☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2006年 104min.

ネタバレ まあ、あるでしょう、そりゃ

敬称略

 

 

 監督 アナ・クラヴェル、ジェイムズ・ダドルソン

 製作総指揮 スタンレー・ダドルソン、ロバート・F・ダドルソン

 製作 ジェイムズ・ダドルソン

 脚本 アナ・クラヴェル、ジェイムズ・ダドルソン ほか

 音楽 クリス・アンダーソン

 

#1

 アリス:ステファニー・ペッティー

 父:ロイ・エイブラムソーン

 母:スーザン・シュラム

 祖父:バニー・ギブソン

 ジェシー:マット・フロム

#2

 ジェリー:A・J・ボウエン

 エヴァ:エリーナ・マディソン

 レオン:アキル・ウェンゲイト

 ラジオ:キャラ・キャメロン

#3

 レイチェル:カミール・レイシー

 ヴィクター:ライアン・カーティ

#4

 デイトン教授:エメット・マッグワイア

 キャシー:ボー・クレシック

 チャールズ:マイケル・マドリッド

 ジョン:ベン・プロスンキー

#5

 ファーウェル医師:クリス・アレン

 クリフィー:エド・ダイヤー

 ジェイコブズ:マギー・アヴィラ

 

 

 一応シリーズとしては3作目に当たりますけれど、映画の内容の性質としては、1作目や、2作目とつながりがあるわけではないので、クジを引いて本来ならシリーズ物は1作目から観るというルールを課したのですけれども、今回は普通にこの3作目を観ることとしました。まあ、で、それが功を奏したとでも申しましょうか、「クリープショー」とは名ばかりの、まったく別物でしかも全然おもしろくない、という結果となりまして、先に観といてよかったなあ、という感じです。公開年が2006年で、「クリープショー2」からはもう18年も経ったあとですしね。

 

 で、18年後の本作の、前作までとの違いはオープニングから出てきますよ。オープニングでアニメを使う、ということは踏襲されているのですけれども、なんかそのアニメがどうにも「違う」んですよ。1作目をご存知の方は思い出していただきたいんですけれど、このアニメって「クリープショー」の代名詞とでもいうべき、映画への導入としてとっても重要なものでしたよね。ああなるほど、このホラー漫画のとおりのことが現実に起こるんだな、と。トム・アトキンス演じるわからずやの父親に、小学生の息子が復讐するってのがエンディングでも描かれていて、さすがジョージ・A・ロメロ、さすがスティーヴン・キング、とナットクしたものですよ。ジョン・ハリソンによるオリジナル音楽もおどろおどろしく怖さ満点でしたから、観るこちらも自然と座を正した、というもんです。

 

 ところが本作のそれは、どうにも、軽い。前2作のようなホラー感はまったくなく、まあそこまでひどくはないですけれど、どっちかっていうと「ピンク・パンサー」的な。決してコメディというわけではありませんが、どう見てもホラーじゃないんですよ。そもそも本作は、ジョージ・A・ロメロもスティーヴン・キングも関係なくなっちゃってますからね、そんなところに巨匠二人のイメージを重ねようとするのが、そもそもムリな話なのかもです。

 

 中身としては、5話オムニバス形式ですから、前2作を踏襲してます。まあ、まがりなりにも「クリープショー」という冠かぶってるわけですからね、これをなくしちゃうともうそもそもの土台が崩れ去りますから、それは当然でしょう。そこはいいです。ただやはりのっけからザンネンだったのは、オープニングのアニメ、しかもただアニメを使用した、というだけのアニメと、1話目に出てくるなんちゃって制服JKの演技のド下手さでありましたね。これのおかげで、まったく前2作のような重厚感はなくなって、ずっとアサイラムが脳裏にちらつくのですよ。しかも、わたしが忌み嫌う、ひっきりなしに鳴っている音楽、ってのがもうアルバトロスです。ウザくてしかたありません。まあアサイラムでもアルバトロスでもないですけど。

 

↑ミニスカも制服も、まったく似合ってません。

 

 日本のJKは偉大だと思いましたね。

 

