昨晩は、広尾にある、前から行きたかったフランス・バスク料理屋で、
女4人で遅ればせながらの新年会だった。
美味しいワインと料理と、楽しい会話で心がほくほくしながら。
時計はまだ夜12時、じゃあ、2件目行こうかということでその店をあとに。

外は相変わらず風が冷たい。

少し歩いたところに、バー兼おでん屋?みたいな店があったので
ここでいいよね?ここにしよう、ということで、いそいそと扉を開けてみた。

中に入ると、カウンターだけの横長のお店。
お酒がバックバーにずらりと並び、
カウンターの中には、マスター風の男性と、おでん担当なのか和服姿の男性と、
2人が店員として立っていた。
他のお客さんもいなかったので、私たちはカウンターの一番奥の席に案内される。


ちょうどさっきの1件目の店で、私が美味しくいただいていたリキュールを友達が気に入ったみたいで
 「あのさ、さっき飲んでたやつ、なんだっけ、あれ飲みたい」
私「あ、シャルトリューズね。」

シャルトリューズとは、もともとフランス南東部にあるラ・グランド・シャルトリューズという修道院で作られた、薬草系の甘ニガいリキュールで、そのまま飲んでもいいし、ソーダやトニックで割ってもウマいお酒。

私「(マスター風の男に向かって)シャルトリューズください」
マスター風の男「?・・・シャル..ト..? あ、シャルドネは、うちボトルになっちゃうんですよー」

私と友達「・・・」

確実に、シャルトリューズという名前のリキュールがあるということを
彼は知らなかったのだろう。残念なことに、単なる聞き間違いでは、決してなかったに違いない。

まぁ、そういうこともある。
気をとり直して、
私「あ、じゃあ、薬草系のお酒で、さっぱりしたいんですけど、何がありますか?」
おでん担当の男「えーと、出てるだけなんですけど」

ごめん、おでん担当に聞いた私がばかだったです、
でもね、私たちの座っている位置からは、
バックバーの対角線に置いてあるリキュール類のボトルが
遠くて、しかも照明あたってないから暗くて、
ぜんぜん見えないんですよ、だから聞いてるんですよー。。。

私「あの、こっからじゃ見えないから聞いてるんですけど.......」
おでん「・・・・・・・」

なぜにあなたがそこで無言?
おでん担当ということ以前の何か、なんとも言えない、ズレ感。

マスター風の男に改めて、同じことを聞いてみる。
聞いてみるっていうか、お酒を注文する時には普通の会話だし
決して特別なことを聞いている訳ではないんだけど、
私「あの、薬草系のお酒でさっぱりしたいんです」
マスター風の男 「・・うちはアブサンくらいしかないですね・・」

アブサン、美味しいよ。それを飲んでもよかった。
だが、そこが私の面倒くさいところ。
アブサンというお酒が、イヤな思い出にならないように。

結局いつものバーボンを頼んだ。


どんな人でも、出会うべくして出会っているって江原さんはいうけど、ほんとだな。
私が今自分が育ててもらっている環境は、とても幸福なんだ。
それを選択してこれているというのも、ありがたいこと。

あ、シャルトリューズは、今度、私が美味しいのを飲ませてあげる!
昨晩の、いつものバーにての風景。
閉店30分前に、ふいに店に現れた一人の女。
年の頃20代後半~30代前半。長身。
正直、特にこれといって美人さんというわけでもなく、
まあ上品な顔立ちではあるが目立った特徴もあるわけではなかったが。


一杯目に注文したのが、ホットグロッグ。
ラムをお湯割りにして、砂糖、レモン、クローブという実とナツメグで香りをつけた
体が温まる一品を、ほぼ無言で一気に体内に流し込む。

その間、時々、片手に映画か演劇か、なんやらアートな感じのパンフレットを眺めつつ。
鑑賞した後に、一人立ち寄ってくれたのか。


次に注文したのが、ロングアイランドアイスティー。
ジン、ウォッカ、ラム、テキーラという4大スピリッツが混ぜ合わさった、
まるで世界征服したような気分になれる(であろう)カクテル。
紅茶を使ってないのに紅茶を飲んでるような、マジカルなカクテル。
彼女は、指されたストローを、絶え間なくすすり...世界を一気飲み。


