(金甲山山頂展望台から瀬戸内海を望む)
児島半島(岡山県玉野市・岡山市)の最高峰 金甲山(きんこうざん 403m)。
かつては霊山と崇められ恐れられていたそうですが、現在は8本もの電波塔が立ち並び、展望台からは瀬戸内海を一望できる絶好のビュースポットです。
穏やかな波間に浮かぶ瀬戸内の島々。
展望台から南方向には、直島や井島、四国の屋島も見えます。
四国は案外近いですね。
金甲山の電波塔(送信所)は、岡山県はもとより香川県もカバーしているとのこと。
ちなみに、筆者の住むエリアは「NHK岡山」と「NHK高松」の両方が視聴できます。
西には児島湾干拓地がよく見えます。
北には、岡山エフエム放送 金甲山送信所の隙間から怒塚山(いかづかやま 332m)が山頂を覗かせています。
上の写真に巨石が映っていますが、金甲山山頂にはこのような巨石がいくつも横たわっています。
展望台の屋上に上がる階段横の巨石。
展望台床下の巨石。
その昔、金甲山が霊山として崇められていたころ、これらの巨石は信仰の対象とされていたそうです。
山頂の解説板です。
「金甲山の神籬(ひもろぎ)
ここは、「神籬」(ひもろぎ)または「神籠石」(こうごいし)、「いわさか」などと呼ばれる祭祀遺跡です。
原始時代の人々は、山や川、岩、大木、洞窟などを神聖なものとしてあがめ、恐れ、これらを信仰の対象としてきました。児島第一の霊山といわれた、ここ金甲山の頂上にも自然石を祭壇として神を祀っていました。
この建物の屋上にある小さな祠が祀られている岩をとりまくように、直径4メートルほどの環状に小石が置かれ、さらに、この岩から東南へ20メートルほど下ったところに、幅1メートル、長さ2メートルほどの拝石(おがみいし)といわれる平坦な石がありました。その右の下手には20人程が集まれる広さの平地となっており、これは、神話に国産みの神が産み給うた「吉備の児島、又の名を建日方別(たけひかわたけ)という」とあるように、建日方別をこの岩に迎えて祀り、村の人々は拝石にいろいろな供物をして祈ったという原始信仰の名残りです。
昭和63年10月、遺跡の中央にあった岩に祠を建立し、天神地祇(てんじんちぎ)の神様を祀っています。
この度、両備グループ100周年記念事業の一環として、古から伝わる信仰の地・金甲山山頂から皆さんに楽しんでいただける憩いの場となるよう、また、この貴重な聖域を後世の人々へと遺していけるよう整備させていただきました。
(出典)玉野市史(続編)昭和47年 玉野市役所 発行
平成22年6月30日」
解説板にある祠と巨石。
児島は神話にも登場する島(現在は干拓によって半島になっています)だったのですね。
電波塔の並び建つ金甲山は、今は祭祀が執り行われていた神聖な面影はありませんが、眺望の素晴らしさに目を奪われてつい見落としがちなこれらの巨石に目を留め、古代の祭祀に思いを馳せれば、いにしえの人々の祈りの声が聞こえて来るような気がします。
さて、山頂には三角点マニア必見 二等三角点「金甲山」が設置されています。
(二等三角点 金甲山)
選点されるべくして選点された場所とも言えますね。(^-^)
国土地理院 電子地形図(タイル)
今回は、「金甲山登山口」バス停から県道399号線(金甲山線)を歩いて金甲山へ。そのあと怒塚山に登り北面を下って「郡団地口」バス停から帰路に着きました。
現在(2020年5月1日)、金甲山線は、災害復旧工事中のため金甲山登山口バス停付近(県道217号線との分岐点)から金甲山山頂まで車両は全面通行止めとなっています。車両で金甲山へは登れませんのでご注意下さい。
また、金甲山〜怒塚山〜郡登山口ルートはあまり整備されておらず、急峻な箇所もあります。
スニーカーではなくトレッキングシューズ、ステッキなど山登りの装備をおすすめします。
低山であっても、ひとたび山に入れば至る所に危険が潜んでいます。
自販機や水飲み場もありませんので、食料飲料の携帯もお忘れなきよう。
最後に、金甲山の地図のご案内です。(^-^)
(写真)岡山県玉野市・岡山市 金甲山 2020年5月1日撮影
(C)Misako Takahashi 2020
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