驚いたことに、並んで歩いていても全く違和感がなかった。
もっと緊張したり、気まずかったりするかと思っていたのに。
貴子は今感じていることを言葉にしようとしたが、なかなかぴったりの表現が見つからなかった。
なんといったらいいのだろう、「正しい」感じ
これでいい。こうなるべきだった
収まるべきところにようやく収まった、そんな感じ。
隣を歩く融からも、これまで感じていたような拒絶や緊張は漂ってこない
そのことが意外であり、嬉しかった。
もしこれが歩行祭の自由歩行ではなく、いつもの下校時間だったら、こんなに平静に歩いてはいられないだろう。疲れ切った今の時間だからこそ、平気な顔をして歩いていられるのだ
貴子は、なんだか叫び出したいような気分になる。
今、あたしは西脇融と並んで歩いてる
二人で歩いてる
二人で喋って
る
これはちょっと、凄いことなんですよ、皆さん
頭のどこかはひどく興奮して舞い上がっていたが、全身は鉛のように重くて、舞い上がる心はちっとも飛び立てない
その興奮が、遠い世界の出来事のようだ。
嘘みたい
本当にこんな日が来るなんて
つづく