近所のカラオケボックスにお籠りして、入会したケーナ同好会の課題曲を練習する日々が始まった。
しかし、そもそも楽譜を読むのが苦手なので、なかなか進まない。
まず、YOUTUBEの動画や手持ちの音源を聴いてイメージを掴み、それからケーナ片手に、一音ずつ音符を拾って、おぼつかない足取りで楽譜を辿っていく。音の長さ、拍子、リズムがなかなか読み取れない(最低限の楽典から勉強しないとアカンなあ…)。
慣れない作業で疲れが来るのも早い。多分要らない力が色々入ってしまっているので、練習を終えると、猛烈に肩が凝るし、指の関節もジンジンと疼く。
何年もケーナを吹いている先輩たちのセレクトなので、初心者にはハードルが高い課題曲も多い。また、正直に言うと、リスナーとしては、あまり自分の好みではない曲もある(演奏すれば、また違った面が見えてきて、好きになれるかもしれない)。
そこで練習の息抜きがてら、脳内ジュークボックスのストックから、自分好みで短く単純な曲を呼び出して、記憶を頼りに吹くと、これが楽しい~~(^^;)。アヤしい笛吹きおじさんである。楽しすぎて、課題曲の特訓がおろそかになるくらいだ。
そんなケーナ初心者に易しい(テンポゆったり、運指簡単、高音域少な目、それでいてメロディが美しい)曲で、私の息抜き用の1つに「コユール Qoullur」という曲がある。意味は、アイマラ語で「星」のはず(ワラ waraも「星」のはずだが、違いはよく分からない。またケチュア語でも「コリョール」が星を意味するはず。ペルーの山岳地帯で「コリョール・リテ(星と雪)」というお祭りがあったはず)。
私の知る限り、本曲の初出は、1982年(※1)ボリビアのHeriba社からリリースされた、ルパイ Ruphayとルスミラ・カルピオ Luzmila Carpioのジョイント盤のB面4曲目で、ジャケット裏面の形式名には「17世紀のアイマラ族の調べ」と記されている。
※1 現ルパイの公式サイトでは、1984年リリースとされているが、ジャケ裏には1982年と明記されている(写真)。
ケーナとチャランゴだけのシンプルな編成で、演奏は技巧を抑え、構成も数小節の繰り返しで、倍音にするくらいの変化しかなく、最後はフェードアウトして終わっていて、とても単純。倍音にしなければ、最高音は2オクターブのシという易しさ。
しかし、聴いているとアルチプラノの澄み渡った星空を眺めているかのような気分にさせてくれる、静かで美しい曲だと思う。
残念ながら本オリジナルは、CD化されておらず(正確に言えば、本盤ともう一つのLPを混ぜた再編集版のCDが出ているが、本曲は漏れている)、他グループの追随音源もほぼ無く(※2)、YOUTUBEにアップロードもされておらず、埋もれた名曲になっている――
※2 フランスのGrupo Omasuyuが、1990年リリースの「Los vientos del Alto」で「Quoillor」表記で収録している程度。Grupo Omasuyu版は、ギターが入り、4分越えの少し長めの曲になる。
――とずっと思っていたのだが、「ケーナ初心者向けオススメ練習曲」として、日本人ケーナ奏者の渡辺大輔さんが、ピアノ奏者根木マリサさんのYOUTUBEチャネルで演奏しているのをたまたま発見し、びっくり!!
おおおお~~! オリジナル同様、静謐な空気感が感じられるー!!
お手本として、テンポゆっくりめ、装飾音控えめで演奏して下さっているのも、初心者にはありがたい。
なお、お二人のCDにも収録されているとのこと(未聴)。
渡辺大輔&根木マリサ 『Compass』 | ケーナ奏者・渡辺大輔オフィシャルサイト (dai-quena.com)
楽譜もダウンロード販売されている。
【ケーナ用】コユール | Music Labo (stores.jp)
【ケーナ用】コユール(ピアノ伴奏付き) | Music Labo (stores.jp)
その他、「コユール」でYOUTUBE内を検索すると、日本人のアマチュアグループ・個人の演奏がいくつかヒット。
(渡辺さん関連の教室の生徒さんやOBの方たちの演奏なのかもしれない)
これで私のケーナ練習のモチベーションも、アップする~!
サークルの課題曲からは外れてしまうけれど(^^;)■