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一日一思想

考えることは生きること

長男を育てている時は、半ば常識のように

「知恵熱という病気はありません」

「熱は体のどこかが炎症をおこして、それに抵抗しているからでるのです」

と、非科学的な病気の根拠のように言われていた。


だから私の実母なんかが当時、

「熱が出たの?知恵熱じゃないの?」というニュアンスで使う時は

「いや、知恵熱という病気はないんだよ」なんて

したり顔で言ってたりもした。


あまり病気をしない次男が、2週間前に突然嘔吐を伴う高熱を出した。

いつも元気いっぱいなヤツが

布団の中で一日中ぐったりしているということが2~3日続いた。

気持ちが悪いだろうし、食べるのも体力を消耗するし、

最低限の水分補給だけ心がけて、なるべくゆっくり寝かせておいた。


結局ノロウイルスだったのだろうか、

一週間後には元気いっぱいに戻り、

今まで食べられなかった分を取り返すようにもりもりと食べ、

朝から晩まで走り回っていた。

そして、なんだかよく話すようになった。

体操や手遊びも前よりもぐんと上手になった。


知恵熱って、熱の原因じゃなくて、

熱が出たら成長するっていうことかな、なんてちょっと思った。

熱が出てけいれんを起こして急性脳症を起こして

知的な障害が残った長男の極端な例もあるが、

そう考えれば、熱が出ることによって

脳やシナプスに影響して、うまく神経がつながることもあるのかもしれない。


寝ていて調子が悪かったから、一気にエネルギーが爆発したようにも

とれなくもないが。


人間の体って不思議だ。



最近ようやく言葉もでてきて落ち着いてきた次男3歳。

家でごきげんで本を読んでいたりするので、

長男の使いかけの幼児用ドリルなんかをいろいろ渡してみる。


NHKの番組で「段ボールめいろ」というのがあるからか

迷路に興味をもったようなので

こうやるんだよ、とスタートからゴールまでを

道からはみ出さないように通って行くことを簡単に説明した。

説明しなかったら全然わからなかったようだが、

説明したらすぐに理解した。

30分後には他のページもさくさくやっていた。


空間認知、視認に相当難有りの長男が

たったこれだけのことを理解するのに3年はかかったと思う。

先を見通して正しい道を選んだり、

そもそも平面の絵から「道」を理解するのも難しかった。


今やらせてみても、(怖くてやらせられないが)

あんまり上手ではないかもしれない。

普通の子が30分で理解・獲得できることに

3年もかかっているのか、と改めて愕然。


しかしそんな中でよく授業を受けているものだと思う。

やっぱり素の状態でこんなにハンディがあるのに

努力を重ねてこその今の状態なんだろう。


学年末テストが返却されてきて、

得意科目、苦手科目の差がかなりはっきりでていた。

苦手科目はもう相当本人も苦しいであろう差だと思う中、

理科は健闘、数学はボロボロ。

得意科目の社会や英語は前向きに取り組んで

それなりに点数に現れていたものの、

本人曰く「時間が足りなかった」と。


せめて得意科目だけでも、なんとかしてこの努力が報われればいいのに。


これからもこういう思い、たくさんでてくるのかなぁ。



学年末試験が終わって部活もない金曜日、

次男のスイミングもあったので

のびにのびた髪を切りに長男を美容院に行かせる前に

一緒にスイミングの体操までついてきてもらうことにする。


このスイミングスクールは二年前、中学に入って部活が本格的になるまで

長男も10年近く通っていた場所。

最後の3年くらいは徒歩5分のため単独で通っていたので

私も去年、次男のベビースイミングを始めた時には久しぶりだった。


でも長男の時には、私のいわゆるママ友もたくさんいて

本人も幼児の水遊びコースは大好きで、

終わった後は公園で遊んだりおやつ交換したりと楽しい思い出もたくさんあったが、

「体操をしないで棒立ち」とか

「順番に並ぶことが理解できずにコーチに配慮してもらっている」とか

「体幹がしっかりしていないのでいつまでたってもクロールから進級しない」とか。

プールの上の観覧席から眺める、楽しかったり苦かったりの思い出がたくさんある場所。


3歳からほぼ13歳までどんなふうな思いで本人が通っていたかはわからないが、

とにかくいやがることもなく、淡々と通っていた。

悔しいことも楽しいこともそれなりにいろいろあっただろう。


パートのコーチは多少の入れ替わりはあるものの、10年前からいるコーチもちらほら。

そんなコーチに今の長男と次男を見せたら喜ぶかしらなんて軽い気持ちで連れて行った。

「自分は忘れていても、きちんと挨拶しなさいよ。」と言い添えて。


そうしたらなんだか新しいコーチはほとんど長男のことを知っているようで

「おお~、大きくなったね!」

「おおお~、次男君のお兄ちゃんだったのか!」

と、私よりもよっぽど知っているようで、本人も嬉しそう。

忘れていても、なんて杞憂だったようだ。

古株のコーチはもちろん大きくなった長男をみて大喜び。

そして次男と見比べてまた大喜び。


体操が始まると、勇んで参加するも、チョロチョロが激しい次男に。

「こら、ちゃんと並びなさい!」と長男がソワソワ。

「タオルを持って!」「ちょっかいださない!」と

後ろからソワソワする姿はそう、ちょうど授業参観の母親のよう。

10年前の同じ場所で、私もそんな風に思ったけど、

今はそんなふうには思わない。

最年少だから、とか先を見通したりとかしてるからだろうか。

それよりもつい最近の中学校の授業参観で

全く同じようにあんたに思ったけどな!と長男に言うと

へへへと笑っていた。

いつもと違った長男の次男への愛も見られて

有意義な午後になったのだった。