庄下川(しょうげがわ 兵庫県尼崎市)に架かるJR神戸線(東海道本線)の庄下川橋梁は、大正末期に建造された古い鉄道橋で、支間 6.1メートル、5連の鋼鉄製プレートガーダー橋です。
( 34.735054, 135.414809 ← 庄下川橋梁の緯度・経度です。googleマップにコピペすると場所が表示されます。ストリートビューでもご覧頂けますのでご参照ください。)
鋼板の接合は現在では溶接が主となっていますが、この頃はまだその技術が発展途上にあったため、リベットで接合されています。
リベットはボルト・ナットなどと共に今日でも重要な接合方式ではありますが、手間が掛かることなどから多くが溶接に取って代わられ、今日製作されるプレートガーダーにはこれほど多くのリベットは用いられないそうです。
今回は、このリベット(rivet 鋲)プレート(plate 板)ガーダー(girder 桁)橋を写真を多用しながらご紹介させて頂きます。
下り線の主桁の腹板に銘板が貼られています。
塗料の厚みで判読が可成り困難なのですが、「大正十五(三?)年」「◯◯造船所」が辛うじて読み取れます。(^-^)
大正15年は1926年ですから、90年ほど前になりますね。(^-^)
こちらは川下側です。写っているのは複々線の下り線路(神戸方面行き)です。
コンクリートと石材で組み上げられた橋脚も味わいがあります。
川床の土台は改修されていますね。(^-^)
庄下川の右岸(西)には歩行者用の通路が線路を潜るように設けられていますので、そこから橋を間近に見ることができます。
写真は全てこの通路から撮影したものです。(最後の一枚を除く)
対岸が大阪方向(東)です。
対岸(左岸)にレンガ積みが一部残されています。
竣工当時のもののようです。(^-^)
真下から覗くと、対角線に渡されている対斜構(主桁のねじれを防ぐもの)、水平に渡されている横構(風や地震など横からの力に抵抗するもの)の補強材がよく見えます。
プレートガーダーの構造が理解できます。(^-^)
また、枕木が鉄道橋らしさを醸し出しています。
上り線路の主桁に塗料で記された橋梁名です。
「位置 尼崎ー立花 565K537M62 支間 6M10」と書かれています。
こちらは、荷重が最も掛かる橋台部分を拡大したものです。
縦の部材は補鋼材と呼ばれるものです。
役割は、主桁の座屈(上からの圧力で変形すること)を防止することと、荷重を腹板に分散させることなのだそうです。(^-^)
また、支点の上に設けられるものを特に端補鋼材と呼ぶのだそうです。
こちらは同じ補鋼材でも中間補鋼材と呼ばれ、支点以外に設けられるものです。
役割は端補鋼材と同じです。
最後に、庄下川について少しばかりご紹介させて頂きます。
工業都市である尼崎市の中央部を流れる庄下川は、高度経済成長期には生活・産業排水によって「死の川」と化していたそうですが、今は魚も住めるきれいな川になっています。
写真は、庄下川橋梁のすぐそばを通る県道から写したものです。
橋の上から川を覗き込むと、大きな口を開けた鯉がわれ先にと寄ってきます。
黒だかりの鯉ですね。(^-^)
さて、今回は、尼崎をウォーキング中に偶然リベットが沢山打ち込まれた年代物のプレートガーダー橋を目にしましたので、ご紹介させて頂きました。
なお、構造については 技術情報館 SEKIJIN 「鋼橋の構造」を参考にしました。
それにしても、半円の突起が規則正く並ぶ様は一つの "景色” であり、かしめる作業の労苦に思いを馳せつつも、リベットの工学的な配列のその力強い美しさには何かしら感動さえ覚えます。(^-^)
(写真)兵庫県尼崎市尾浜町2丁目 2014.9.20 撮影
(C) Misako Takahashi 2014