけです。
↑で、ミギー寝なかったですけれど、後藤にやられました。
またまたまた泣けます。
その後、ミギーと離れたことによって同種を感知することのできる後藤には新一を捜すことができなくなって、ちょっとホッとすることになるのですけれども、まさかそんなことで危険がなくなるわけでもないだろうし、キンチョーのまま新一と里美が落ちあって一夜を共にするシーンになりますね。なんかどっかで観たようなかんじだなあ、なんて思ってたら「ターミネーター」でした。そういうオマージュもあるのですかね。
↑わたしなんかこう、乳首がくすぐったくなりました。
ちなみにわたしは、乳首弱い派ではあります。
その後、死んでしまったと思っていたミギーとの再会は、しっかりと伏線が効いています。ものすごく安ど感を覚えますけれども、同時に絶望感も変わらず感じていて、頭が壊れそうになりますね。脳内麻薬みたいで、でもだからこそ何回も何回も読んでみたくなって観てみたくなるのでしょうね。
↑さあ、いよいよ大団円ですが。
先の戦いでミギーが後藤の右足を切断して動きを止めて新一が逃げることができたわけなのですけれども、このシーン観たら、ちゃんと右足のズボンのすそがその分切り取られて短くなってました。さすが山崎貴、と思わず唸ってしまいましたよ。細かいところまでちゃんと行き届いている、素晴らしいです。
↑なので怒り心頭の浅野忠信です。
ただただ怖いです。「おおっ、怖えぇぇぇぇっ」て言いました。
で、ミギーとの再会。それでまたこれまでのように二人で難敵をやっつける。泣けますねえ。まあ若干ですね、「大量の放射能が付着している」ようなものがゴロゴロしているところにいる、普通の人間の新一は大丈夫なのか、っていう心配もあるわけですよ。最終的にそれで不死身の後藤も不死ではなくなったわけですしね。でもだれも突っ込みませんね。原作では、ダイオキシンでした。そっちもそっちですけど、放射能はマズかったのでは、と思うのですけれども、まあよいのでしょう。原発を破壊して、シューシューいって噴出している放射能に顔を突っ込んでその煙上のものを吸い込んで満足そうにしているゴジラを見て、「ゴジラが放射能を全部食べてしまった」なんていう夏木陽介よりはよっぽどいいです。★はひとつ減しましたけど。
そして全てが終わって、まあこれ世界的にどうなったのかはわかんないですけれど、それはそれとして、ミギーと別れることになります。これはもうたまりませんよ、寂しくって寂しくって。なんだこのラスカルの最終回感は、て思って泣いてました。泣いてばっかりですよ。
なんて、ホッとさせといてまたここで浦上出てくんのかよ、って。そういえば原作もそうだったなあ、なんて思い出しましたけど、忘れたころの新井浩文です。まだ時間残ってるなあ、て思ったところではありましたけど。後日譚みたいなのは忘れちゃいますね。しょうがないです。
↑再現度がスゴイんですよね。ああっ愛ちゃんがっ、てなります。
なんて言ってたら、ミギーとの再びの再会です。だから、泣けるって、て感じです。なんやこの、ハイジのアルムの山に帰ってきておじいさんと再会したとき感は、です。
二作で一本の映画、てことですから、壮大なストーリーではありますけれども、本来なら原作ありきの映画であれば、こうなるのが普通なんだとは思いました。ただ、間違えてならないのは、それをするなら映画として完璧に仕上げなきゃならない、ということだと思うわけです。そうでなきゃ、原作ファンどころか、映画ファンにもそっぽをむかれるということになりかねませんよね。それで言うならばこの「寄生獣」二部作は、完全に成功した映画、ということになるとわたしは思いました。そもそも完結編では、こんなに泣かされるとは思いもしませんでしたからね。
何度観てもおもしろい、そして泣ける「寄生獣」。マンガも映画も、最高の一級品だと思って涙をぬぐった観了後なのでありました。
今日の一言
「えと、こちらはどちらの泉谷さんなのでしょうか??」
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