そして、ラスト、締めの一杯。
「フォアローゼス、プラチナをください。」

フォアローゼス プラチナ。
そのとろけるようなまろやかなバーボンは‘とげのない薔薇’と賛美され、
そのフォアローゼスの中でも、最高級品なのが、このプラチナ。

私はその瞬間、その、特徴のあまりない女について
もっと知りたくなった。
そう思ったら、人間関係を作るってのは、早い。


そういえば、昨年、渡辺淳一先生(失楽園の著者ね)の講演会で
「プラチナ世代の生き方」ってのがあった。
内容はっていうと、シルバーみたいに鈍くて地味ではない、
ゴールドのようにイヤミに派手派手しくもない、
プラチナのように、控えめでいながらも存在感があって
年相応でない年のとりかたをしましょう っていうことだったっけ。

それと通ずるかは別にしても
プラチナというコトダマは、確実に、特別で、上品で、エロを感じる。
フォアローゼズ プラチナのような女だね、なんて言われたら
それはそれは女として最高級な褒め言葉ではないかと思う。


その夜訪れたその特徴のなかったはずの女は、
30分間で3杯という素敵なリズムで酒をあおり、
閉店時間きっかりに席をたち、スマートに店を後にした。


特徴のない女ほど、興味を引く対象になるのか?
薔薇はとげがあるもので、それが一般的には刺激だったりするのだけど、
とげのない薔薇ほど実はもっと奥深い何かがあるんじゃないかと思ったり。

その女が店に入ってきてから出ていくまで、
正直目を離せない存在だったことに、今更ながらふと気づいた。
はじめまして。
ミスクの部屋、開店しました。
これから色んな人がこの部屋に訪れてくれたら
感無量です。


さて、今日みたいな暖かい昼。
夜になったら、それはそれは恐ろしく寒くなるんだろうと考えただけで
身震いしてしまう。
そしたら、ふと、ホット バター ド ラムの一件が頭をよぎったので
初回のブログに適しているかは別として、綴ってみようと思う。


つい2,3日前、夜に働いているバーでの出来事。

何度か店に来る、40代半ばの女性から、ホット バター ド ラムの注文があった。
ラムをお湯適量で割り、最後にバターをポン、とおとした、美味しい冬の定番カクテル。

私としては、ホット、 バター、 ド、 ラム。。。、っていう、その、
なんだかとっても甘くて幸福感に包まれている感じの響きに
ある種、自分には不似合いなんじゃないか、とか、そのカクテルを飲むには
まだまだおこがましいですよそんな、というような、自虐的見解を持っていた。
でも本心は、小洒落たバーなどに入った時には
「んー、、、どうしよ、、、ホット・バタード・ラムかな」
なんて、いかにも人生満足してます、愛されてます的な艶顔で
さらりと注文してみたいという、やらしい憧れを持ってはいたのだ。


そんななんとも言えないはにかんだ感覚は、
その40代半ばの女性からオーダーが入った時、一瞬にして取払われた。

なぜなら、それを注文したその熟女(?)。

申し訳ないが、ホットバタードラムを注文していい、私が勝手に決めたカテゴリーの中に、
まったくもって入ってなかったから。

細面の顔、目の下には、日々の労働で着々と疲れが溜まってしまっているんだろうな、というクマがくっきり、そして今まで何度も洗濯したであろう薄いセーターに、存在感のない何色ともとれぬズボンの出で立ち。
パンツじゃなくて、スラックスじゃなくて、ズボンという言葉が合っている感じ?

1月、外は相変わらず、冷たい空気。

その時、自分が浅かったことに気づいた。
冬の女王は、こういう人にも、誰にでも、同じように優しいんだ。
まるで、その暖かい飲み物は、その疲れた女性に、
ゆっくり休んでいいんだよ、あなたは愛されてるんだよ、と言ってるかのように思えた。

女性は、「美味しい、、」とつぶやいて、一口ずつ、ゆっくりと
そのゴールドの液体を細い体の中に滲み渡らせていった。

外はキンキンに冷えた夜、女をつかの間でも乙女(?)にしてくれる
ホットバタードラム、私も、今夜あたり、試してみようと思う。