
かなり酔っていたから心配だ

ただ、なんとなくだけれど、巧君は大丈夫な気がする

どんなに酔っぱらっていても、危険な場所に出かけて行っても、平気で
帰ってきそうに思える

加地君とは、違うのだ

加地君はものすごく慎重なくせに、なぜか危なっかしい感じがした

交差点で信号待ちをしているときでも、たまらなく不安になって、彼の腕を
取ってしまうことが何度もあった

腕を組む振りをして、しっかりと彼を摑まえた

それはたぶん、加地君がいろんなことを考えすぎていたからなのだと思う

生きていくこと、自らが歩んだ道、押し寄せてくる未来……そんなことを彼は
いつも確認していた

確認しても不安が増すだけなのに、それでも考え続けた

ゆえに加地君の足取りは常にふらついていた

生きることを恐れているみたいに危なっかしかった

巧君はそういう恐れを持っていない

生きるのが怖いとか、怖くないとか、考えもしないのだ

ゆえに巧君の足取りは、かえってしっかりしている

平均台を渡るとき、落ちるんじゃないかとびくびくしている人間の方が、
落ちやすいのと一緒だった

私が巧君と付き合うようになったのは、それが理由なのかもしれなかった

自分ではあまり意識したことがなかったけれど、加地君とは違うタイプを
選んでいたのだろう

つづく
