昨晩、パジャマ姿でPCを叩いている時に自宅(事務所)の電話が鳴りました。時刻は21時。受話器を取ると取引先のママからでした。
「Kちゃんのお誕生会してるから、お家近くでしょ。おいでー」
メイクをしていないので(お風呂上り)一瞬躊躇いましたが、全然構わないとの事。すぐさま着替えて繰り出しました。
さて、このブログはペンネームMisssimこと大野みさきの何気ない日常を書き綴ったものです。
ワイン輸入会社を経営しているのでビジネスの事だったり、ワインのウンチクだったり、お勧めレストランやバーの情報だったり、お料理やお菓子だったり、旅行の事だったり、感動した事だったりと・・・・さしずめ33歳独女の写真日記です。
只今、全24話のインド旅行記をアップしています。現在23話目に突入。是非、1話から続けてご覧下さい。
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【第23話】死別
帰着して2、3日経ったある深夜に電話が鳴った。CA時代のM先輩からだった。
「インドどうやった?」
彼女はいつもの調子で訊ねた。マザーハウス、インド人、食べ物、治安、宗教、カースト制度に始まりガンジス川で泳いで病気になった出来事を面白おかしく15分にも渡り話し続けた。
「みさきちゃん死なんでよかったなぁ」
「Mさんは最近どうですか?もう結婚式場は決まったんですよね?」
その質問に対し彼女は黙った。婚前の人に聞いてはならない質問をしてしまったのか。電話越しに只ならぬ雰囲気を感じた。
長い沈黙の後、彼女は重い口を開いた。
「彼、亡くなってん」
「亡くなった?どういう事ですか?」
亡くなるという事はつまり・・・・・
だが状況が掴めない。
「死んだ。暫く連絡が取れなかったから、心配になって彼の実家に行ったら、既に遺骨になっててん」
この瞬間、私はひどく後悔に襲われた。できる事なら15分前に戻りたい。死にかけた出来事を笑い話としてする前の時間に戻りたいと切実に思った。
伴侶となる最愛の人を失い、深い哀しみに暮れている彼女にどんな言葉をかけてあげたらいいのだろうか。彼女を楽にする言葉を必死に探したが見つからない。
にわかにバラナシの火葬場でのシーンを思い出した。煤だらけになった屍から滴り落ちる体液が肉汁のようで、その横で遺族の女性達が泣き崩れている。そんな姿を何度も目にした。
私はこのかた誰の死に目にも合っていないが、残された家族や友人は、計り知れない哀しみや苦しみと戦っているのだろうと想像した。
人の気持ちになって行動するようにと両親に言われて育った。しかし、その哀しみを経験したことのない私には正確には彼女の気持ちが理解できない。したくても恐らくできないであろうし、したつもりになって共感や同情などするつもりもない。
インドで生と死を学んだかのように思えたが、全くそんな事はなかった。
「生きていたらこの先、何か良い事あるかな」
電話を切る前に呟いたM先輩の一言が、その夜ずっと頭の中で反響した。
数日後、彼女にプレゼントを贈った。1冊は彼女に、もう1冊は自分に。
そこには、
「希望」
そして、
「貴方は一人じゃない」
そんなメッセージを込めた。
するとM先輩は、いつか結婚するような人ができて子供が生まれたらあんな事もあったなって思うんやろうな。と笑った。
「その時は、Mさんの子供達に読んであげて下さいね」
「そうするわ」
そんな彼女も今や2児の母となり幸せに暮らしている。読み聞かせをしているかまでは私の知るところではないが、今日は先輩の32歳のお誕生日だ。おめでとう。
【次回の予告】最終回
いよいよ。あとがきですね。最終回に続く。