 1話目は、もうずっといろんなことに文句ばっかり言ってるなんちゃってJKが、その父親がテレビのリモコン使うたびになんか違う世界に飛んでしまい、その自分が文句言ってた家族の子になるという。で、飛ぶたびに身体が傷だらけになっていく……。たしかにこの傷というか皮膚の変形というか、のメイクは、トム・サヴィーニっぽくって(もちろんトム・サヴィーニもカンケーないですよ)、ゆいいつ「クリープショー」っぽかったですけど、話的にはすっかり「トワイライトゾーン 超次元の体験」ですね。汚い「トワイライト・ゾーン 超次元の体験」、て感じです。で、けっきょくエンディングは意味がわかりませんでした。

 

↑汚いです、フツーに。

 

 2話目になっても落ち着きませんね。音楽、やっぱり流れっばなしですよ。あーもう、うるせえな、なんて言ってましたら、開始20分ほどでようやくちょっとだけ静かになりました。はあ、やっとかよ、落ち着くわ~、て、ホラー映画で「落ち着く」ってなんやねん、とこれまた腑に落ちずで。

 

 なんかもうずっと「違う」んですよ。なんだなんだ、いったいなにが違うんや、で気づきましたね。そもそもまったく「怖くない」んですね。キング色がどこにもありませんからね。そういうことなのです。

 

 でもって、2話目はなんか、小汚いホームレスみたいのから買ったラジオと話をするヒゲ兄ちゃんの話。ラジオと話して、ラジオが言うなりに人を殺したりします。ただそれだけです。もうとにかく展開が遅くて、全編104分、オープニングとエンディングを差し引いたら本編はおおよそ95分てとこですかね、で5話ですから、だいたい1話19分でしょうか、そのわずか19分の展開がもう遅くて遅くて、だるいです。眠くなりましたよ。やっぱりずっと音楽鳴ってます。しかも軽くて、緊迫感もないです。なにやってるのかの意味もわからないですし、ほんとにつまらん、と・・・・・・。

 

↑まあ、演技的なことはちゃんとやってますが……。

 

 けっきょくこの2話目は、ヒゲ兄ちゃんがラジオのせいで人格がかわり、人殺しするようになるというのが内容なんですけれども、それ普通じゃん、ということですよね。やっぱり「つまらん」のですよ。目新しさがどこにもないです。最後に1話目のお父ちゃん役の人が刑事役で出てきました。もうこれで製作陣のやりたいこともわかりました。5話オムニバスですけれど、5話ともどこかしらでつながってるのですね。ああ、これまたフツーです。で、やっぱりホラー感は皆無です。これだけ長く感じる19分もありませんね。

 

↑なんちゃってJKのお父さんは……、

 

↑2話目で雰囲気が刑事っぽくなってました。

 

 だから3話目も案の定、同じアパートの住人の話で、つながってました。嘆息ですよ。これじゃあ、オムニバスにする必要もないですし、したいなら映画でなくてドラマでしょうよ。

 

 3話目はコールガールのお話しです。怖いコールガールですけど、相変わらずホラーではないです。単なる殺人事件です。ていうか、コールガールに1,000ドル払ったそうですよ。ビックラですね。1,000ドルですよ、1,000ドル。現在のレートで言ったら約15万3千720円です。ええーっ、て。15万3千720円て、もっと他に使い道あったやろ、て。あ、でもアメリカって日本みたいにソープとかヘルスとかはないですからね、性欲処理しようと思ったらコールガールに15万3千720円なんですかね。でもいずれにしても、高級コールガールでしょう、この値段なら。とてもそんな高級な方には見えませんでしたけれどね。なんて、こんなどうでもいいことばかり考えてしまってましたよ。

 

↑なんかダサいし。

 

↑こちらのお方が “高級” なのですかね。

 

 わたしは15万3千720円もあったらディズニー資金にします。

 

 3話目にしてようやく、特殊メイクが面目躍如だったですかね。包丁で刺すところのリアリティさはよかったです。なんかほんとに刺したようにしか見えませんでしたからね。CGではなさそうでしたから、SFXだと思うのですけれども、コマ送りにして観てみても、ほんとに刺してるようにしか見えなかったです。これだけは純粋に、すごいと思いましたね。それだけですけど。だって、ここでようやくホラー感出てきたかな、って思ったのに、それもつかの間、すぐ次の瞬間には「モンスターズ」みたいになっちゃいましたからね。いや、ま、「モンスターズ」だってホラーっちゃホラーですけど、でもそれじゃ「クリープショー」じゃないです。「クリープショー」を名乗るなら、やっぱりロメロとキングを踏襲しないとダメじゃないですか。それができてないんですから、やっぱりダメダメなわけですよ。頑張りはわかりますけどね。

