家宅捜査? | 届かない手紙〜自死遺族〜

届かない手紙〜自死遺族〜

最愛の夫を失った妻の記録。
二度と戻らない日々…
失った未来…
行き場の無い気持ち…
もう二度と届くことのない夫への想いを綴る。

 

 

捜索願の手続きを済ませ、警察官の方が「このままおうちの中の様子とか見せてもらってもいいですか?」と言われました。

 

もちろん「はい」と答えましたが、突然の事だったので少しばかり抵抗を感じました。

家の中どうなってたっけ…。

 

ご近所にも目立たないようにとの配慮をしていただき、パトカーは使わず、私とも距離をあけて目立たないように歩いてくれました。

 

「散らかっていてすみません。」と警察官の方に家にあがってもらいました。

何か手掛かりになるものなどが残っていないか調べさせてもらいますとのことで、普段主人が使っている場所、使っているものを説明し確認してもらいました。

 

そして全体をサラッと確認した後、警察官の方と色々お話をしました。

私が不安そうにしているので気を紛らわせようとしてくれたのだと思います。

 

時に気になるようなものは見当たらない事。

お家の様子を見た感じと、お話を聞いた限りでは家庭で何かあっての事ではないように見受けられる事。

すぐに見つかる場合もあれば、1週間ほどかかることもある事。

そのまま見つからない可能性もなくはないという事。

 

一通り不安な事、聞きたい事などを確認し終え1時間経つか経たないかだった。

「何か情報が入り次第ご連絡しますね。」

 

 

と同時に警察官の電話が鳴り響いた。

 

 

「はい、はい、」と警察官の方が答えている。

電話の向こうから声は聞こえるものの何を話しているかまではこちらには聞こえてこなかった。

 

電話を切った警察官がジッとこちらを見ている。

 

一歩、また一歩と歩みを進め、ゆっくりゆっくり近づいてくる。

 

「奥さん、落ち着いて聞いてください」