大工の休み時間

大工の休み時間

三島建設の2代目大工が書く日記です。
大工成分は少なめです。

こんばんは。

事務の道具を作りました。

2代目大工の三島です。




私の仕事はもちろん大工!

でも実際には建築会社という側面もある。


見積書、図面、提案書、発注、支払い。

チラシやホームページ、税金に指示書。


意外にもデスクワークが多くあるんですよねぇ。




そんなデスクワークに使う物。

封筒を開けるペーパーナイフ。


なぜならカッターで開封。

中身が切れちゃったんですよね〜。




そんなワケでサクッと購入……







しようとして思いとどまる。





いやいや。


大工なんだから……





ココは作る所でしょ!

その方が物を大切にできますしね〜。




材料は……




コレでいいか。

流しラーメンで余った竹。

よく乾いてるしちょうど良さげ。


竹のペーパーナイフ、作ってみようっと。





暇な休日。

長男も一緒に作ってみるそう。


でも今日は道具を持ち帰ってきていない。

現場に置いてきてしまったのです。




仕方ない。

家にある物だけでやりますか。


まずは竹を割る。


こんなもん……なのかな?

ネットで見たペーパーナイフ。

コレくらいの大きさだった気がします。



適当に線を引いてカット。


後は小刀で削る。

一心不乱に削る。



カンナも使って削る。

こういう黙々とする作業。

なんか夢中になっちゃいます。





しばし長男と無言の製作。


刃先はこんな形かな。


紙を試し切り。

切れるような……




切れないような。





カッターのように切れすぎてはダメ。

でも切れないのもダメ。


ペーパーナイフは程よい鈍さが必要。


竹の強度だとどんなもんなんかしら。





何度か切ったら刃先が折れる。

ありま。


刃を薄くしすぎた。

難しいもんだ。



ソレでも少しずつ形になる。


グリップエンドにドリルで穴あけ。


ふぅ。


こんなもんでとりあえずいいか。




竹のペーパーナイフ、とりあえず完成です〜。


コレは……






ナイフというより……







忍者が使う苦無(くない)!?




ありゃま。


思わず日本人らしさが出てしまった。



ペーパーナイフは洋風なイメージなんだけどなぁ。





そもそものペーパーナイフ。

出身はやはりヨーロッパ。


本を切るのに使ったのが始まりなんだそう。



活版印刷が15世紀に登場。

本が少しずつ普及し始めた16世紀。



そんな当時の本は未裁断。


16ページ分を1枚の紙に印刷。

ソレを折って閉じてあっただけなのだそう。



なので本は折り目を切りながら読む。

そんな読み方が当時の常識。


1ページごとにペーパーナイフで読み進める。


うーん。

なんとも贅沢な時間の使い方。




でもソレもそのはず。


この頃の本はかなりの高級品。

本は貴族たちの戯れ。


ペーパーナイフは豊かさの象徴。

ステータスシンボルというヤツだったのです。



装飾モリモリなナイフのイメージ。

ココからきていたんですね。




あれ?



と言うことは……





ふーむ。

そうか。



ペーパーナイフって封筒用じゃ無いんだなぁ。






私のが左、長男のが右。

長男の方がまだ洋風か。

苦無とソード。


そんなイメージです。





ウキウキ気分で事務所へ。


そして封筒を開封!


まぁ、切れない事はない。

やや鋭さが足りないか。


刃をヤスリがけすると良さそう。



ま、当分はコイツを使ってみましょ。




ほんの少しだけ捗るようになった事務仕事。

その小さな積み重ねがいつかは大きくなってくるかなと期待して、しばらく愛用してみようと思った竹で作るペーパーナイフだったのでした。