夜になっても帰って来なかった。
いつ帰ってきてもいいようにとごはんの準備をし、お風呂を沸かし、夫を待った。
その間、何度も何度もLINEをして、電話を掛けた。
既読にならないLINE
飽きるほど聞いた自動音声
不安を通り越して恐怖すら感じ始めた。
布団に入るものの眠れるわけがない。
小さな物音に反応してしまう。
「帰ってきたのかもしれない…」
何度も何度も夫が帰ってきた時の事をシミュレーションした。
きっと何か理由があったのだ。
絶対に責めたり追いつめるようなことは言わない。
言いたくないのなら何も聞かない。
ただ、抱きしめて「おかえりなさい」そう言うつもりだった。
その夜、感じたことのない不思議な感覚を体験した。
時間ははっきり覚えていないけれど…
日付が変わる頃だったように思う。
ぼんやりと座っていたら突然、ブワ~ッと全身に鳥肌が立った。
うわっ、なに!?と思った瞬間、心臓が大きくドクンとなった。
痛いとかではないけれど物凄い恐怖だった。
眠れていなかったからかなと思ったけれど、息が止まるかと思うほどの衝撃だった。
ほとんど眠れないまま朝を迎え、最寄りの交番に向かった。
捜索願を出すためにいくつか必要なものを用意した。
◎身分証明
◎車のナンバーがわかるもの
◎夫の写真
警察官が状況の聞き取りをしてくれた。
もう一人の警察官が書類を作成してくれていた。
合間にあちこちに電話をしながら状況の説明をしている。
私は聞かれたことに出来るだけ細かく正確に答えた。
早く探して欲しいのに受理されるまでに2時間近くかかった。
その際に受けた説明で捜索後、見つかったとしても警察では捜索人を拘束することは出来ないとのことだった。
本人が家族に知らせても良いとなれば迎えを待つことは出来るけれど、本人が探さないで欲しいとのことであれば、見つかったことは報告できるが、本人を待たせることは出来ない、と。
これは色々理由があるが、わかりやすいもので言えば家族からDVを受けている場合などがあるからとのこと。
本人が望まなければ会うことは叶わないかもしれないということが伝えられた。
聞き取りの際にそういった話は見受けられないが、無かったとしてもそういうことが稀にあるので一応伝えなければならないし、受理するにあたってその注意事項を踏まえた上でサインをしてくださいとのことだった。
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