ここから先は「英国妖異譚」(著:篠原美季、講談社X文庫ホワイトハート)の二次創作です。二次創作なんて知らないよ~、あるいは嫌だよ~というかたは、下にスクロールせずに他の記事を読んで行って頂けると嬉しいです。全文表示を、いまだ解除出来ず・・・申し訳ありません~。
クリスマスに向けて、勝手に一人でお祭を行うつもりだったのですが・・・そして、主役は「かわいい後輩くん」だったはずなのですが・・・そちらを書き終える前に、こちらの御方が幅をきかせてしまって。新刊で、シモンとオスカーに、おいしいところを持っていかれた恨みなのでしょうか。
どうにもこうにもならないので、こちらからアップしようかと思います。私は、この御方もお姉さまも大好きなので、祭のコンセプトからは外れてはいないかと・・・(苦しい言い訳)。20作品目こそ、「彼」に華を!!と企んでおります~。
『となりあわせ』~英国妖異譚SS~
「ですから・・・」
盛大にため息をつきながら、ユウリは続けた。
「ですからね、僕は決して専門的な勉強をしたわけでは無いのですよ?」
恨みがましく見上げてみても、当の本人は何処吹く風。
「だから、なんだ?」
予期していた返事が返ってくる。
そして、次に来る言葉もユウリには予想がついていた。
「まぁ、弾いてみろ」
呼び出しを受けて駆けつけたときから、何となく嫌な予感はしていた。恐らく、機嫌が良いのであろうアシュレイに通された部屋に鎮座していたのは、どこからどうみても・・・。
「ヴァイオリンはともかく、これは本当にお遊びで弾いたことしか無いですよ?」
全く、どこで情報を仕入れてくるのやら。無駄なこととはわかっていても、もう少し位は隠し事をさせてくれてもいいのに・・・と思ってしまう自分が情けなく思えてくる。ユウリが少しの間これを弾いていたことは、ほんの一部の生徒しかしらないはずなのに。今更ながら、平穏な学生生活に若干の不安を覚えつつ、ユウリはその楽器に近づいた。
年代物の、ピアノ。アシュレイを介して、どこへ旅立って行くのだろう。どちらにしても、楽器には罪は無いよなぁと思いながら、歴史を感じさせる風格に思わず見惚れてしまう。楽器自体からは何の霊的反応も感じない・・・ということは、アシュレイは芸術品としてこのピアノを扱っているのだろう。
逃げることは不可能だ。ならば、早めに切り上げるに越したことは無い。肺の中の空気を全部吐ききってから、ユウリは椅子に腰掛けてみる。
「何でもいいぞ」
アシュレイの言葉が、まるで呪文のような合図になった。ユウリは、記憶の糸を辿って・・・音を紬ぎだす。天気予報の番組で流れてきて・・・好きになって練習した、この曲。頭の片隅に何かがひっかかったが、勢いで弾き始めてしまったので止められない。
部屋の中に、清冽な音色が響き渡る。流麗すぎず、朴訥過ぎない。繊細で、優しい音の重なり。力では無く、芯の強さを感じさせる、ユウリの性格そのままのような演奏だった。
一通り弾き終えて・・・ユウリは大事なことを思い出した。教えてくれたセイラの涼やかな声が、頭の中に蘇る。
-ユウリ、いい?この曲は、誰でも彼でもの前で弾いたら、誤解を招くわよ。どうしても弾きたいなら、特別な人の前だけにしておいたほうがいいわ-
「あれは、何でだったっけ?」呟いたユウリの前に、存在を忘れていたアシュレイがアップで現れたので、ユウリは驚きすぎて椅子から転げ落ちそうになる。
それをしっかりと抱きとめて、アシュレイが囁いた。
「お前なぁ・・・さんざん弾き渋っておいて、俺様に愛の告白か?」
「ありがとうございます・・・って、え?な、何でそうなるんですか?」
妖しげな雰囲気を察して腕から抜け出ようと試みるが、相手がアシュレイでは敵わない。
-なんで?って、ユウリ、この曲のタイトルを考えてごらんなさい。愛の告白をしてるようなものじゃないの-
「違います!誤解です!!って、わぁ~。」
ユウリの叫びは、小鳥のさえずりに紛れてしまった。
曲のタイトルは「あこがれ/愛」(ジョージ・ウィンストン)
あこがれと愛は、紙一重?