 

↑ほんとに刺しているようにしか見えませんよ。なのに、

 

↑「モンスターズ」になってしまいました。

 

 ラストで、コールガール殺されてつるされてましたけど、皮の服着てるもんですから、お腹のとこが動いてるんですよ。息して、動いてるという。皮の服でさえなかったらわからなかったでしょうのに、ザンネンでしかないですね。

 

 4話目もつながってますね。1話目にでてきた一家のばあちゃんは、なんかの学校の理事長でしたけど、隣の家に教授が住んでて、同じ学校だというお話。つまり、大学なのですね。

 

 で、老いた教授と美人の若いフィアンセのお話しで、ちょっとは興味わきましたけど、ホラーになるのかどうかっていう不安は、あいかわらずつきまといますよ。まあとりあえず、音楽うるさいです。

 

↑不釣り合いですよね~。

 

 まあでも不釣り合いだとは思いましたが、その不釣り合いさがなにかをしてくれそうではありましたよ。

 

 教授の教え子だった二人のエンジニアがからんできて、なんかマッドサイエンティストみたいになってましたけど、ずーっと流れてる音楽がやたら明るくって、なにをねらったのか、とまたまた嘆息ですね。話もありふれてます。

 

↑こんなんなっても笑ってます。

 

 マッドサイエンティストの面目躍如ですね。

 

 教授のフィアンセの動向がおかしくって、これは教授が造ったサイボーグにちがいない、と。どんな造りになってるのか見てみようと解体するも、じつは本物の人間と知って大慌て、っていう。ありふれてるし、もうここまでくると、ホラーでなくコメディです。ならば「クリープショー」は名乗ってほしくない、と思うのはわたしだけなのでしょうかね。

 

 で、じつはわたし、ここでようやく本作は5話まであることを知ったのですけれども、もういいです、って感じになってました。しかもまたこれ、むちゃくちゃウザいやつが出てくるんです。

 

 ルールとかマナーを守らないヤツは、ほんとにムカつきます。わたしもべつにそんな聖人君子じゃないですけれど、社会人としての最低限のマナーとルールは守っているつもりです。でもいるじゃないですか、そういうことを平気で無視する奴って。列に割り込む奴とかエスカレーターを歩く奴、身障者用の駐車スペースに平気で停める健常者の奴とか、逆走したり歩道で歩行者より内側を走る自転車、歩きスマホで突っ込んでくる奴とか、駅の構内とかを歩くときに持ってる傘を振り回したり横にしたりして歩く奴とか。こんな奴ら、社会生活の失格者ですよ。ほんとにムカつきますが、そんな、列に割り込む奴が主人公なわけですよ。もういい、早よ終わってくれと思ってるところにこれですから、ガマンの限界に近付きつつありますね。しかもその主人公、医者だそうです。やめてくれーっ、てなりました。

 

 で、この医者がむちゃくちゃな診察するとこが冒頭なんですけれどね、来る患者が、緑内障だったり腕挟まれただの、骨折だの、何科の医者やねん、というところから始まるわけですよ。しかもその診察のシーン、延々5分。長ぇっての。もうほんと、めんどくさいです。

 

↑見てくれも、めんどくさいのです。

 

 まあね、それが演技なら、称賛に値しますが……。

 

 一応、無料診療所の医者だそうでしてね、なんでこんな医者に、こんないろんな患者が来るんやろうかというギモンは晴れましたが、そうなるとアメリカの闇ですわな、こりゃ。保険代高いですからね、向こうは。

 

 一応この5話目は、3話目とつながってましたが、若干時間がさかのぼってました。まあ、意欲はわかりましたよ。でもそんな大したこともないですからね。せっかくホラー感が出たかなと思ったら、ヴァンパイアもどきというこれまたありふれた感。けっきょくそのまま終わってしまいました……。

 

 最後の最後で、顔が崩れるところのシーンはCG使ってましたが、これがもうヒドくって、なんで最後でこんなんしたんや、ということになりましたよ。

 

↑絵を合成したのがまるわかり、でした。

 

 とにかく、ずーっとうるさくて、ずーーっと汚くて。ホラー映画としておもしろいとこは、ひとっっっつもありませんでしたね。一応、がんばってた特殊メイクに免じて一つ、というところです。

 

 

今日の一言

「あーもう、音楽うるせえな、寝られへんやんけ」

 

 

レビューさくいん

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