本文はここから
天邪鬼なのでそれが話題になってるときは見向きもせず、
かなり経ってから手にとってみる癖(へき)のあるワタクシでございます。
思えば、マディソン郡の橋もそうでした。
話題になってから10年近く経ってからDVDを借りて、
でもホットなときに触れないから冷静に見られてるんじゃないかと思います。
私はあの母親については、うんざりです。
なぜ死んでから自分の浮気を子供達に告白するんでしょう。
浅田次郎さんは話題作を次々に発表なさる方で、
鉄道員が絶対泣けるこれで泣かない人はいないなんていわれていたころ、
周りの人は昨日はこの人今日はあの人といった感じで
「読んだ。泣いた」などと言い交わしていましたが、
私はその渦に巻き込まれまいと抗っておりました。
そんなことで浅田次郎さんの作品を読む機会を頼まれたわけでもないのに自分の狭量で逸していたのですが、
知人から「プリズンホテル 夏」を面白いから読んでごらんとのことで頂きました。
読む前は「泣かせる書き方なんだろうな」と斜に構えていたのですが、
結果はやはり泣かせどころ満載で、
「夏」のかなり前半ではたと本を閉じ
近くの書店に走り秋から春までを買い手許におき一気に読み進めたい気持を抑えながら少しずつ読んだものです。
読み終えることが惜しいと思った初めての本でした。
突然 父の話になりますが、父はけっこう読書をします。
しかし読む本のチョイスは私なのです。
父は書店に行って本を選んだりはしません。
父の好きな感じの本は決まっていて、
実際にあったことをドキドキハラハラさせるように書いてあるものがお好みです。
小説の態でなくもよく、
ドキュメンタリーでもルポルタージュでもいいのですが、
筆力のない人のものは単に事実を羅列するようでそういうものは父に酷評されます。選んできた私に対しても酷評です。
最近また「読む本がなくなった」と言いましたので大型書店に本を探しに行きました。
なんとなく壬生義士伝を買ってみました。
父用には浅田次郎さんの本はけっこう買ってますが壬生義士伝は手に取ったことがなかった。
これもドラマになったり映画になったりして話題になりたしか私も誰かに勧められたことがあったような気がします。
家に帰り袋から出して居間のテーブルの上に置いて、
しばらくして何気なく手に取りちょろっと読んでみたら…、
浅田イリュージョンのプロローグにすっかり引き込まれてしまいました。
父に「ちょっとこれ先に読ませて」と言って読み始めたらもう止まりません。
久しぶりに本を読んで泣きました。
熱い涙を流しました。
もしかすると、東北の人の気質を肌で感じてない人はそれほど泣けないかもしれません。
それにしても、作家なのだから当たり前といえば当たり前なんだけど
浅田次郎はテクニシャンだ。
もうわかってるのに、来たぞと来たぞ思っても文体のリズムの心地よさに身をゆだねているうちにまんまと罠に嵌ってしまう感じだ。
でもそれがまた心地よいのだからもう降参するしかないのだが。