「社会人の英文ライティングは、間違いだらけです。」
昨日は、Tさんとアカデミック・ライティングを学びました。そして、初日ですから、「Grammar for Writing」を勉強しました。中身は、「commas(コンマ)」「semicolons(セミコロン)」「colons(コロン)」の使い方を指導しました。問題をやっているうちに、Tさんは頭が混乱してきました。それは、学校教育で習っていなかったからです。
①コンマ (,)
②セミコロン (;)
③コロン (:)
あなたは、これらの使い方をご存じですか?Tさんにお聞きしたところ、いろいろな新聞記事や雑誌で見たことがあるそうですが、職場では状況が違うようです。
「職場で送られてくるネイティブからのE-Mailは、こんなコンマなんか無い文章もあります。そして、段落分けもなく、ただだらだらと書いてくることもあります。」
「そうでしょうね、アメリカ人だって、アカデミック・ライティングをきちんと学んでいるわけじゃないんです。Tさんだって、国語の作文の書き方をきちんと学んで来たわけではないですよね。それと同じです。」
「それに、職場の人だって、こんなコンマの使い方をしている人はいないです。セミコロンやコロンを使っている人なんか見たことないし、使い方なんか分かっている人がいるんでしょうか?」
こんな会話をTさんとしていました。正直なところ、私もアメリカ留学をして初めて知ったのです。私の文章を見て、大学教授から、こんな質問を受けました。
「お前は、Punctuationを知っているか?」
「ええっ、Punctuationですか?」
「ああ、Punctuationを知っているかと、聞いているんだよ。」
その時のPunctuationと言う単語を、私は初めて知りました。なぜなら、日本の英語教育では習ったことがないからです。そして、生返事をして、すぐに寮に戻りました。それから、ルームメイトのTimに聞きました。
「Tim、お前はPunctuationって、知っているか?」
「ああ、面倒くさいルールのことだろ?」
「それって、難しいのかなあ?」
「俺は得意じゃないけれど、あまり使っていないよ。」
「じゃあ、使わなくても文章って書けるのか?」
「そうだよ、アメリカ人だって、そんなに詳しい訳じゃない。」
そこで、あるひらめきが起こりました。
「じゃあ、俺がPunctuationをマスターしたら、もっと質の高い文章が書けるってことだよね。教養あるアメリカ人にも負けないくらいの文章が書けるってことだよね。これって、ご機嫌だよね!」
それからと言うもの、一日中ずっとライティングのことで頭がいっぱいになりました。そして、ビジネス・ライティングでオール「A+」を取り、ビジネス・コミュニケーションズの卒業試験で、満点を取りました。私の評判を聞いて来た日本人留学生が、エッセイの書き方を指導してほしいとやって来ました。
「東大卒も、慶応卒も、早稲田卒も、みんな獨協卒の私に頭を下げたのです。」
そして、いまでは、学校英語の教科書に載っているそうですが、指導できる教師がどれくらいいるのでしょうか?英検1級に合格しても、アカデミック・ライティングを指導できるほどの知識と経験を備えている教師は、どれくらいいるのでしょうか?
こんな話をしながら、Tさんに提案をしました。
「あなたがアカデミック・ライティングを勉強し始めると、職場での同僚や上司、そして取引相手の英文ライティングが、いかに間違っているかを知ることになります。そこで、職場内で、このPunctuationの講座を開いて見てはどうですか?みんなに喜ばれますよ。そして、質の高い英文ライティングを書くことで、もっと信用が増して、あなた自身の評判も上がります。アメリカでも、ライティングを学ぶには、特別の訓練が必要だと言われています。」
そのように言うと、Tさんは何かひらめいたようでした。これからのアカデミック・ライティングがどのように役に立つかに気づいたような感じでした。おめでとうございます。
アメリカのロースクールでは、このアカデミック・ライティングの知識が絶対に必要なのです。ロースクールを卒業したら、格調高い文章が書けることが、当たり前になってきます。だから、Bar Examを受験する前に、Tさんには勉強していただきたいんです。
「半年過ぎたら、あなたの現在の書く文章と、その時に書く文章の違いを見てください。」
そう言って、3時間に及ぶ授業を終えました。Tさんもお疲れのようでした。
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。
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