「ピスコ・ソルディカ」というリキュール。



・・・かなり凝視されてますね。
これはペルーのお酒で、モスカテル種というマスカット系の葡萄から作られたブランデー。
このインパクトあるボディのため、バーの隅の棚に置いているにも関わらず「目が合っちゃった!」と言ってオーダーされる方多数で、ずいぶんと存在感のある、キャッチーなお酒です。

「ピスコ」とはペルーの先住民の言葉で”鳥”の意味。
ブランデーを入れる陶器製の壺を作った南米民族の名前のほか、ブランデーを輸出した小さな港の名前でもあったようですが、それが転じて現在は、マスカット種の葡萄から 作られるブランデーの名称になっているとのこと。樽熟成を経る前に消費されるためほぼ無色透明に近い液体で、イタリアのグラッパのような味わい。このままいただいても美味しいのですが、カクテルやサワーにして飲むのがペルーでは一般的とのこと。


先日も、店にいらっしゃった若いカップルの彼女の目に、このピスコ・ソルディカが留まりました。
実はこのボトル、背面にも顔の装飾がなされていて、それがより一層のこと独特感をプラスしているのですが・・

そこで、この二つの顔は男と女を表しているのかしら?というところから議論は始まり、
「あ、でもよく見るとこっちにはお花の髪飾りがついてるから..こっちが女の顔かね?」
「じゃあ男と女、どっちが表でどっちが裏なの?」
「男の方が顔が長めで女の方が微妙に立体感あるようにみえるけど?」
「そもそもなんで顔にしようと思ったんだろ?」
などなど、次々と会話が弾み...


その時私は、ハッとしたのです。
いつの間にか、少し松嶋奈々子似の品のある顔立ちの彼女のことを、私はまるでこのピスコのように、ジッと凝視しているではありませんか!

彼や私たちにくったくのない笑顔を向ける彼女。おそらく素敵なご両親のもと、きちんとしたしつけと愛情をもらってすくすくと育ってらっしゃったんだなと想像できる、そんな正当性が感じられる彼女。

この、初めて見たであろう異色なお酒に対しての好奇心で頭の中をくるくる回転させながら、彼や私たちとのバーでの時間を楽しんでいる姿は、なんともいえない甘酸っぱいような可愛らしさと、節々に感じる芯の強いしっかりものの顔とが見え隠れしていて、、、

ミイラ取りがミイラに、じゃないが、
ピスコをトークのネタに使っている自分が、危うくピスコに?!


さぁて次は、何を彼女に与えてあげようか、と、萌える気持ちが溢れる夜。
ピスコ・ソルディカの眼力には、きっと何かが潜んでいるに違いありません。
休みの日にたまに早起きすると、慣れないスニーカーを履いて近所の公園を30分ほど、無駄に歩いたりします。
何故かって、いくら実態は異なっていようが、その時間だけでも‘ロハスな人’でいることを楽しめるからです。肩書きに溺れている感は自分でも否めません。

さて園内は、今時期、これでもかっていうほどの木々の成長の勢いを肌で感じます。
単純に湿気なのか、植物の熱気なのか、、、軽いえぐみが心地よく、ついつい執拗に深呼吸してみたり、木陰のベンチに手持ち無沙汰ながらに座ってみたり。
それでもなんだかんだゆっくりとした時間を楽しむのです。

ふとその時、あれ、この感覚って...


先日訪れた山梨県、南アルプス山脈のそばの森林の中にある、’サントリー白州蒸留所’。
その中にある「bar 白州」では、白州10年、12年、18年の他、ヴィンテージモルト、樽出原酒、山崎、その他サントリー傘下のウイスキーなどが味わえるのですが。

なんにしても、「白州12年」を一口いただいた時の幸福感といったら!

焦がした樽の香ばしさが熟成によって滲み出した、ほわんとしたバニラのような甘さと初夏の小花のような上品な香り、そして軽いスモーキーがかった味わいが、なんと軽妙で、目から鱗の美味しさだったことでしょう。
まるで、遊暑地の森林の中に迷い込んだような、、まさに自然の恵みが溢れていて、つい木陰でしばし涼みでもするかのような...


そう。この感覚。
これって、「白州の記憶」だったのです。

これまで私の中で、‘サントリーといえば山崎’で、今イチ注目度が薄かったブランド、白州。
公園を後にしながら、ふつふつと思うのです。
暑くなる前のこの時期、このモルトをもっと楽しまない手はない、と。
私の最近のお気に入り、西麻布のブリティッシュパブ。
お酒はスコッチウイスキーを主体に豊富に取り揃えているのですが、、、

何がいいって、そこの料理!
西麻布という土地がら外国人のお客さんが多いとのことで、ボリュームは半端ない。しかも、どれもかなり美味♪そして伝統料理ハギスなんかも作って出しているこだわり。更に、驚くべき、低価格!

ほんと、素晴らしさ極まりない。

この店、これでやっていけてんのか..?!
密かにこちらが心配になるくらいのコストパフォーマンス。
たらふく飲んで食べてスタッフとも気軽に楽しく会話が出来て、それでいてフトコロも嬉しいという、なかなか稀な店なのです。

先日その店のカウンターに、何やら漬け込んでいる瓶が置かれているのを発見。
それは、ウォッカにイチゴやフルーツの皮などを漬け込んだ瓶と、パプリカや黒こしょうなどを漬け込んだ瓶で、自家製フレーバーウォッカとのこと。

「フルーツの方はそのまま飲んでも甘いカクテルにしてもいいし、スパイシーな方はブラッディーメアリーなんかに使うとこれまた美味しいんです」と、若い店長さんが優しい笑顔で説明してくれて。。。
お母さんの料理じゃないけど、手間をかければかけた分だけ、愛情って伝わるものです。

うちの店でも負けてはいません。
ビーフジャーキー、たくあん、チーズなどは、自家製でスモーク!
ミートソース、レバーペーストなども、もちろん手作り。
最近はとうとうぬか漬けもスタート!


昨日店に入ってみると、野菜ソムリエのスタッフが無農薬のレモンを買ってきたとのことで、マスターがレモンのリキュールを作ったとのこと。
レモンの皮をむいて(白い部分は苦みが出るから除いて)、アブソリュートウォッカにその皮を3日間~1週間ほどつける。

一口いただく。
「これ、リモンチェッロだね!」
リモンチェッロとは南イタリアのアマルフィー海岸、ソレント半島、カプリ島付近一帯の伝統的食後酒で、アルコール度数が通常30度以上と高く、地中海のレモンの芳香が楽しめる甘いリキュール。
厳密に言うと、アマルフィー、ソレント産のレモンの皮を使い、95度のアルコールに漬け込んで、一週間程成分を抽出した後に水で割って度数を下げたものでないと本場のリモンチェッロではないらしいが、、、、

フレッシュなレモンの香りがフッと心地よく立ち、自然な果物の甘み、そして僅かに苦みが溶け込んで、充分にこの自家製レモンリキュールは、よくいただくイタリア産の市販のリモンチェッロに引けを取らない気品のある味わい。
しかも、香料、着色料などの添加物や砂糖なんかも控えることが出来るんだから、何気にロハスの波にのってるし。

お金を出せば完成型が買える時代、一手間かけたものを出すというのは当たり前のおもてなしなのかもしれません。